FC2ブログ

記事一覧

体験しないとできないでは困る(2021年4月10日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★日本人になのか、現代人だからなのか、政治家だからか想像力のない人間が世の中の中心にいたり、責任ある立場にいると関係するものはたいていひどい目にあう。8日、自民党青年局所属の30代の男性議員3人が妊娠7カ月の体重や体格を疑似体験できるジャケットを着けて2日間を過ごす「妊婦体験」を行った。世の中は大変結構なことと受け止めるかもしれないが、男性も30代になれば、世間のさまざまな仕組みも理解しているはず。まして...

続きを読む

政治劣化とともにメディアの劣化(2021年4月8日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★私は一体いつの時代に生きているのだろうか。既に、先進国とは言い難い中、「日本はすごい」と鼓舞するテレビ番組はかつての覚悟とたしなみを持ち合わせた匠(たくみ)や、組織力や総合力で技術を開発した人たちの努力の遺産でしかない。すべての分野で蓄えを放出し続けているだけではないのか。ことに劣化が激しいのが政治と官僚の世界だ。この分野に関してテレビ番組で「日本はすごい」といえるだろうか。過去の話題でしか番組...

続きを読む

「接待防止庁」の方が先だろう(2021年4月5日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★首相・菅義偉が衆院選対策として打ち出した「子ども庁」設置が国民の期待というよりは別の方向に進み始めている。そもそもデジタル庁の次は子ども庁と縦割りの弊害打破が新しい役所を作ることならば苦労しない。ネットでは「その前に自分の長男の人格はどこにとか、子ども内閣の子ども閣僚の問題点を洗い出せとか、公務員接待防止庁、自民党夜の会食禁止庁を先に作れ」と揶揄(やゆ)される。子ども庁の考え方は決して悪いもので...

続きを読む

週のはじめに考える 情報の真偽を見極める(2021年4月4日配信『東京新聞』-「社説」)

2021年4月4日 07時40分 桜散る中、新年度が始まりました。 新型コロナウイルス対策も新たな局面に入っています。感染はしつこく再燃し、さまざまな変異株の問題があります。それでも各国でワクチン接種が進み、トンネルの出口が、かすかに見えてきたようです。 一方で、どうにも解決が難しい問題を抱えています。それは、情報の真偽をどう見分けるか、ということです。◆信頼できるはずなのに コロナウイルスを巡っては、トイレ...

続きを読む

「次に掲げる」をどう読むか?(2021年3月28日配信『日本経済新聞』ー「春秋」)

「次に掲げる」をどう読むか? 霞が関の官庁街では「ジにケイげる」が正解である。法案作成で誤字は許されない。そこで送り仮名や同音異義語のミスをなくすため音読み訓読みを工夫する。規定はキサダで規程はキホド。奇妙な日本語での読み合わせが延々と続く。▼各課から優秀な人材を集め、プロジェクト部屋にこもり、内閣法制局とのやり取りを繰り返す。取材で長年、そんな法案作りの過程を間近に見てきただけに、とても信じられ...

続きを読む

「霞が関はつらいよ」(2021年3月26日配信『毎日新聞』-「余録」)

 もう20年近くも前だが、「雪国はつらいよ条例」が全国的な話題となった。実はこれ、新潟県中里村(現・十日町市)が豪雪対策として制定した「雪国はつらつ条例」の誤記だったのを覚えている方もいよう▲この誤記があったのは中学の「公民」の教科書で、県外からの問い合わせで間違いが分かった。この教科書には中里村を町とする間違いもあった。条例の名だろうと、検定を通った教科書だろうと、人のしでかす勘違いに聖域はない▲...

