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補正予算に関する社説・論説・コラム集(2020年5月1日)

コロナ補正予算 不十分なのは明らかだ(2020年5月1日配信『北海道新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応する緊急経済対策を盛り込んだ本年度補正予算が成立した。

 休業要請と経済の停滞で国民生活に深刻かつ広範な影響が出ている。個人および収入が半減した中小企業、個人事業主への現金給付を速やかに実施する必要がある。

 国会審議を通じて、アルバイトで学費などを稼ぐ学生への支援や、休業に協力する事業者の家賃負担軽減といった補正予算の足らざる部分が浮き彫りになった。

 しかも緊急事態宣言が延長される方向となっている。ウイルスとの闘いは長期化が避けられまい。今回の対策だけで済まないのは明らかである。

 所得減少世帯には一律10万円給付のみで足りるのか。中小企業などへの最大200万円の給付も減収を補うには十分とは言い難い。

 今は命と暮らしを守るため、二の矢、三の矢となる対策が必要だ。

 米国の今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)が年率換算で前期比4・8%減となるなど、世界経済の落ち込みが激しい。大恐慌の再来も懸念される事態である。

 国内でもコロナの影響による倒産が100社を超えた。先を見通せず廃業する事業者も出ている。

 平時なら事業を継続できる人たちをいま助けなければ、終息後の景気回復もままならない。

 それなのに政府は、休業要請に応じたことに伴う損失を穴埋めする補償をなおも否定している。

 自治体独自の休業協力金に総額1兆円の臨時交付金を使うことは辛うじて認めたが、補償は国の責任で手当てするのが筋だ。自治体の支援が進み、交付金が不足するなら増額も躊躇(ちゅうちょ)すべきではない。

 企業の経営悪化を受け雇用情勢も厳しさを増している。3月の有効求人倍率は3年半ぶりの低水準となった。失業者が前年比100万人以上増えるとの試算もある。

 従業員を解雇せず休業手当を支払う企業への雇用調整助成金は、日額上限8330円を超過する分は企業が負担する上、資金不足で休業手当自体を払えない企業も多い。上限引き上げも検討すべきだ。

 今は経済活動より感染抑制が最優先される局面である。だが補正予算で感染防止対策などに充てたのは、自治体への臨時交付金を除けば8097億円にとどまる。

 これで検査体制などを拡充し、窮状が続く医療現場を支えられると考えるなら認識が甘くないか。

 一方で終息後の消費喚起に1兆6794億円を投じる。政府は優先順位を明らかに誤った。



新型コロナ・10万円給付/必要な人に早く届く努力を(2020年5月1日配信『福島民友新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国民に一律10万円を支給することを盛り込んだ政府の補正予算がきのう成立した。

 世界的な感染拡大による経済の停滞や要請に伴う休業、雇い止めなどで、金銭のやりくりに行き詰まっている人は多い。今すぐお金を必要としている人に、一刻も早く給付金が届くようにしなければならない。

 予算成立により、一部の市町村は連休明けに支給を開始する。このうち、相馬市は既に各世帯への申請用紙の発送を終え、連休中も返送された申請書を郵便局に受け取りに行くなどして、支給初日の7日にできるだけ多くの世帯に給付金を指定の銀行口座に振り込むことにしている。

 今、求められているのは支給のスピード感だ。支給の時期に大きな差が生じれば、不公平感が生まれる。各市町村には、スムーズな申請書の発送など、早期の支給に向けて知恵を絞るよう求めたい。

 最も早く住民に現金を支給できるのは、決められた場所に住民が出向き、住民登録を確認した上で手渡しする方法だろう。しかし、2009年のリーマン・ショックの際の定額給付金では、支給場所の市役所や公民館に長い列ができており、感染防止の観点からは望ましい方法とはいえない。市町村は、感染防止に配慮した支給方法を検討してほしい。

 今回の給付金は、住民基本台帳に載った住所に申請書が郵送され、世帯主が家族分を一括で申請する仕組みだ。家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス、DV)から逃れるため、住民票を移さずに別の住所で暮らす人は、DV被害を証明する書類とともに避難先の市区町村に申し出れば、給付を受けることができる。

