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記事一覧

週のはじめに考える 情報の真偽を見極める(2021年4月4日配信『東京新聞』-「社説」)

2021年4月4日 07時40分 桜散る中、新年度が始まりました。 新型コロナウイルス対策も新たな局面に入っています。感染はしつこく再燃し、さまざまな変異株の問題があります。それでも各国でワクチン接種が進み、トンネルの出口が、かすかに見えてきたようです。 一方で、どうにも解決が難しい問題を抱えています。それは、情報の真偽をどう見分けるか、ということです。◆信頼できるはずなのに コロナウイルスを巡っては、トイレ...

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週のはじめに考える 自然の略奪から脱して(2021年3月21日配信『東京新聞』-「社説」)

 卵を多く産むメンドリを繁殖に回したら、産卵率は上がるでしょうか?−。何とはなしに上昇しそうな気がします。 2990年代に米国パデュー大学のウィリアム・ミューア教授が行った研究です。 でも予想に反し、後続世代は卵を少ししか産まなくなりました。5世代目になると、檻(おり)の中に9羽いたメンドリのうち6羽は殺されました。残りの3羽もお互いの羽根をむしり合う凶暴ぶりでした。 最多の卵を産むメンドリは、他...

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週のはじめに考える 市場の不条理に抗う(2021年3月7日配信『東京新聞』ー「社説」)

 「うちの預金量が増えているんですよ」。首都圏に基盤を置く城南信用金庫の川本恭治理事長が、首をかしげながら打ち明けてくれました。 信金にとっての最優先課題はコロナ禍で苦境に喘(あえ)ぐ地域企業への支援です。コロナ関連の倒産は増え続け、解雇も二月末で九万人を超えました。信金が取引する多くの企業や店も資金繰りに苦しんでいます。この状況下で預金が増えているのは確かに不可解です。◆明と暗の差が大きい 実は...

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思い出すのではなく 週のはじめに考える(2021年2月28日配信『東京新聞』-「社説」)

 まずは、本紙生活面にある投稿欄「つれあいにモノ申す」に以前載った、67歳の男性からの投稿を一つ紹介しましょう。 <物忘れした体験を妻に話すと「おもしろい。『つれあい』に出したら」と言う。そこでパソコンに向かってみて困った。どんな話か思い出せない。妻に聞いたが覚えていない。仕方がない。そのことを投稿しよう> 今風に言えば、「年配者あるある」。いわば、罪のない健忘ですが、そうとは言っていられないこと...

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早期に「第3の独立」を 週のはじめに考える(2021年2月22日配信『東京新聞』ー「社説」)

 ミャンマーの軍事クーデターから3週間。国軍総司令官が全権を握り、国家顧問アウン・サン・スー・チー氏は自宅で軟禁されたままです。即時の釈放を求めますが東南アジアには、独裁政権の弾圧から立ち上がった女性リーダーたちが他にもいます。その活躍にも触れながら、スー・チー氏の来し方を振り返ってみます。「建国の父」の長女 第2次大戦終結の1945年生まれ。「建国の父」と慕われながらも暗殺されたアウン・サン将軍...

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週のはじめに考える 歴史探偵が残した言葉(2021年2月14日配信『東京新聞』-「社説」)

 ざっくばらんな語り口で、歴史を生き生きと伝えてくれた作家、半藤一利さんが先月、90歳の生涯を閉じました。 「歴史探偵」「昭和史の語り部」という愛称がぴったりあてはまる人でした。 東京・向島生まれ。14歳の時、東京大空襲に遭って死線をさまよいます。終戦を告げる玉音放送は、勤労動員で駆り出された工場の中で聞いたそうです。◆悲惨な戦争に対する疑問 大学を卒業後、出版社で雑誌や本の編集に携わりました。「...

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週のはじめに考える 民主主義の復元力(2021年2月7日配信『東京新聞』-「社説」)

 この年末年始、例年より「民主主義」という言葉があふれていたように感じました。それだけ語る必要性が高まったということでしょう。それはコロナ禍や、日米の政治状況と無縁ではありません。◆貴重で壊れやすいもの 米国のバイデン大統領は1月20日の就任演説で、冒頭から民主主義に言及しました。 「今日はアメリカの日です。民主主義の日です」「私たちは候補者の勝利でなく、民主主義の大義の勝利を祝います」「私たちは...