続きを読む

「非戦のサクラ」(2021年3月23日配信『東京新聞』ー「筆洗」)

 先週末の強い雨風にサクラの花が心配になる。月曜の早朝、近くの公園に確かめにいく。ソメイヨシノは風にも負けなかったようだ▼残念。こちらはずいぶんと散っている。濃いピンクの花びらが散り重なっている。少々早咲きのサクラなのでしかたがないか。満開は見逃したが、地に落ちてなお鮮やかなピンクが美しい▼品種名は「陽光」。別に「非戦のサクラ」とも呼ばれる。愛媛県東温市の元教員、高岡正明さんという方が私財をなげうち...

続きを読む

大石又七さん逝く(2021年3月22日配信『新聞』-「天風録」)

 丸木位里・俊夫妻の連作「原爆の図」には炎に焼かれる人々ではなく、核に抵抗する民衆を描いた作品がある。「焼津」と「署名」。米国が太平洋で強行した水爆実験で、静岡・焼津の第五福竜丸が被災したビキニ事件を題材とする▲夫妻は立ち上がる民に希望を託したのだろう。広島・長崎に次ぐ核被害は日本中を恐怖に陥れ、原水爆禁止運動に火を付けた。一方、元乗組員の多くは偏見などにさらされ、口を閉ざす▲それでも、若い世代に核...

続きを読む

週のはじめに考える 自然の略奪から脱して(2021年3月21日配信『東京新聞』-「社説」)

 卵を多く産むメンドリを繁殖に回したら、産卵率は上がるでしょうか?−。何とはなしに上昇しそうな気がします。 2990年代に米国パデュー大学のウィリアム・ミューア教授が行った研究です。 でも予想に反し、後続世代は卵を少ししか産まなくなりました。5世代目になると、檻(おり)の中に9羽いたメンドリのうち6羽は殺されました。残りの3羽もお互いの羽根をむしり合う凶暴ぶりでした。 最多の卵を産むメンドリは、他...

続きを読む

外国にもファンの多い秋田犬…(2021年3月14日配信『毎日新聞』-「余録」)

 外国にもファンの多い秋田犬。古くは米社会福祉活動家、ヘレン・ケラーに愛され、最近でもロシアのプーチン大統領やフィギュアスケートのザギトワ選手が飼っている▲ほとんどは短毛だが、まれに長毛が生まれる。標準から外れるため一般に流通せず、展覧会でも失格となるようだ▲大阪府岸和田市の建設業、河野海(こうの・つよし)さん(44)の愛犬「小次郎」は3歳の長毛秋田犬だ。昨夏、河野さんはピアニスト、ナカイマサシさん...

続きを読む

くらしは今(2021年3月13日配信『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 「一度登山をしたかった」という全盲の40代男性を手伝う機会があった。仲間を数人募って韓国岳へと赴いたが、だれもノウハウがない。一歩一歩が不安定で危険を伴う。徒歩の介助よりも格段に難しそうだ。 ヒマラヤ登山経験があるベテランに助けてもらい、滑落を防止する装備を本人と前後の介助役に装着しロープでつなげた。汗はかいたが、転倒はせず、5合目までたどりつけて男性は「景色は見えないけれど山の風、足の裏の感覚...

続きを読む

憎悪の心理感染(2021年3月12日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 中世の欧州でペストがはやると、ユダヤ人が毒をまいたせいだという流言が広がり、各地で迫害が起きている。幕末の日本でもコレラが流行した際、似た理屈で「異国人」が迫害の対象になったという▼<疫病がひとを襲うとき、いつも憎悪というもひとつの疫病が流行し…不幸に不幸をかさねる歴史を性懲りもなく繰り返すのである>。歴史学者の立川昭二さんは、30年以上前の著書『病(やま)いと人間の文化史』で歴史をひもときながら...

続きを読む

公明山口の講演は誰に向けたものか?(2021年3月10日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★8日、公明党代表・山口那津男は都内で講演し、自民党との連立は続くのかとの問いに「永遠ではない。国民の支持、信頼があってこその(連立)政権だ。国民の支持、信頼が失われることがあれば、連立が永遠に保証されるものでもない」と答え、現在の自民党政権について絶対的な信頼や評価があるわけでもないことを示唆した。★選択的夫婦別姓について問われ「公明党は一貫して賛成だ。(実現しないのは)自民党の一部の方が強く反対...