 政府は、別居の世帯主が被害者の分を含めて給付金を受け取った場合でも、被害者に現金を給付することにしている。世帯主には二重に交付した給付金の返還を求める。政府や支援団体は、制度の周知を徹底することが重要だ。

 給付金をめぐっては、政府が公明党などの要請で、当初予定していた減収世帯への30万円給付から、一律10万円給付にかじを切り、補正予算案の閣議決定をやり直した経緯がある。収入が大幅に減った人には、かえって支援が手薄となったケースもある。

 全国を対象地域とした、6日までの緊急事態宣言は延長される見通しとなっている。各世帯への影響も長期化が免れない。政府には、減収世帯に向けた支援を引き続き検討することが求められる。



【新型コロナ 補正予算成立】農業に細やかな支援を(2020年5月1日配信『福島民報』-「論説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020(令和2)年度補正予算が成立した。全国民への10万円の一律給付や売上高が半減した中小事業者への給付金の支給などの経済対策が進む。県内の基幹産業である農業関連では、国産農林水産業等販売促進緊急対策として1400億円余が確保された。県内で生産される良質な牛肉や花卉[かき]の値崩れや在庫の滞留の解消につながるよう期待する。

 緊急対策は、インバウンドの減少や輸出の停滞、飲食店の休業により生まれる牛肉や果実の余剰在庫を減らし、低下した価格の維持・回復を図るのが目的だ。学校給食への提供やネット販売、配達や持ち帰り飲食店と連携した新商品開発に対して、事業費の2分の1までを補助する。

 県産牛肉は新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた3月以降、価格の下落が続いている。JA会津よつばのまとめでは、比較的肉質の高いA4去勢の1キロ当たりの価格は、昨年11月に2443円だったが、3月には1857円、4月16日現在では1511円まで下がった。ブランドの「会津牛」の入札価格も昨年の3分の2まで低下している。畜産業は、子牛の買い付けや餌代など初期からの投資が大きい。肉の販売価格の下落が経営そのものを直撃する。スピード感のある支援が重要だ。

 緊急対策のメニューで、最も効果的なのは学校給食への提供だろう。一度に大量の肉を消費できる。事業を円滑に進めるには、県や市町村の教育委員会と食材の調達などの実務に当たる学校給食会、牛肉を提供するJAなどの農業団体の連携が欠かせない。すでに下準備には着手していると聞く。県内の小中学校、高校は休校が続くが、学校再開に合わせてできるだけ早く事業展開できるよう求めたい。

 さらに、事業を単なる経済対策ととらえず、児童、生徒の学習の機会として役立ててほしい。JA会津よつばは、予算案が発表された直後から「会津牛」が提供できないか検討を重ねてきた。会津地方の小中学校の給食に「会津牛」を提供すれば、地元の産業を食を通して理解するきっかけになる。

 畜産に加えて、花卉は3月以降の卒業式、入学式の縮小や中止による需要減もあり、昨年の5割程度まで価格が落ち込んでいる。急激な収入減にあえぐ農業関係者は緊急対策の支援を待っている。窓口となる県や市町村、JAは、効果が確実に表れるよう、きめ細やかに対応しなければならない。



補正予算成立 切迫する次の支援を急げ(2020年5月1日配信『茨城新聞』-「論説」)

 一律10万円の給付をはじめ緊急経済対策の財源を盛り込んだ2020年度補正予算が成立した。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大と全国への緊急事態宣言に伴い、営業できない店舗の家賃や学費の支払いなど新たな問題が浮上している。政府には補正成立に安心することなく、これら切迫する次の支援の実現を急いでもらいたい。

 歳出総額約25兆7千億円の補正予算の柱は、国民に一律10万円を給付する費用約12兆9千億円をはじめ、中小・小規模事業者の資金繰り支援として約3兆8千億円、同じく事業者を対象とした最大200万円の給付金で約2兆3千億円などだ。