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(論)週のはじめに考える(『東京新聞』ー「社説」 2021年1月8・10・17・24・31日)

週のはじめに考える 後ろには夢がない(2021年1月31日配信『東京新聞』-「社説」) ある米紙の記者が自分の職業を表現して、プロフェッショナル・ウォリアーだ、と。勇ましいwarrior(戦士)に非(あら)ず、むしろ逆のworrier。「プロの心配性」というわけです。いかにも、私たち記者の書くものといえば「〜は大丈夫か」とか「〜が懸念される」とか何かにつけて心配したり疑ったりする内容が多い。お察し...

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週のはじめに考える 海底から見えた未来(2020年12月27日配信『東京新聞』-「社説」)

特攻艇「震洋」の基地跡と震洋の模型=鹿児島県の加計呂麻島で 鹿児島県の奄美地方には旧暦の3月3日に「サンガツサンチ」という年中行事があります。桃の節句ですが、地域によっては皆で浜に下りて海で遊ぶ日でもあります。この日に海に漬からないとカラスやフクロウになるという言い伝えもあるそうです。 奄美や沖縄など南の島々では海のかなたに豊穣(ほうじょう)をもたらすニライカナイという異界があると、古くから信じら...

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週のはじめに考える 「コザ騒動」が伝える精神(2020年12月20日配信『東京新聞』-「社説」)

 コンビニや眼鏡店に交じってシャッターを下ろした空き店舗も。どこにでもある地方の街の風景。ただ、間を貫く片側二車線の広い道路がこの街の成り立ちを物語っています。米軍統治下に開設された旧・軍道24号。50年前の1970年12月20日未明、沖縄県コザ市(現・沖縄市)のこの道路で「コザ騒動」が起きました。 「革命が起きた、と思って家を飛び出した」。近所に住んでいて騒ぎを目撃したという沖縄市観光物産振興協...

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週のはじめに考える 小さな声で「歓喜の歌」(2020年12月13日配信『東京新聞』-「社説」)

 師走ももう半ば。いつもの年末なら、あちこちから聞こえてくるあのメロディー、今年は耳にする機会がどうも少ないようです。 ♪ミミファソ ソファミレ ♪ドドレミ ミーレレ… ベートーベンの交響曲第九番、第四楽章の「歓喜の歌」。その演奏会が新型コロナのため、各地で次々と中止されているからです。◆苦境に直面した静響 静岡交響楽団(静響)も、その一つです。1988年に静岡県で初のプロオーケストラとして生まれた、...

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週のはじめに考える 冬が来る前に(2020年11月29日配信『東京新聞』-「社説」)

 ギリシャ神話によると、女神ペルセポネは、冥界のザクロの実を12粒中、四粒食べてしまったことで、年の3分の1を冥界で暮らすはめに。母親の豊穣(ほうじょう)の女神デメテルはそれを嘆き、その間、地上に実りをもたらさないと決めてしまう。それが「冬」の始まり…。 暦の上ではもう冬ですが、気象学的には12月からです。つまり今は、ぎりぎり、冬が来る前、というタイミング。◆感染が広がりやすい季節 「冬が近づくと…...

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週のはじめに考える まちの図書館が消える(2020年11月22日配信『東京新聞』-「社説」)

 久しぶりに顔を出そうとしたバーや居酒屋が閉店していた。あのマスターやおかみはどうしているのだろう。こんなことならもっと早く足を運べばよかった−。新型コロナウイルスがまん延する今年、こんな経験をした人も多いのでは。風景や建物、人も同じでしょう。失って初めて、そこにあることの大切さに気づく。人生においてしばしば経験することです。◆全国屈指の貸出数に 中部国際空港が立地する愛知県常滑市から図書館がなくな...

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週のはじめに考える 民主主義のある風景(2020年11月15日配信『東京新聞』-「社説」)

 4年に一度の米大統領選は、これまでにない緊張感に包まれました。過半数の選挙人を獲得した民主党のバイデン前副大統領が勝利宣言する一方で、現職共和党のトランプ大統領は敗北を認めず、異例の法廷闘争に突入しています。 いくらトランプ氏が居座ろうとも、米国民をはじめ、ほかの民主主義国家がそれを許しません。 バイデン氏はすでに政権移行に向けて始動し、各国首脳との電話会談を始めました。 トランプ政権との蜜月関...