続きを読む

復興と憲法(2021年3月9日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 生存権を定めた憲法に違反するのではないか。憲法改正案の審議に関わった鈴木義男が震災復興10年の軌跡を目にしたならば、そう憤ったろう▼福島県白河生まれの鈴木は教壇に立った東北大学で軍事教練を批判したことで当局ににらまれ、辞職。それでも弁護士として治安維持法違反事件の弁護を務めるなど、人権重視を貫いた気骨の人である▼改正案を審議した衆院小委員会では、九条の平和条項や最低限度の生活を保障する国家の義務を...

続きを読む

週のはじめに考える 市場の不条理に抗う(2021年3月7日配信『東京新聞』ー「社説」)

 「うちの預金量が増えているんですよ」。首都圏に基盤を置く城南信用金庫の川本恭治理事長が、首をかしげながら打ち明けてくれました。 信金にとっての最優先課題はコロナ禍で苦境に喘(あえ)ぐ地域企業への支援です。コロナ関連の倒産は増え続け、解雇も二月末で九万人を超えました。信金が取引する多くの企業や店も資金繰りに苦しんでいます。この状況下で預金が増えているのは確かに不可解です。◆明と暗の差が大きい 実は...

続きを読む

優先順位低くさせている何か(2021年3月1日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★メディアでは、コロナ禍1年を検証する企画が相次ぐ。豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号の船内感染から始まり、さまざまなことが日本中で起こり、すべての国民に何らかの影響があり、混乱と迷惑の連続だった。そしてまだそれは道半ばだということになる。世界70カ国以上で接種が始まっているにもかかわらず、先進国で唯一といえるほどワクチン接種のめどが立たず、カネは払ったがワクチンが手に入らないのは日本の外交力と拙さや...

続きを読む

思い出すのではなく 週のはじめに考える(2021年2月28日配信『東京新聞』-「社説」)

 まずは、本紙生活面にある投稿欄「つれあいにモノ申す」に以前載った、67歳の男性からの投稿を一つ紹介しましょう。 <物忘れした体験を妻に話すと「おもしろい。『つれあい』に出したら」と言う。そこでパソコンに向かってみて困った。どんな話か思い出せない。妻に聞いたが覚えていない。仕方がない。そのことを投稿しよう> 今風に言えば、「年配者あるある」。いわば、罪のない健忘ですが、そうとは言っていられないこと...

続きを読む

「役者などは無能であり、次から次に生まれてくる使い捨ての商品みたいなもの」(2021年2月26日配信『しんぶん赤旗』ー「潮流」)

 半世紀も前のこと。俳優による初めてのデモが東京で決行されました。主な要求は外国語映画の日本語吹き替えに携わる声優の待遇改善。当時、出演料が安いうえに再放送分は支払われないなど、ひどいものでした▼そのとき激しい怒りを買ったのが経営側の代表だった植村伴次郎氏の発言でした。「役者などは無能であり、次から次に生まれてくる使い捨ての商品みたいなもの」。彼は音声製作会社の最大手であった東北新社の社長でした(...

続きを読む

責任政党・組織委・官僚にはびこる理屈(2021年2月24日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★責任政党が聞いてあきれる。自民党は鶏卵汚職事件で元農相が議員辞職。補選に候補者を立てない。それを国民の方で見識と忖度(そんたく)する必要はない。政治とカネの汚職が後を絶たないことの浄化作用が党内で働いているわけでもない。1回休みとしただけだ。広島での選挙買収を企てた夫妻には党からの資金が原資と分かったが、それを申し訳なく思ったわけでもない。幹事長からして「(政権に)あまりケチをつけるものじゃない」...