 いずれも生活や事業で困難に直面する人々には欠かせない支援であり、早急に行き渡る必要がある。ところが実現は早くて5月の連休明けになる見通しという。

 対策作りの本格化が3月下旬だったことを考えると、著しく迅速さに欠けると言わざるを得ない。この間、個人への給付金を巡り補正組み替えの混乱があったことが一因だ。安倍晋三首相は国会で「各種給付金を一日でも早くお届けできるように、あらゆる運用面での工夫を講じていきたい」と強調した。今こそ有言実行を示す時だ。

 補正成立で遅ればせながら実行に移る緊急対策だが、問題点が少なくない。まず柱である個人向けの給付金だ。国民一律に10万円へと変更したせいで、勤務先の休業などで収入が大きく減った単身や2人世帯には受給額が減るからだ。当初の給付案は1世帯に30万円だった。困窮世帯にとって給付が遅い上に不十分な額ではたまらない。自粛要請の長期化が避けられないのであれば次の手だてを考えるべきだろう。

 他方、新たな焦点が中小事業者などに対する家賃支払いの支援だ。店舗などの賃料は営業を自粛している間も生じるため中小事業者には死活的な問題となっている。

 この点について野党は、政府系金融機関が一時的に家賃を肩代わりしたり、賃料を減額した物件所有者に国が補助したりできるようにする法案を共同で国会へ提出した。政府、与党は今回の対策に盛り込まれた中小事業者向けの無利子融資や給付金などで対応したい構えだ。商業用店舗の賃貸では借り手が多額の保証金や敷金を負担するのが一般的で、それらは貸主にとって家賃滞納などに備えた資金の性格がある。その点を考えれば支援はより借り手に負担の少ない方策が望ましいだろう。

今後の支援ではほかにアルバイト先の休業などで収入が減少した学生の学費負担や、補正予算で1兆円を確保した地方自治体向け臨時交付金の増額が焦点になろう。時機を逃さぬ支援には補正で措置された1兆5千億円の予備費の活用も柔軟に検討してもらいたい。

 今回の補正予算は、政府と与党がその気になれば、いったん決定した予算の組み替えが可能である点を明白にした。

 20年度当初予算は、コロナ禍が深刻化していたにもかかわらず修正されないまま3月末に成立。過去最大5兆3千億円余りの防衛費などに緊急性があるのか疑問に感じた国民は少なくない。

 国会は議員歳費の一時的削減といった「枝」でお茶を濁すのでなく、予算改革の「幹」に正面から取り組むべきである。



補正予算が成立 生活・医療の追加策急務(2020年5月1日配信『毎日新聞』-「社説」)

 コロナ対策で国民に現金10万円を給付することを柱とした25兆円超の今年度補正予算が成立した。

 生活に困窮している人への支援がようやく動き出すが、あまりにも遅すぎる。安倍晋三首相がイベント自粛や一斉休校を要請してから2カ月以上も経過している。

 しかも現金が多くの国民に届くのは5月下旬以降とみられる。窓口となる市区町村は迅速な給付に努めてほしい。政府も自治体に任せず、しっかり支援すべきだ。

 追加対策を急ぐ必要がある。

 景気悪化で非正規雇用は3月だけで26万人も減った。感染拡大で医療現場も危機的状況にある。補正予算では不十分との声が多い。

 政府は緊急事態宣言の期間延長を検討している。追加の支援策がさらに後手に回れば、生活と医療は一段と脅かされる。

 国会審議で焦点となったのは、休業を余儀なくされている小売りや飲食店などの家賃の支援だ。

 政府は、予算に計上した最大200万円の中小企業給付金で家賃も賄えると説明してきた。だが条件は売上高半減と厳しすぎる。

 家賃支援には首相も前向きな姿勢を示した。それだけ重要な課題と認識しているのなら、なぜ予算に盛り込まなかったのか。

 休業した企業を独自に支援している自治体もある。だが財政力が弱い自治体も多い。政府は地方への交付金1兆円を予算に計上したが、とても足りない。

 現金給付も低所得者への追加が必要だろう。今回の10万円を受け取った高所得者から税金を多く徴収し、追加給付の財源に充てることも一案ではないか。

 病院の診療態勢を支える予算はもっと貧弱である。

 医療崩壊の回避は喫緊の課題だ。感染の有無を調べるPCR検査の拡充はもちろん、軽症者を受け入れる施設の確保や人工呼吸器の整備、応援医師の派遣はどれも欠かせない。それなのに全て合わせても1490億円に過ぎない。