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暮らしの循環変わる時 週のはじめに考える(2020年11月1日配信『東京新聞』-「社説」)

 先日、定期として使っているICカード乗車券を落としました。駅員の方が拾って届けてくれたので事なきを得ました。 停車中の電車を目がけて走り、ワイシャツの胸ポケットに入れたカードがこぼれ落ちたらしい。今振り返ると「なぜあの時走ったのか」という疑問が湧きます。 コロナ禍以降、多くの企業が打ち合わせにリモートを活用しています。弊紙も同様です。周囲に配慮すればどこにいても会議に参加できる機能です。だからあ...

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週のはじめに考える 勝てばいいのか(2020年10月25日配信『東京新聞』-「社説」)

 一般に、何かの勝負をする時、勝ちたいと思うのは当然。でも、勝つことより、どう勝つかが問題だ、と考える人もいます。 例えば、ムハンマド・ラシュワンさん。ご記憶の方も多いでしょう。1984年のロス五輪、柔道の無差別級決勝で、日本オリンピック委員会の現会長、山下泰裕さんと対戦したエジプト人です。◆スポーツでも、選挙でも もう十何年も前、カイロでお会いした時、本人から聞いた話ですが、お国の柔道連盟の幹部...

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週のはじめに考える 団結こそ平和を守る(2020年10月18日配信『東京新聞』-「社説」)

 75年前に誕生した国連は、基本的精神を盛り込んだ憲章を持っています。その前文が、今年あちこちで引用されました。 「われら連合国の人民は、一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い…」 国連の前身「国際連盟」には米国は参加せず、第二次大戦も防げませんでした。このため、二度と世界規模の戦争を起こさない。平和を守る。国連は、そんな願いのこもった組織でした。◆全力で支...

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車いすで乗る新幹線 週のはじめに考える(2020年10月11日配信『東京新聞』-「社説」)

東海道新幹線に6台の車いす用スペースを配置する実証実験=東京都品川区で(国土交通省提供) 「行楽の秋」なのに、このコロナ禍では旅行気分になれない人は多いでしょう。しかし、新幹線の変革を知ってもらいたいと思います。国のバリアフリー基準が近く改正され、車いす用スペースが大幅に増えるのです。 「世界最高水準のバリアフリーだ」。改正に携わる関係者らは胸を張っています。 車いす用スペースは列車の座席数で決ま...

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週のはじめに考える 統一で得た自由の値打ち(2020年10月4日配信『東京新聞』-「社説」)

 ドイツ統一から3日で30年。統一により、社会主義国家だった東ドイツにも行き渡った自由は、民主主義の根幹をなす重要な価値観です。ポピュリズムや不寛容が広がりつつある今こそ、自由の値打ちを見直したい。 民主化要求運動の勢いに押され1989年11月9日、東西ドイツの国境を隔てていた壁が崩壊しました。その一年後の九〇年十月三日、西独が東独を編入する形でドイツ統一が実現しました。 東西の格差など統一のひず...

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週のはじめに考える 民主主義の旗色は(2020年9月27日配信『東京新聞』-「社説」)

 当たるを幸い、とでも言うべきか、昨今、中国のほとんど全方位的な強硬姿勢が目につきます。米国との確執は言うまでもなく、インドとは国境での衝突で角突き合わせ、南シナ海ではベトナムなどの主張お構いなしで領有の既成事実化に走り、かと思えば、突如、ブータンに領土論争を仕掛け、その一方で、新型コロナの国際調査を求めたオーストラリアに報復とみられる措置を次々に…。◆広がる中国への「支持」 わけても、その遠慮のな...

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週のはじめに考える 専守防衛を穿つ安保法(2020年9月20日配信『東京新聞』-「社説」)

 安全保障関連法成立から5年。この間、自衛隊は「調査・研究」名目で中東に派遣され、「憲法の趣旨でない」とされた「敵基地攻撃能力の保有」に向けた議論も進みます。安保法は「アリの一穴」をさらに穿(うが)ち、「専守防衛」の防波堤を崩壊させつつあります。    ◇    ◇ アリの一穴とは、どんなに堅固に築いた堤も、アリが開けた小さな穴が原因で崩落に至ることがある、ささいなことが大事を引き起こす、という趣旨...