続きを読む

三勇士の教訓(2021年2月22日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 ハロウィーンの夜、火星人が襲来した。そんなラジオドラマを本物のニュースと思い込み、全米がパニックに陥った…◆名優オーソン・ウェルズを世に知らしめた有名な逸話は、実はそれほど大きな騒ぎではなかった。本当だと勘違いした人が多かったのは確かだが、問い合わせの電話が相次いだ新聞社が翌日、面白おかしく報じ、パニックが「事実」として定説になったという◆のちに作られた物語が語り継がれる。いわゆる「軍国美談」も同...

続きを読む

早期に「第3の独立」を 週のはじめに考える(2021年2月22日配信『東京新聞』ー「社説」)

 ミャンマーの軍事クーデターから3週間。国軍総司令官が全権を握り、国家顧問アウン・サン・スー・チー氏は自宅で軟禁されたままです。即時の釈放を求めますが東南アジアには、独裁政権の弾圧から立ち上がった女性リーダーたちが他にもいます。その活躍にも触れながら、スー・チー氏の来し方を振り返ってみます。「建国の父」の長女 第2次大戦終結の1945年生まれ。「建国の父」と慕われながらも暗殺されたアウン・サン将軍...

続きを読む

週のはじめに考える 歴史探偵が残した言葉(2021年2月14日配信『東京新聞』-「社説」)

 ざっくばらんな語り口で、歴史を生き生きと伝えてくれた作家、半藤一利さんが先月、90歳の生涯を閉じました。 「歴史探偵」「昭和史の語り部」という愛称がぴったりあてはまる人でした。 東京・向島生まれ。14歳の時、東京大空襲に遭って死線をさまよいます。終戦を告げる玉音放送は、勤労動員で駆り出された工場の中で聞いたそうです。◆悲惨な戦争に対する疑問 大学を卒業後、出版社で雑誌や本の編集に携わりました。「...

続きを読む

「命のビザ」一人芝居(2021年2月11日配信『福井新聞』-「論説」)

千畝の信念 未来へつなげ 】所属する外務省の命に反してでも人道支援を―。信念を貫いて行動した外交官杉原千畝の心の内を妻の視点で描いた一人芝居「六千人の命のビザ」が坂井市で上演された。後世に語り継ぐべき史実を多くの人が改めて考える機会となったように思う。 「六千人の―」は千畝の妻、幸子(ゆきこ)さんの同名の著作を基に、名古屋市の演劇企画団体「ポカラの会」が2015年に舞台化した。 第2次世界大戦中、駐...

続きを読む

疎(2021年2月7日配信『高知新聞』-「小社会」)

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く首都圏。IT企業に勤める高知出身の友人に近況を尋ねた。昨春の緊急事態宣言以降、ずっと在宅勤務といい、通勤手当もなくなったという。 当初は通勤や職場で避けられない「3密」を回避するためだったが、オンライン業務の体制が整うと、会社は経費が安く済む点に気付いた。「収束してもおそらく元には戻らないだろう」。それなら高知でも仕事ができるのではと、Uターンを促したことだった...

続きを読む

ナイジェリアの強い日差しの中を15歳の少女が3歳の妹を背負…(2021年2月7日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 ナイジェリアの強い日差しの中を15歳の少女が3歳の妹を背負いながら歩き続けている。焼けるような暑さ。おなかも減っている。それでも歩く▼背中の妹はマラリアに感染していた。母は病気で伏せっている。父親は戦争に行ったまま帰らない。自分が医者のところへ連れていかなければ、妹は助からない。長い距離を歩き続け、やっとたどり着いた教会の入り口には人があふれている。少女は妹を背負ったまま、人の足の間をはって進ん...

