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9月入学制 拙速避け、長短見極めよ(2020年5月12日配信『秋田魁新報』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて全国で学校の休校が続く中、入学と始業の時期を4月から9月へ移行する「9月入学制」導入の動きがある。政府は6月上旬にも方向性をまとめる方針だ。就職時期をはじめ社会全体に大きく影響しかねないだけに、問題点を精査し、時間をかけて幅広く議論する必要がある。

 9月制は、学習の遅れや学校再開時期のばらつきの解消策として浮上。4月29日の全国知事会議でも複数の知事が検討を訴えた。

 休校が長期化する中、パソコンやタブレットを使ったオンライン学習も、機器や通信環境の整備が不十分で導入が進んでいない。学習の遅れが深刻化しつつある中、学校の開始時期を9月にずらして仕切り直せるという利点を見込んでいるようだ。

 本県など新規感染者の少ない地域では、今月上旬から授業が再開されている。9月制となった場合、現在行われている学びの分はどう扱われるのかという問題も出てくる。

 各知事の意見は分かれている。賛成派は「新型コロナによる混乱状況の中でしか実現できない。この機会に大きな国の転換として導入するべきだ」「感染終息後の新しい日本の形を考える中で、国際基準として必要」と主張する。

 9月制のメリットとして、公平な教育機会の確保のほか、多くが秋入学である欧米諸国に足並みをそろえ、海外留学や外国人留学生受け入れを加速させられることが挙げられる。

 慎重派の知事からは「どさくさに紛れて社会システムに関わる制度を導入すべきではない」「拙速な導入には反対する。国民投票に値するテーマだ」などの声が上がる。本県の佐竹敬久知事も「今進めても混乱する。新型コロナと切り離し、落ち着いて議論した方がいい」と慎重な構えだ。

 9月制のデメリットとしては第一に、会計年度など4月開始を前提とした社会の仕組みの大変革が必要となることが挙げられる。多くの企業は4月入社で、通年採用など人事計画変更も必要となる。学校行事の時期変更も迫られるだけに、長期休校で対応に苦慮する学校現場にさらなる負担がかかることにもなる。

 感染拡大の影響を受けて浮上した動きとはいえ、9月制導入の可否を慎重に議論しなくてはならない。社会に一層の混乱を来さないようメリット、デメリットのしっかりした検討が求められる。

 今は制度変更の議論より、コロナ禍の中でも確保できる学びを整えることを優先すべきではないか。コロナの第2波、第3波の可能性もある。オンライン授業を全ての学校で行えるよう、対策や環境の整備に全力を挙げることが必要だ。拙速な議論によって結論を急いではならない。





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Author:gogotamu2019
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