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訪問介護 細る 要支援者へのサービス ヘルパー不足、低い報酬設定響く 本紙調査(2020年5月19日配信『東京新聞』)

 東京23区で訪問介護をしている事業所の2割超が、要介護度が軽い要支援者にサービスを提供していないことが、本紙のまとめで分かった。要支援者向けの訪問介護は2015年以降、介護保険から、区市町村が行う「介護予防・日常生活支援総合事業」へ段階的に移行。ヘルパー不足や低い報酬単価設定などで、経営の厳しい事業所が要支援者向けの仕事を控えているとみられる。 

 4月初め、ケアプランを作る都内の居宅介護支援事業所に、退院したばかりの独り暮らしの女性(80)から訪問介護の依頼の連絡があった。女性は入院中に介護保険を申請、依頼時は要介護認定の結果待ちだった。

 脳出血の後遺症で右足にまひが残り、右手にも力が入らず買い物や調理が難しい状態。担当のケアマネジャーの女性が訪問介護をする事業所を探し始めたが、「認定結果が『要介護」ならば受けるが、もし『要支援』なら受けられない」と断られ、3軒目でようやく確保した。「総合事業を受ける」という事業所も、要支援者に振り向けるヘルパーがいないため断ってきた。ある大手事業所は「人材が限られており、中重度の要介護者へのサービス提供を進めたい」と話す。

 ケアマネは「この女性は足が不自由。入浴時などに転倒リスクがあり、見守りも必要。仮に要支援と認定されても訪問介護は必要なサービス」と話す。

 要支援者は、介護保険の要介護認定で要支援1と2になった人を指す。要支援者向けの訪問介護と通所介護は17年度までに区市町村の事業になったが、使える予算は限られている。

 横浜市のNPO法人が運営する訪問介護事業所は、要支援者の訪問介護の受け入れ先に困ったケアマネジャーから依頼を受けるケースが増えた。管理者の女性(59)は「経営的には厳しいが受けざるを得ない。ほうっておけば心身や生活状況が悪化し、要介護度が上がって自宅で生活できなくなる人も出る」と心配する。

 都介護保険居宅事業者連絡会が18年に会員事業所に行った調査では、「軽度者のサービス利用が難しくなり、利用者の自立支援を妨げる可能性がある」「撤退する事業者が多い中、受け入れを強いられる事業所には不公平感がある」「独居で限りなく要介護に近い要支援者の生活は本当に大変。生活援助の必要性が高いのは要支援者だ」などの声が寄せられた。

 服部メディカル研究所の服部万里子所長(73)は「介護保険は、軽度者を対象から外す方向で進んでいる。必要なサービスが受けられないのは介護保険の理念に反するし、家族の介護負担が増え離職につながる」と警鐘を鳴らす。

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◆23区事業所の2割、提供なし 自治体事業への移行で
 
 本紙の調査は、4月上旬に23区の介護保険担当窓口で入手した、事業者リストを載せた情報誌を基に割合を計算した。千代田、足立両区は区が出している事業者リストを参照した。いずれのリストも希望した事業者のみ掲載されている。

 要支援1と2に認定された人に訪問介護をしていない事業者の割合は区ごとにばらつきがある=表。最も高い千代田区は半数近くに上った。

 総合事業への移行をめぐり、18年2月、厚労相が「250自治体で撤退する事業所がある」と国会答弁し、「介護難民が出る」と問題になった。





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