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緊急事態「出口」 楽観排し科学的根拠を(2020年5月12日配信『北海道新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、政府は特定警戒都道府県以外の地域を中心に31日の期限前の解除を検討している。14日に専門家会議の見解を踏まえ判断する方針だ。

 新規感染者数は減少が続く一方で、経済の疲弊は限界に近い。

 自治体からは、本格的な経済活動再開の前提となる解除への「出口戦略」を求める声が出ている。

 大阪府は外出自粛や休業要請を解除する独自基準を決めた。既に解除・緩和した県も少なくない。

 国民の暮らしを守るために、感染状況が落ち着いた地域から段階的に解除する方向性自体は妥当だろう。ただ、経済活動の活発化は感染リスクの増大と表裏一体だ。

 安易な解除が感染爆発につながれば、経済も医療も今以上に深刻な打撃を受けかねない。政府は医療とPCR検査の態勢をはじめ科学的知見を踏まえた明確な解除基準を示し、慎重に判断すべきだ。

 安倍晋三首相はきのうの予算委員会で「終息への道を着実に進むことができている」と述べた。宣言延長の決定から1週間にすぎず、楽観的との印象が否めない。

 政府は解除の判断材料として感染者数の動向などに加え、感染の再拡大に備え重症患者に対応できる医療態勢や、PCR検査が迅速に実施できるかどうかを挙げる。

 軽視してはならない要素だが、現状は極めて心もとない。

 厚生労働省の集計によると新型コロナ感染者用の病床は、全国でピーク時に3万1077床を見込んでいるのに対し、今月1日時点で確保できたのは1万4486床と半分にも満たない。

 地域別で確保できたのは山形、長野、兵庫、鳥取など12県にとどまる。医療従事者のマスクや防護服なども依然行き届いていない。

 PCR検査を巡って、厚労省は相談・受診の目安として厳しすぎると指摘されていた「体温37・5度以上」という従来の条件を、先週末にようやく削除した。

 だが欧米や韓国と比べ貧弱な検査態勢であることは変わらず、最近の1日の検査件数は目標の2万件どころか1万件にもほど遠い。

 これで本当に感染実態を把握できていると言えるのか。予算委でも野党の追及に対し政府から納得できる答弁は聞かれなかった。

 また、解除を決めた地域でも、活動を広げていく段階や業種ごとにきめの細かい感染防止策の徹底が求められる。一義的には自治体の対応になるが、政府としても十分な目配りと助言が必要だろう。




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Author:gogotamu2019
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