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週のはじめに考える 教訓は正しかったのか(2020年9月13日配信『東京新聞』ー「社説」)

 その日のことは外交官も研究者も予想できませんでした。 1990年8月2日。イラクが隣国クウェートに侵攻しました。湾岸危機の始まりです。今年はそれから30年に当たります。◆想定外の湾岸危機発生 侵攻の四日前、クウェートの日本大使館では夏祭りが開かれていました。日本だけが疎かったのではありません。侵攻当日、イラク駐在の米国大使は休暇で出国していました。イラク軍は居座り続けますが、翌年1月には米軍が主...

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週のはじめに考える リスク、ゼロにできない(2020年9月6日配信『東京新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染がこの夏、再び拡大し、一方で過剰ともみられる反応も報じられています。流行が始まって八カ月。積み重なってきた情報をもとに、コロナに対する姿勢をどうするべきか、考えてみましょう。 東京の近郊都市では、8月初め、1人の中学生がコロナ陽性と判定されたことで、その自治体のすべての中学校の部活動は、10日間にわたり、すべて中止とされてしまいました。市の教育委員会は「念のための措置。学...

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週のはじめに考える 中国「戦狼外交」の誤算(2020年8月31日配信『東京新聞』-「社説」)

 中国が「戦狼(せんろう)外交」といわれる好戦的な外交姿勢を強めたことで、国際社会との摩擦が目立っています。国内では習近平国家主席が号令をかける「大国外交」の象徴として歓迎する声もありますが、地域の安定を損なう覇権主義につながるとの国際社会の批判に、中国は冷静に耳を傾けるべきです。◆「従順な中国終わった」 中国軍特殊部隊の元隊員が内戦下のアフリカで同胞を救うため活躍する映画「戦狼」が2017年に大...

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週のはじめに考える 憲法を尊重してますか(2020年8月23日配信『東京新聞』-「社説」)

 第二次内閣発足以降の安倍晋三首相の連続在職日数があす大叔父の佐藤栄作首相の2798日を超え、史上最長となります。 ほぼ1年おきに首相が交代していた第二次安倍内閣前と比べ、政治の安定は一般的には望ましいのでしょう。しかし、安倍首相の場合、有権者にはあまり歓迎されていないようです。そのことは、世論調査からもうかがえます。 2012年の第二次安倍内閣発足後、内閣支持率はおおむね40%以上を維持してきま...

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<戦後75年>週のはじめに考える ぐんぐんぐんぐん(2020年8月9日配信『東京新聞』-「社説」)

 女性の年齢のことを云々(うんぬん)するのは少々はばかられるのですが、この方のそれは、いつでもすぐに思い出せてしまいます。 女優の吉永小百合さん。自ら、こうおっしゃっているからです。 「戦後と同い年」 インタビューさせてもらったのは十五年も前。ちょうど戦後60年の、やっぱり夏でした。 当時の紙面で確かめると、例えばこんな発言をなさっています。 「憲法九条が私たちを守ってくれていると思うんですね。よ...

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週のはじめに考える 支え合い70年の歩み(2020年8月3日配信『東京新聞』-「社説」)

 戦後75年を迎えた今年、ちょうど70年となった社会の歩みがあります。 生きる上で困難に直面した時、人と人が支え合う社会の仕組み。そう、社会保障制度の歩みです。 終戦から五年後の1950年、政府の社会保障制度審議会が、当時の吉田茂首相にある提言書を出しました。◆社会保障制度の原点 「社会保障制度に関する勧告」 出された年にちなんで「50年勧告」と呼ばれます。 生存権を保障する憲法25条の理念に沿っ...

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週のはじめに考える 負けるな!市民の第九(2020年7月19日配信『東京新聞』-「社説」)

 今年はベートーベンの生誕250年ですが、泉下の楽聖も寂しがっておられるでしょう。各地の市民合唱団の「第九」がピンチに陥っているためです。本番は大体年末ですが、練習開始はこの時期。ところが団員募集の停止や公演中止が相次いでいます。 その原因は、コロナ禍。練習も本番も「三密」を招く懸念があるからです。普通の市民がドイツ語の第九を暗譜で歌う−。コロナはそんな日本独自ともいえる市民文化をも侵食しています...

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Author:gogotamu2019
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