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ホームレス就労講習 国ずさん管理 受託費不正2億円 都内業者(2020年5月8日配信『東京新聞』)

 ホームレスらの就労を支援する厚生労働省の講習事業を巡り、事業を受託した東京都内の業者が二〇一八年度までの十年間で、少なくとも2億2千万円を不正受給していたことが、同省や業者への取材で分かった。ホームレスから名義を借り、受講者数を水増しするなどして過大に請求していた。厚労省は、この業者に加算金と遅延損害金を加えた3億千万円の返還を求めている。

 不正受給をしていたのは合同会社「東京しごと応援団」(新宿区)。ホームレスの支援にかかわってきた人たちが08年に設立し、厚労省の「日雇(ひやとい)労働者等技能講習事業」を19年度まで受託していた。

 同社は厚労省から08~18年度で、事業の委託費として計14億4千万円を受給。このうち2億2千万円が不正受給と判明したが、大半は経理書類が残っていた14年度以降の分で、それ以前は十分な確認が取れなかった。

 同社の池田昌光代表は取材に対し、受講者の人数を水増ししたり、請求額を書き換えたりして経費を膨らませて請求していたと不正受給を認めた。「一部は事務所経費に流用した」と説明しているが、書類がなく記憶もあいまいで、使途の全容は分かっていない。

 不正は19年12月、厚労省の定期監査で発覚。翌月、契約を解除した。厚労省は19年度の委託費を精算中で、さらに不正受給額が膨らむとみられる。

 この講習事業では、事業計画に基づき厚労省からいったん仮払金が支払われ、終了後に講習の受講実績に応じて経費を精算する。

 池田代表は「受講者数が計画に届かず、委託費を減額されるのが嫌だった」と説明。厚労省の返還請求に応じる構えを見せているものの、返済能力が乏しく焦げ付く恐れもある。

◆受給額突出… 監査2度すり抜け

 厚労省の日雇労働者等技能講習事業を巡り、10年にわたり不正が続いた背景には、厚労省のずさんなチェックがある。

 この事業は、ホームレスや日雇い労働者、ネットカフェ難民らにパソコンや重機などの無料の技能講習を開き、就労を支援する取り組み。2001年度から東京や大阪、愛知など全国5地域で実施し、年間2千人前後が受講している。18年度は総額2億4千万円のうち、「東京しごと応援団」が突出して1億円を受給していたが、厚労省はその不正を見抜けなかった。

 厚労省は3年ごとに事業の受託団体に監査を行っており、同社も発覚前に2回監査を受けていた。その際、各講習を実際に受けた人数を確認し、同社の請求人数と突き合わせれば、水増しに容易に気付けたはず。契約で定めた上限額を超える請求もあった。経費の過払いは監査のチェック項目になっているが、過去2回の監査では素通りだった。

 毎年度の経費精算時でも不正に気づかず、行政の「丸投げ」ぶりを露呈した。

 所管する厚労省就労支援室の担当者は「長年不正に気付かなかったのは、私どもの落ち度。提出資料の裏付けの確認が不十分だった」と釈明する。

 そもそも毎年度3億円前後の予算を投じているが、その効果は表れていない。厚労省のホームレスの生活実態調査で「求職活動をしている」と答えた人の割合は減っており、最新の16年では11・4%まで落ち込んだ。

 新宿を拠点に野宿者を支援するNPO「スープの会」世話人の後藤浩二さんは「講習事業はニーズにあっておらず、就労につながっていない」と懐疑的だ。

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支援業者不正受給 ホームレス誘い数合わせ 「講習に行かなくてもいい」(2020年5月8日配信『東京新聞』)

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ハウスクリーニングの講習を行った団体から「東京しごと応援団」への請求書(上)と東京しごと応援団が厚生労働省に講習費を請求した報告書。1人当たりの講習費が大きく食い違っている=一部画像処理

 ホームレスらの就労を促す国の事業で、長年にわたる多額の不正請求が発覚した。厚生労働省の日雇(ひやとい)労働者等技能講習事業を受託していた合同会社「東京しごと応援団」(東京都新宿区)は、支援するはずのホームレスの名を使って受講者を水増しし、国から億単位の公金を引き出していた。

 関係者によると、水増しされていた受講者数は年間300人前後に上る。厚労省に経費請求していた人数の3分の1が架空だった計算だ。同社が企画した40近い技能講習のうち、不正請求を行っていたのは、受講者が集まらない人気のない科目だった。

 その一つのフォークリフトの技能講習に関し、同社の池田昌光代表は本紙の取材に、水増しの理由として「技術系の講習は参加が少なく、このままでは委託費を返金しなければいけないと思った」と話した。

 池田代表は1人で新宿区内などを回り、数合わせに協力してくれるホームレスを探した。講習の申込書に名前を書き取ると、後日、人目の付かない場所に呼び出し、「講習に行かなくてもいいから」と封筒に入れた現金を渡した、と説明している。

 現金は講習費や交通費・食費に相当する額で、多いときには10万円を超えたという。池田代表は「協力してくれたホームレスに施しのつもりで渡した」と話しているが、新宿で野宿者支援を行っている複数の団体は「もし現金を渡していたらうわさになるはずだが、一度も聞いたことがない」と不審がる。

 関係者によると、請求のあったフォークリフトの受講者から厚労省が無作為で約100人の記録を調べると、実際に受講した人はゼロだった。厚労省は「池田代表の説明を裏付ける証拠はなく、路上生活者に十数万円もの現金を渡すことは合理性を欠く」とし、不正と判断。判明した不正受給額2億2000万円のうち、同様の手口による不正は9600万円に上る。

 このほか書面上で受講者を水増ししたケースもあった。本紙が入手したハウスクリーニングの講習の書類には、はっきりと水増しの証拠が残っている。

 技能講習を実施した団体から東京しごと応援団への請求書には、講習費が1人当たり20万円とある。一方、同社は厚労省への報告書に1人当たり59万7000円で受講したとして請求していた。

 池田代表は取材に「当初見積もった金額に近づけるため、精算のときに数字をいじっていた。従業員の生活もあり、会社を続けていくためだった」と経費の水増しを認めている。





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