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種苗法改正「見送り」への賛否 農水相は「今の法制度では、海外流出は止められない」(2020年5月21日配信『J-CASTニュース』)


ブランド農産品の海外流出阻止が目的という種苗法改正案について、今国会での成立を与党が断念する方針だと一部で報じられ、ネット上で波紋が広がっている。

女優の柴咲コウさん(38)が警鐘を鳴らしたことがきっかけとも報じられ、法改正を望む農家らから嘆く声も次々に投稿されている。今後は、どうなるのだろうか。

「陳情を繰り返した農協青年部などの努力が報われない」
「韓国にイチゴをパクられたときはみんな怒っていたのに」
「農家の方がずっと切望してたんです。これからも盗まれ続けて良いんですか?」
「日本はいつから現場の声ではなく芸能人の作ったタグで政治が動く国になったのか?」


毎日新聞など一部マスコミが2020年5月20日、与党は種苗法改正案の今国会成立を断念する方針だと報じると、ツイッター上などではこんな不満が相次いだ。陳情を繰り返した農協青年部などの努力が報われないと嘆く元兼業農家だという人物のツイートは、3万件以上もの「いいね」が付いている。

報道によると、一部野党が法案に懸念を示しているため、成立まで時間がかかることが見送りの理由だという。

法案への反対論は、地方などでも根強くあるようだ。

札幌などいくつかの市議会が慎重な審議を求める意見書を出しており、三重県議会も3月19日付で、同様な意見書を可決している。そこでは、農産品の海外流出防止は必要としながらも、法案成立で登録品種を自家増殖することに許諾が必要になると、事務手続きや費用負担の増加などが見込まれ、農業経営などに影響を与えることが懸念されるとした。

また、一部新聞も農家への打撃を指摘しており、東京新聞は5月14日付朝刊で、不要不急の種苗法改正だとする野党議員のネット会見を紹介し、農業経済学者も「多国籍企業が種苗を独占していく手段として悪用される危険がある」とのコメントを寄せた。

「冬場に苗の取り引きが始まり、海外への持ち出しを懸念」

ツイッター上などでも、「政府は農『家』をつぶして大規模な農『業』への転換を図りたいだけ」「日本は伝統的に自家採種を行う農家が多く小規模農家にも影響が出る」「発言すれば、政治は変わるんだよ。行動すれば、政治は動く」といった声も出ている。

ネット上では、法案への賛否が割れているが、農水省では、あくまでも成立を目指すようだ。

江藤拓農水相は、5月19日の会見で、農家の自家増殖ができなくなったり、外資による寡占化が進んだりする懸念があると記者に聞かれ、こう説明した。

「市場に流通している品種の大半を占めるのは一般品種で、何の制限もない。米は84%、みかんは98%、りんごも96%で、登録品種は多くはない。登録品種も、30年を過ぎれば、一般品種になります」
「今の法制度では、海外流出は止められず、大きな問題です。守られて農産物を輸出するなら、農家には、もっと大きなメリット、利益が還元されていたはずです。自家増殖で海外に持ち出されてしまった、こうしたことはあってはならないと思います」

無制限に自家増殖を許せば、新しい品種を作る5年、10年の努力が担保されないとして、「不要不急の法律というが、権利を守ることについては、一刻の猶予もならない」と訴えた。

この会見の動画は、農水省サイトにも掲載され、ツイッター上などで拡散して、反響を集めている。

農水省の知的財産課は5月21日、J-CASTニュースの取材に対し、こう話した。

「法案が今国会で成立すれば、今年の12月から海外への持ち出しを制限できます。秋に収穫が終わると、ブドウやりんごといった果樹などの苗の取り引き期間が始まり、苗を持ち出そうとする動きが懸念されます。補正予算の審議と一緒に法案が通る望みは、まだ捨てていません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)



「種苗法改正案」今国会成立を断念へ 柴咲コウさんの懸念ツイートで慎重論拡大(2020年5月20日配信『毎日新聞』)

 自民党の森山裕国対委員長は20日、ブランド農産品種の苗木などを海外に持ち出すことを規制する種苗法改正案の今国会での成立を見送る方針を示唆した。農作物の自由な栽培が難しくなるとの懸念を野党などが示しているためで、記者団に「日本の農家をしっかり守る法律だが、どうも逆に伝わっている」と述べ、成立には時間が必要だとの認識を示した。また「国会には会期がある。まず森林組合法改正案の審議を進める」とも述べた。

 改正案は国産イチゴ「とちおとめ」が韓国で無断に他の品種と交配され、独自の新品種として出回るなど複製被害が深刻化していることを受けて政府が提案した。

 しかし4月、女優の柴咲コウさんがツイッターで一時「このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます」と改正への懸念を示すと、インターネット上などで慎重論が広がった。

 野党も共産党の穀田恵二国対委員長が20日の記者会見で「(種子を開発する)メーカーによって支配されることにつながる。農業の根幹を危うくする」と述べるなど、反対姿勢を強めていた。



