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米軍属の殺人4年 特権の維持は許されない(2020年4月29日配信『琉球新報』-「社説」)

 2016年4月に本島中部で発生した米軍属による女性暴行殺人事件から4年が過ぎた。貴い命が奪われた悲惨な事件を検証し、再発防止策を徹底する。それが私たちに課せられた使命であることを改めて確認したい。

 事件後、日米両政府は、無期懲役が確定した受刑者が米軍属だったことから、軍属の範囲や基準を見直す日米地位協定の補足協定を結んだ。

 しかし、現実には、加害者側が事件に乗じて“焼け太り”したような事実もある。

 地位協定で裁判権などが及ばない特権が認められた軍属は16年末時点で約7300人だった。外務省沖縄事務所によると、それが19年9月の時点で1万1280人に増えている。国内の刑事法が適用されない特権層が約1・5倍に膨らむとは、理解に苦しむ事実である。

 補足協定では、軍属を8分類化した。分類によれば、事件を起こした米軍属だった男は米政府が直接雇用していないコントラクター(請負業者)の従業員に該当する。

 外務省関係者は、男が軍属の対象から外れることは明らかにしたが、そこにもからくりがある。軍属の要件を満たすコントラクターがいることだ。「合同委員会により特に認められること」などの条件はあるが、米側などの裁量によって軍属の対象となる場合がある。米側に軍属であるか否かの裁量の余地を残しているのだ。

 16年末時点でコントラクターの従業員は約2300人だったが、19年9月時点では2496人に増えている。

 地位協定の特権を得かねない対象者が増え、かえって米側に有利な方向へ地位協定を補強した結果になったのではないか。きちんと検証する必要がある。

 玉城デニー知事も24日の定例記者会見で、事件を機に軍属の範囲や基準を見直すために締結された地位協定の軍属補足協定について「どう事件事故の減少につながるのか、はっきり見えていない」と疑問を呈している。

 事件を受け、政府は16年に「沖縄・地域安全パトロール隊」(通称・青パト)事業を開始している。沖縄総合事務局によると、18年末までにパトロール隊が県警に通報したのは、米軍関連がわずか6件だ。その内訳も路上寝が3件、交通関係が2件、けんか・口論が1件という。その場しのぎのような事業をいくらやっても抜本的な解決にはつながらない。

 米軍関係の犯罪を抑止するための最も効果的な予防策は在沖米軍人・軍属を大幅に削減することだ。補足協定ではらちが開かない。元凶である地位協定には大なたを振るわなければならない。

 政府は、国内法が適用されない不平等にいつまでも目をつむっていてはいけない。無理に無理を重ねる日米地位協定のゆがみをただすのは至上命令だ。




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