続きを読む

週のはじめに考える 民主主義の復元力(2021年2月7日配信『東京新聞』-「社説」)

 この年末年始、例年より「民主主義」という言葉があふれていたように感じました。それだけ語る必要性が高まったということでしょう。それはコロナ禍や、日米の政治状況と無縁ではありません。◆貴重で壊れやすいもの 米国のバイデン大統領は1月20日の就任演説で、冒頭から民主主義に言及しました。 「今日はアメリカの日です。民主主義の日です」「私たちは候補者の勝利でなく、民主主義の大義の勝利を祝います」「私たちは...

続きを読む

(論)「明日はきっと良い日になる」 英国の退役大尉トム・ムーア(2021年2月4日)

老兵の歩み(2021年2月4日配信『北海道新聞』-「卓上四季」) 老兵は死なず、消え去るのみと言ったのは、連合国軍総司令部のマッカーサー元帥だったが、今世紀のベテランは、そう簡単には退かぬもののようだ▼遅くとも、たどたどしくとも、確実な歩みの力強さを教わった。100歳で亡くなった英国の退役大尉トム・ムーアさんのことである▼世界で新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がっていた昨年4月、最前線に立つ医療...

続きを読む

荒れた手(2021年2月1日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 還暦を迎えた病院の院長が、お祝いの宴席で余興に駆り出された。目隠しをして、握手した5人の女性の中から奥さんを当てるゲームである。「この人です」と手を取って目隠しを外すと、苦労をともにしてきた妻の顔があった。さすが、と会場は沸いたが、院長の思いは複雑だった。〈私は一番荒れている手を選んだのである〉(上野恭一「妻の手」)◆人の手は、人生を刻んだ年輪のようなものかもしれない。大きさ、ぬくもり、皮膚の感...

続きを読む

(論)週のはじめに考える(『東京新聞』ー「社説」 2021年1月8・10・17・24・31日)

週のはじめに考える 後ろには夢がない(2021年1月31日配信『東京新聞』-「社説」) ある米紙の記者が自分の職業を表現して、プロフェッショナル・ウォリアーだ、と。勇ましいwarrior(戦士)に非(あら)ず、むしろ逆のworrier。「プロの心配性」というわけです。いかにも、私たち記者の書くものといえば「〜は大丈夫か」とか「〜が懸念される」とか何かにつけて心配したり疑ったりする内容が多い。お察し...

続きを読む

変わり者?(2021年1月16日配信『愛媛新聞』-「地軸」)

 明治から昭和にかけて活躍した四国中央市出身の政治家・思想家の安藤正楽は「宇摩の変わり者」とも評される。果たしてその実像は? そんなテーマの企画展が市内の郷土資料館「暁雨館」で開かれている▲正楽は、県議時代に部落差別解消へ尽力したことや、日露戦争の犠牲者を悼んで非戦を訴えた碑文で知られる。こうした人権や平和を重んじる考えはどう育まれたのか。交流のあった政治家や文化人らとの書簡などを通して知ることが...

続きを読む

歴史の教訓(2021年1月14日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 今日の社会や文明は、歴史の積み重ねの上にある。歴史とは単に過去の記録にとどまらない。そこから何かを学び取るからこそ、歴史は生きてくる。半藤一利さんの著作にそう教わった▼著書「昭和史」(平凡社ライブラリー)で五つの教訓を示した。「国民的熱狂」「抽象的観念論」「エリート小集団主義」「国際的常識の欠如」「短兵急な発想」。とりわけ重く見たのが「国民的熱狂」を防ぐ言論の自由・出版の自由だった▼2012年4月...

続きを読む

覇気と気概を(2021年1月9日配信『愛媛新聞』-「地軸」)

 優れた実務能力を持ち、人柄も温和かつ善良なのだ。ただ、いささか覇気に欠け、正論を主 張することができないのだという。そういう人物が儒教の祖である孔子の弟子の中にいた(呉智英著「現代人の論語」ちくま文庫)▲その弟子は有能な執務官として国の有力者に仕えていた。有力者はおごった振る舞いで富を築き、弟子は重税を取り立てて、その富を増やした。出仕先でその不正をいさめることができず、逆に不正に加担してしまうの...