 一方、クーポン発行など消費喚起に充てられたのは10倍以上の1・7兆円にも上る。外出自粛を求めている今は必要ないはずだ。

 首相は国会でPCR検査が滞っていることを認めた。不要不急の事業を見直し、生活と医療を守る対策に徹するべきだ。



「鏡の国のアリス」に出てくる赤の女王は…(2020年5月1日配信『毎日新聞』-「余録」」)

 「鏡の国のアリス」に出てくる赤の女王はアリスに言う。「いいこと、ここでは同じ場所にとどまるためには、全力で走り続けなければならないのよ」。トレーニングジムのランニングマシンみたいな話である

▲「赤の女王効果」とは、絶えず進化し続けていないと存続すらできない生物界の種の間の競争を表すたとえである。人間と感染症とのせめぎ合いもいわばその一つで、人が病原体を制する薬を作れば、すぐ耐性をもつ病原体が現れる

▲このいたちごっこがいわば生物界の宿命で、ちなみにウイルスの進化速度は人間の100万倍ともいう。新型コロナウイルスとのせめぎ合いも先が心配だが、こと人間の世界でもやたらと環境の変化に敏感で、適応の早い連中がいる

▲情けないことに、世はコロナ禍に便乗した詐欺やペテンのニュースが引きもきらない。とくに今は10万円の給付金支給にからめただましの手口に要警戒だろう。電話やメールで持ちかけられる給付金話にくれぐれもご注意願いたい

▲給付金や助成金をめぐる詐欺の他にも、マスクや衛生用品購入をめぐる詐欺、融資や働き口などのあっせん詐欺、支援名目の個人情報詐取などなど。およそコロナ禍がもたらすあらゆる不安や不幸につけこむ詐欺師らの悪知恵(わるぢえ)である

▲世の中に異変があれば、人をだますチャンスだと思うのが連中の“本能”のようだ。腹立たしくとも、ここは「赤の女王」のアドバイスを受け入れ、悪知恵の進化に見合った警戒心をとぎすますしかない。



補正予算成立 政策総動員し家計と企業守れ(2020年5月1日配信『読売新聞』-「社説」)

 感染の収束が見通せるようになるまで、政府が国民の暮らしや経済を支えなければならない。

 2020年度補正予算が、主要野党も賛成して成立した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対策である。

 事業規模で117兆円となる対策の柱は、現金給付だ。国民に一律10万円を支給する。

 緊急事態宣言が全国に発令され、休業などで収入が減った家庭は少なくない。現金給付で家計を援助する狙いは理解できる。

 10万円の給付は今後、自治体が具体的な作業を行う。迅速な支給を目指すべきだ。

 休業要請に応じた飲食店などは苦境に立たされている。工場の休止や販売不振で、製造業の業績悪化も懸念される。

 補正予算では、売り上げが激減した中小企業に最大200万円、個人事業主には最大100万円を給付する制度を創設した。事業者向けに無利子・無担保の融資や、納税の猶予も行う。

 経営者が様々な制度を組み合わせて活用できるよう、政府は周知に努める必要がある。

 安倍首相は、全国を対象にした5月6日までの緊急事態宣言を延長する方針だ。

 休業が長期化し、企業の経営は厳しさを増そう。倒産を防ぎ、雇用を守ることが肝要である。

 政府は経済動向を見極めて、必要ならば追加の財政措置を躊ちゅう躇ちょなく行わなければならない。

 多くの自治体が、休業した事業者に独自の支援金を払う予定だ。災害に備えた基金を取り崩し、財源に充てる自治体もある。

 政府は補正予算で、地方に計1兆円の臨時交付金を配分する。これを増額し、自治体の取り組みを後押ししてはどうか。

 アルバイト先が休業し、生活費の確保や学費の支払いに窮している大学生は多い。

 政府は、従業員を休ませた企業に支給する雇用調整助成金の適用範囲を広げた。非正規労働者も対象だが、手元の資金がなく、休業手当を払えない事業者もいる。

 大学が行う授業料の減免を政府が補助することが求められる。

 医療崩壊を防ぐ対策も充実させたい。政府は自治体と協力し、感染者用の病床の整備を進めるべきだ。防護服やマスクなどの資材を確保し、医師や看護師を感染から守ることが欠かせない。

