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何が「収束への1カ月」だ 新生活様式では廃業地獄(2020年5月7日『日刊ゲンダイ』)

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病院再編に意欲を示し、経済財政諮問会議であいさつする安倍首相(右から2番目、2019年10月

誰の目にも歴然、この感染症について何も分かっていない浅はかな安倍首相

 安倍は6日夜、ネット動画の生配信で京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長とリモート対談。事前に国民から質問を募集して「疑問に答える」と大見えを切ったのに、話す内容は4日の会見で朗読した官僚原稿の繰り返しだった。

 薄っぺらいパフォーマンスに利用されたノーベル賞学者はお気の毒だが、ハッキリしたのは、安倍がこの感染症について、何も分かっていないということだ。

 4月30日の参院予算委でも現在の感染者数を聞かれても答えられず、「これ(質問通告)に書いてないじゃないですか!」と逆ギレ。さらにPCR検査の数が増えない理由も分からない、いつ何を基準に緊急事態宣言を解除するかも分かっていないのだ。感染症学が専門で西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏が言う。

「何も分からないから、専門家会議に頼るしかない。その専門家の報告も全く科学的根拠に基づかない。だから、首相会見でも具体的数値がひとつも出てこない。信頼できる元データも示せず、精神論に終始した提言は、サイエンスではありません。他国は既に出口に向けて動き始めているのに、何をしているのか」

加藤厚労相も6日、神奈川県の循環器呼吸器病センターを視察するパフォーマンス。ついでに、これまで受診の目安としてきた「37・5度以上の発熱が4日以上」という指針の取り下げをシレッと言い出した。

「4日間の待機期間中に容体が急変した女優の岡江久美子さんが亡くなったことで、慌てて対応を変えたのでしょうが、もともと科学とは程遠い措置でした。一事が万事で、この期に及んでアビガン承認ですべて解決するかのような気休めを言ったり、嘘やゴマカシで乗り切ろうとしている。これでは、ずるずると自粛生活が続き、いつまで経っても終息宣言が出せないことになりかねません」(中原英臣氏=前出)

 政府の錯乱が、コロナ禍を拡大させる。

すでに地方の反乱、官邸の分裂が始まった安倍政権にはトドメを刺す必要がある

 自粛解除の数値目標を示さない政府にイラ立つ地方の反乱が始まった。「特定警戒都道府県」以外の34県のうち、宮城や香川はパチンコ店を含む全業種への休業要請を解除。三重は7日から、富山と福井は11日から飲食店への営業短縮要請を解除する。

 特定警戒対象の大阪府や東京都は独自基準を策定。吉村府知事は「数値で出口戦略を示す。客観的な指標をもって判断する」として「大阪モデル」を公表した。「感染経路不明な新規感染者10人未満」「陽性率7%未満」「重症病床使用率6割未満」――を7日間連続で下回れば、15日以降に外出自粛や休業要請を段階的に解除する。都も基準となるロードマップを近く発表する。

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は言う。

「この有事にあっても国は組織論にこだわり、地方の動きを阻害する壁になっている。そもそも、新型コロナ特措法は住民に近い基礎自治体が権限を持つのがミソなのに、小池都知事が政令の範囲を超えた幅広い業界への休業要請を口にすると、政府は宣言発令当日に基本的対処方針を改定。要請に従わない場合の休業指示には国との協議を義務付けるなど、都の動きを封じ込めた。西村コロナ担当相が吉村知事に対し、〈“出口戦略”という言い方は違う。国が専門家の意見を聞いて定める話〉とクギを刺したのは典型的です」

だったら、地方が求める具体的基準を示せばいい。それを避けるのは思惑含みだからだ。

「しっかりとしたデータを示すと政治判断の余地が狭まる、数字は邪魔と考えているのでしょう。地方の頑張りで政権のダメさ加減は浮き彫りです」(鈴木哲夫氏=前出)

 政権の危機管理を担ってきた菅官房長官は遠ざけられ、官邸は分裂状態。安倍は官邸官僚の耳打ちでアベノマスク配布や“貴族動画”配信のパフォーマンスに走り、大ヒンシュクだ。

 この国に無能政権のレームダックを見届ける余裕はない。トドメを刺す必要がある。

感染症研究の予算をカットし病院を潰してきた政府の大罪

「病床数の削減に644億円。支離滅裂ですよ!」――。4月30日の参院予算委員会で、国民民主の森裕子議員が追及したのは、安倍政権が掲げる「地域医療構想」だ。

 この構想はあからさまな医療費削減策。実現のために「公立・公的病院の統廃合」「病床削減」を打ち出した。昨年9月には再編・統合が必要な全国424の公立・公的病院を名指しで公表。各自治体に今年9月末までに統廃合の結論を出すよう迫った。

 一方、病床を減らす病院には、今年度予算で84億円の補助金を計上。構想実現に向けた医療機関の施設整備事業560億円も加え、総額644億円もの税金を“病院潰し”に投じているのだ。

 森の追及に加藤は「地域に必要な医療の人的な財源をより効率的に使っていこうと。(病床削減などは)常にやっていかなきゃいけない」と答弁。コロナ危機で病床不足が深刻化しているのに、削減策をみじんも改めようとしないのだ。

しかし、医療体制が逼迫する中、政権に「不要」とされた病院も大きな役割を担っている。感染者数が5000人に迫る都内でも10病院が再編・統合の対象だ。この政権は「医療体制の強化」を口にしながら医療の脆弱さが露呈した現実を無視。まだまだ病院を潰す気だから、この二枚舌にはもう絶句である。

 経済アナリストの菊池英博氏は「医療の現場にも、コスト重視の緊縮路線を持ち込んだのが、脆弱化の元凶」と喝破したが、その通り。1996年に約2万あった有床一般診療所の数は小泉構造改革以降に大幅減。2年前にはとうとう7000を割り込んだ。

 肝心の感染症病床も98年の9060床から1869床まで激減。国立感染症研究所の予算も10年前の水準から約20億円、3分の1も減少した。国民の命よりも医療費削減が大事……。倒錯しきった政府の罪は重い。




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Author:gogotamu2019
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