続きを読む

浜矩子「権力者と対峙できない者は、政治家という職業名を剥奪されるべきだ」(2021年1月7日配信『AERA.com』)

連載「eyes 浜矩子」 浜矩子/経済学者、同志社大学大学院教授 経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、経済学的視点で切り込みます。*  *  * 筆者はカトリック信者だ。カトリックの信仰の中に、職種別の守護の聖人の存在がある。「聖人」は、カトリック教会が与える称号だ。殉教者や、世のため人のために命がけで尽くした高潔なる人々が「列聖」される...

続きを読む

「置き配」(2021年1月6日配信『山形新聞』-「談話室」)

▼▽千島のアイヌは北海道本島のアイヌとの交易で、奇妙な方法を採っていた。沖合に船が来ると山上に避難、相手が浜辺に品物を並べて沖に戻ったのを確認すると山を下り、欲しい品を取って代わりに獣皮を置いて去る。▼▽本島アイヌがそれらを回収して帰るまでの間、両者は対面せず言葉も交わさなかった。沈黙の物々交換。瀬川拓郎札幌大教授(アイヌ史)は、天然痘をもたらす疫病神への強烈な恐れが、彼らをそうした交易に向かわせたの...

続きを読む

(論)頼りない中央政権/地方の時代を引き寄せよう(2021年1月4日配信『河北新報』-「社説」)

 どこかで見た光景がよみがえった。そんな感想を持った方も多いのではないか。 昨年末、国政は「政治とカネ」を巡る事件や疑惑で大きく揺れ動いた。 安倍晋三前首相の「桜を見る会」前夜祭を巡る問題で、国会に呼ばれた前首相は、核心に触れることなく、事実でない答弁を繰り返した政治的責任も取らなかった。 吉川貴盛元農相は、農相在任中に関連企業から現金を受け取った疑いで、家宅捜索を受けた。 性懲りもなくと言うか、...

続きを読む

大学スポーツ界には、かつて「カリスマ」と…(2021年1月4日配信『河北新報』-「河北春秋」)

 大学スポーツ界には、かつて「カリスマ」とでも言うべき指導者がいた。双璧と目されるのが、ともに明治大で、ラグビー部を67年間率いた北島忠治さんと、長きにわたって野球部監督を務めた島岡吉郎さん。2人とも、畏怖の念を込めて「御大」と呼ばれた▼北島さんの教え「前へ」は明大ラグビーの代名詞にもなっている。ボールを前へ投げてはいけないラグビーにおいて、シンプルでありながら奥が深い。島岡さんの指導法は「人間力...

続きを読む

五木寛之氏・年頭特別寄稿「夜明け前の夜は深い」(2021年1月1日日配信『日刊ゲンダイ』)

作家の五木寛之氏(提供写真) 新しい年が始まる。 昨年は激動の一年だった。東京五輪が延期になり、大学生は登校できず、会社員は自宅でテレワークにはげむ。夜の街が目の敵にされ、不要不急の外出や集会も自粛。 日々、お上のコロナ感染者数に一喜一憂するさまは、戦時中の大本営発表を思わせた。 海外では欧米先進国が、見栄も外聞もないあわてぶり。ことに米国は悲惨だった。 トランプが退陣しても、トランプ的スピリッツ...

続きを読む

(論)2021年1月1日の社説・論説・コラム

コロナの先へ1 人と人の連帯を強めたい(2021年1月1日配信『北海道新聞』-「社説」) 新型コロナウイルスが猛威を振るう中で新年を迎えた。東京都のきのうの新規感染者数は初めて千人を超え、過去最多を更新した。 46億年の地球の歴史の中で、現生人類が生きたのは20万年。ウイルスはヒトよりはるか前から存在した。国境という人間が引いた線を越えて人から人へと伝染する。 われわれが築き上げてきた文明が攻撃さ...