 政府は、重症患者を受け入れる医療機関に対する診療報酬を倍増する。対象の拡大などで、幅広い病院を支援することが重要だ。



補正予算成立 政策総動員し家計と企業守れ(2020年5月1日配信『読売新聞』-「社説」)

 感染の収束が見通せるようになるまで、政府が国民の暮らしや経済を支えなければならない。

 2020年度補正予算が、主要野党も賛成して成立した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対策である。

 事業規模で117兆円となる対策の柱は、現金給付だ。国民に一律10万円を支給する。

 緊急事態宣言が全国に発令され、休業などで収入が減った家庭は少なくない。現金給付で家計を援助する狙いは理解できる。

 10万円の給付は今後、自治体が具体的な作業を行う。迅速な支給を目指すべきだ。

 休業要請に応じた飲食店などは苦境に立たされている。工場の休止や販売不振で、製造業の業績悪化も懸念される。

 補正予算では、売り上げが激減した中小企業に最大200万円、個人事業主には最大100万円を給付する制度を創設した。事業者向けに無利子・無担保の融資や、納税の猶予も行う。

 経営者が様々な制度を組み合わせて活用できるよう、政府は周知に努める必要がある。

 安倍首相は、全国を対象にした5月6日までの緊急事態宣言を延長する方針だ。

 休業が長期化し、企業の経営は厳しさを増そう。倒産を防ぎ、雇用を守ることが肝要である。

 政府は経済動向を見極めて、必要ならば追加の財政措置を躊ちゅう躇ちょなく行わなければならない。

 多くの自治体が、休業した事業者に独自の支援金を払う予定だ。災害に備えた基金を取り崩し、財源に充てる自治体もある。

 政府は補正予算で、地方に計1兆円の臨時交付金を配分する。これを増額し、自治体の取り組みを後押ししてはどうか。

 アルバイト先が休業し、生活費の確保や学費の支払いに窮している大学生は多い。

 政府は、従業員を休ませた企業に支給する雇用調整助成金の適用範囲を広げた。非正規労働者も対象だが、手元の資金がなく、休業手当を払えない事業者もいる。

 大学が行う授業料の減免を政府が補助することが求められる。

 医療崩壊を防ぐ対策も充実させたい。政府は自治体と協力し、感染者用の病床の整備を進めるべきだ。防護服やマスクなどの資材を確保し、医師や看護師を感染から守ることが欠かせない。

 政府は、重症患者を受け入れる医療機関に対する診療報酬を倍増する。対象の拡大などで、幅広い病院を支援することが重要だ。



補正予算成立 不安解消へさらに支援を(2020年5月1日配信『産経新聞』-「主張」)

 緊急経済対策を盛り込んだ令和2年度補正予算が成立した。国民すべてに10万円を配るという政策転換に伴い、いったん閣議決定した予算を組み替える異例の展開をたどった末の成立である。

 新型コロナウイルスの感染拡大で経済が凍り付き、すでに多くの事業者や家庭が苦境の渦中にある。しかもそれは、日を追うごとに深刻さを増している。

 国会が休日返上で成立させたのは当然で、むしろ、政府・与党は今一度、支援が遅れている現状を厳しく受け止めるべきだ。

 まずなすべきは、補正予算に基づく支援の手を一刻も早く企業や家庭に届けることである。これまでは雇用調整助成金といった諸制度について、手続きの煩雑さや遅れがたびたび指摘されてきた。同じ轍(てつ)を踏んではならない。