続きを読む

噴き出す疑惑(2020年12月31日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

「桜」も「卵」も解明はこれから 安倍晋三前首相の「桜を見る会」問題での居直り、吉川貴盛元農林水産相の収賄容疑などによる強制捜査―。「政治とカネ」をめぐる数々の疑惑が菅義偉政権を揺さぶっています。国民の政治不信は高まる一方なのに、菅首相は解明に背を向ける姿勢を改めようとしません。それどころか、年内で幕引きを図ることを狙っています。こんな企てを許すわけにはいきません。徹底追及はこれからです。菅内閣の支...

続きを読む

「CORONA」(2020年12月29日配信『新潟日報』-「日報抄」)

 「CORONA」。店員さんは太字の名札を下げていた。新潟市郊外の家電量販店は歳末商戦たけなわだ。「新型は消臭力が強くなりました」。暖房コーナーでファンヒーターを熱心に説明している▼三条市のメーカー「コロナ」から派遣された若手社員だった。「大変な年でしたね」。思わず声を掛けた。マスクの彼はうなずいて言う。「でも年配の方が励ましてくれました。ありがたいです」▼世界中に広がった疫病の正式名は「COVID...

続きを読む

格別のお粗末会見 何やってんだか自民党は(2020年12月29日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★しかし、自民党は年の瀬になってもお粗末だ。前IT・科学技術相・竹本直一が新型コロナウイルスに感染したことが24日、事務所関係者への取材で判明した。竹本といえば18日夜、大阪市内のホテルで後援会約80人が参加した政治資金パーティーを開催。批判を浴びたばかりだ。竹本は24日に感染が判明し入院したが、竹本の東京事務所の秘書は22日から25日にかけて3人が陽性となっている。★25日には元沖縄北方相・宮腰光寛が富山市で開か...

続きを読む

検察とは何か、が問われた年だった…(2020年12月28日配信『毎日新聞』-「余録」)

 検察とは何か、が問われた年だった。1月末、黒川弘務元東京高検検事長の定年延長閣議決定から、12月、「桜を見る会」前夜祭を巡る安倍晋三前首相の不起訴まで、率直に失望の念を禁じえない▲黒川氏の定年延長は安倍氏が「法解釈を変えた」と一度は押し切った。問題が再燃したのは3月、後付けで定年延長規定を盛り込んだ検察庁法改正案が国会に提出されたからだ。ネット世論に広がった怒りが、政府を成立断念に追い込んだ▲人事...

続きを読む

週のはじめに考える 海底から見えた未来(2020年12月27日配信『東京新聞』-「社説」)

特攻艇「震洋」の基地跡と震洋の模型=鹿児島県の加計呂麻島で 鹿児島県の奄美地方には旧暦の3月3日に「サンガツサンチ」という年中行事があります。桃の節句ですが、地域によっては皆で浜に下りて海で遊ぶ日でもあります。この日に海に漬からないとカラスやフクロウになるという言い伝えもあるそうです。 奄美や沖縄など南の島々では海のかなたに豊穣(ほうじょう)をもたらすニライカナイという異界があると、古くから信じら...

続きを読む

思いやる気持ち(2020年12月20日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 弟殺しの科(とが)で島送りとなった喜助が、護送する同心に真相を尋ねられ、語り出す▼弟は病で働けなくなり、これ以上兄に負担をかけたくないと自ら剃刀(かみそり)で首を切った。だが死にきれず、再び首に刃を刺す。そこに喜助が帰ってくる。弟は「どうぞ手を借して抜いてくれ」と懇願。兄は医者を呼びに行こうとするが、苦悶(くもん)する弟の目に圧倒され剃刀を抜く。そして弟は息絶えた。同心は考える。これが罪なのかと▼...

続きを読む

週のはじめに考える 「コザ騒動」が伝える精神(2020年12月20日配信『東京新聞』-「社説」)

 コンビニや眼鏡店に交じってシャッターを下ろした空き店舗も。どこにでもある地方の街の風景。ただ、間を貫く片側二車線の広い道路がこの街の成り立ちを物語っています。米軍統治下に開設された旧・軍道24号。50年前の1970年12月20日未明、沖縄県コザ市(現・沖縄市)のこの道路で「コザ騒動」が起きました。 「革命が起きた、と思って家を飛び出した」。近所に住んでいて騒ぎを目撃したという沖縄市観光物産振興協...

続きを読む

日本の政治は1年間進展なし 感染爆発と医療崩壊が近づく(2020年12月18日配信『日刊ゲンダイ』)

中村敦夫 末世を生きる辻説法小池都知事 人間とチンパンジーの間には1・6%の遺伝子の違いしかない。人間は2本足で歩き、手を使うことで脳が大きくなり、言葉を獲得した。 しかし、日本の政界を見ている限り、飛び交う言語は不可解で、チンパンジー社会との違いが分からない。 とくに、コロナ危機が始まって以来、内閣や省庁、担当専門家たちは、矛盾に満ちた提案や数字を、ブチ上げてきた。「この3週間が勝負!」と西村大...

続きを読む

菅政権、支持率回復の切り札は残っているが(2020年12月15日配信『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

★毎日新聞の世論調査では政権発足直後に64%あった支持率は先週40%になり、先月7日の前回調査の57%からも17ポイント下落した。また不支持率は49%(前回36%)と急上昇した。政権発足3カ月でこれほどまでの急落は珍しいのではないか。14日のNHKの世論調査でも支持する42・4%で前回より14ポイント下落。また不支持は36・0%でこちらは17ポイントアップした。これは菅政権への期待外れとの思いに加え、前首相・安倍晋三の一連の「...

続きを読む

討ち入りの陰で(2020年12月13日配信『北海新聞』-「卓上四季」)

 あすの赤穂浪士による吉良邸討ち入りの日を前に、切腹した義士が眠る東京・泉岳寺を訪ねた。参拝客が手向けた線香の煙が冬の日の中に立ち上る▼事件を題材に主君への忠義に殉じる武士道をたたえた忠臣蔵の物語は戦前、国威発揚に利用され、戦後も変わらず日本人に愛された。今年は「やられたら、やり返す」が決めぜりふの人気ドラマを忠臣蔵に擬する向きもあった。閉塞(へいそく)感に満ちた年の瀬に、勧善懲悪の話に留飲を下げ...

続きを読む

週のはじめに考える 小さな声で「歓喜の歌」(2020年12月13日配信『東京新聞』-「社説」)

 師走ももう半ば。いつもの年末なら、あちこちから聞こえてくるあのメロディー、今年は耳にする機会がどうも少ないようです。 ♪ミミファソ ソファミレ ♪ドドレミ ミーレレ… ベートーベンの交響曲第九番、第四楽章の「歓喜の歌」。その演奏会が新型コロナのため、各地で次々と中止されているからです。◆苦境に直面した静響 静岡交響楽団(静響)も、その一つです。1988年に静岡県で初のプロオーケストラとして生まれた、...

続きを読む

政権自体が無用の長物か(2020年12月12日配信『しんぶん赤旗』ー「潮流」)

 世に三大無用の長物といわれるものがあるそうです。ピラミッドや万里の長城と並び、そこに名をあげられているのが戦艦大和です▼世界最大・最強の不沈艦とうたいながら、すでに制空権を握られ、大艦巨砲は時代遅れに。80年前の極秘の進水から沖縄への特攻作戦まで活躍の場もなく、3千余もの命とともに海に沈みました。今に換算すれば数兆円にもなる国費を投じながら▼「全精魂を傾け、このほとんど役立たなかった戦艦をつくり、...

続きを読む

プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