 政府や自治体はもちろん、企業の資金繰りを支える金融機関も一体となり、迅速で確実な助成や融資に全力を挙げてほしい。

 その上で間髪を入れず支援の拡充策を講じる必要がある。安倍晋三首相は補正成立後、記者団に緊急事態宣言を延長する考えを示した。経済活動の自粛が長引くなら、2次補正予算の編成を含む追加策が欠かせまい。

 少なくとも今回の緊急経済対策では、事業継続が危ぶまれる事業所や、困窮する世帯の不安は解消されず、多くの課題が残った。

 売り上げが蒸発し、家賃支払いなどの固定費捻出が難しくなった事業者への支援もそうだ。政府は最大200万円の給付金などで経営を支える考えだが、要件や金額への不満はなお多い。

 野党5党が家賃負担を支援する法案を共同提出したほか、自民党の岸田文雄政調会長からも助成と融資を組み合わせた新たな提案があり、安倍首相は前向きに検討する姿勢を示している。ならば早急に具体化を図るべきだ。

 休業要請に応じた企業の補償問題もある。政府は経済対策に盛り込んだ総額1兆円の臨時交付金について、都道府県が支給する休業協力金への活用を認めているが、それで足りるのか。首相が緊急事態宣言延長を最終決定する際には、併せて最適な休業支援について明確に発信してほしい。

 前例なき経済危機である。対策に不十分な点があれば、躊躇(ちゅうちょ)せずに改めればいい。大切なのは、国民を守る果断な行動である。



補正予算成立/雇用を維持する追加策を(2020年5月1日配信『神戸新聞』-「社説」)

 全国民への一律10万円給付など、新型コロナウイルス対策を盛り込んだ総額約26兆円の2020年度補正予算がきのう成立した。

 政府は当初、収入が減った世帯に30万円を支給する方針だったが、閣議決定後に与党内の反発を受けて組み替える異例の展開となった。

 全国的に外出自粛を求める中で、国産農水産物の販売促進や国内旅行への補助など、感染終息を見越した需要刺激策や感染対策と縁遠い項目まで計上して事業規模を膨らませた点は違和感がぬぐえない。

 経済活動に急ブレーキがかかり、医療は崩壊の危機に直面している。未曽有の大災害に匹敵する先行き不安が社会に広がっているのに、政府の認識は平時を脱却できていない。そのことを示した予算といえる。

 政府は直ちに意識を切り替え、命と暮らしを守るために今必要な追加策を検討するべきだ。

 差し迫った課題の一つは、雇用の維持である。コロナ関連で解雇や雇い止めにあった人は全国で3千人を超えた。感染拡大が続けば経営不振や破綻が幅広い業種に及び、状況はさらに悪化するとみられる。

 政府は補正予算で、企業が従業員を休ませた場合に支給する雇用調整助成金の助成率を引き上げ、適用対象を拡大した。フリーランスに対する助成金も新設した。

 ただその内容は、非正規で働く人や中小事業者の窮状を支えるには不十分と言わざるを得ない。雇用調整助成金の上限は従来の日額8330円のままで平均給与を下回る。与党からも増額を求める声があるのは当然だろう。

 手続きの煩雑さも問題だ。厚生労働省は申請書の記入項目を半減させたが、それでも38にのぼる。申請件数の急増も相まって、企業が実際に給付を受けるまでにはかなりの時間を費やす。こうした点を嫌い、助成金の申請自体に後ろ向きの企業も少なくない。雇用を維持しようとする意欲に水を差すことが懸念される。

 不正受給を防ぐ狙いだろうが、非常時との認識に立てば、まず積極的な給付に努め、事後に不正を取り締まる形に転換する必要がある。

 国会審議は祝日の4月29日も行われ、主な野党が予算の早期執行に協力するとの理由で賛成に回った。同時に、野党側からは休業に応じた事業者の家賃負担軽減や学生への支援、医療現場への支援など補正予算の不備も具体的に指摘された。

 政府は、緊急事態宣言の延長を検討している。社会や経済の混乱を抑えるには、今回の補正予算だけでは対応できないはずだ。野党の提案にも耳を傾け、的確な追加策を速やかに打ち出さねばならない。








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