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「種苗法改正案」農家に打撃懸念 地域農業守る「在来種保全法案」を(2020年5月14日配信『東京新聞』)

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黙々と鎌で稲を刈る女性=長野県岡谷市で

 新型コロナウイルス感染拡大の裏で、国会に「種苗法改正案」が提出されている。この法案が成立すると農家に大ダメージを与える恐れがある。作物の一部を採って繰り返し育てる「自家増殖」を原則禁じ、農家に企業などから種や苗を買うよう強いるからだ。「こんな法案より地域農業を守る法律が必要」。そんな動きがコロナ禍の国会で出てきた。

■なぜ不要不急の法案通そうとする

 「国民に不要不急の外出は控えなさいとか言ってる時に、なぜ政府が不要不急の種苗法を通そうとするのか」。川田龍平参院議員(立民)は13日、インターネットを使ったオンラインの記者会見でこう訴えた。

 その種苗法改正案では、2022年から育成権者の許諾なしに、農家が自家増殖することを禁じている。対象は8000品種余の国の登録品種。有名どころでは、米の「ゆめぴりか」「つや姫」、イチゴの「あまおう」などがある。

 時間と費用をかけて開発した育成権者を守り、海外流出を防ぐ。自家増殖の禁止は国の知的財産戦略の一環だ。例えば、日本で登録されたブドウ「シャインマスカット」。苗木が中国や韓国に流出してしまった。自家増殖を禁じていれば国内で苗の流れを管理でき、流出を防ぐことができる。農林水産省は法案についてこんな説明をしている。

■「企業の利益保護に偏りすぎて」

 一方、川田氏は「企業の利益保護に偏りすぎて地域農業を守るという視点がない」と反論する。実は種苗法以外にも、企業の権利を強める法の制定や廃止が相次いでいる。そんな状況を川田氏は問題視している。

 もともと種苗の開発は国や自治体の仕事で、「種苗は公共財産」という考えが農家には強かった。ところが、17年に制定された「農業競争力強化支援法」は、都道府県が持つ種苗の知見を多国籍企業も含めた民間に提供するよう求めている。都道府県に優良な米や麦の生産や普及を義務付けた「主要農作物種子法」は18年、廃止された。

 ここに自家増殖を禁止する種苗法改正が加わったらどうなるか。東京大の鈴木宣弘教授(農業経済学)は「国内品種の海外流出を防ぐという大義は理解できる。しかし、日本でも世界的流れと同様に、多国籍企業が種苗を独占していく手段として悪用される危険がある」と指摘する。

■訴訟リスク、日本の農業衰退する

 たとえ改正されても、登録されていない品種は自家増殖できる。それでも川田氏は「登録されているのと似ている品種もある。『これは登録品種だ』と疑いをかけられ訴訟を起こされるリスクがある。これでは規模が小さい日本の農業は衰退する」と心配する。

 そんなことにならないよう、川田氏は今国会で「在来種保全法案」を緊急提案しようと急いでいる。登録されていない在来品種を目録にし、農家が自家増殖する「権利」を守る内容にするという。

 鈴木氏も在来種の保護は急務と考えている。農家の高齢化が進み、この百年で在来種の7割が消滅したからだ。今も野菜を中心に在来種は減り続け、登録品種がとってかわっている。

■常に種を買わないといけなくなる

 鈴木氏は「種苗法が改正されると、農家は常に種を買わないといけなくなる。種のコストが高まる。『種を持つものが世界を制す』とはいう。これでは日本の食は守れない。南米やインドでは在来種を守ろうという抵抗が農家や市民から起きている。国民が知らぬ間の法改正はあってはならない。日本の市民はもっと関心を向け、引き戻しの議論をしてほしい」と訴えた。



種苗法改正 農業崩壊にならないか(202045月25日配信『東京新聞』-「社説」)

 国の登録品種から農家が種取りや株分けをすることを禁ずる改正種苗法案が、大型連休明けにも国会の審議に入る。国民の命を育む食料の問題だ。コロナ禍のどさくさ紛れの通過は、許されない。

 現行の種苗法により、農産物の新しい品種を生み出した人や企業は、国に品種登録をすれば、「育成者権」が認められ、著作権同様、保護される。

 ただし、農家が種取りや株分けをしながら繰り返し作物を育てる自家増殖は、「農民の権利」として例外的に容認されてきた。

 それを一律禁止にするのが「改正」の趣旨である。原則容認から180度の大転換だ。優良なブドウやイチゴの登録品種が、海外に持ち出されにくくするためだ、と農林水産省は主張する。果たして有効な手段だろうか。

 もとより現政権は、農業に市場原理を持ち込むことに熱心だ。

 米や麦などの優良品種の作出を都道府県に義務付けた主要農作物種子法は一昨年、「民間の開発意欲を阻害する」という理由で廃止。軌を一にして農業競争力強化支援法が施行され、国や都道府県の試験研究機関が保有する種苗に関する知見を、海外企業も含む民間企業へ提供するよう求めている。そこへ追い打ちをかけるのが、種苗法の改正だ。

 対象となる登録品種は、今のところ国内で売られている種子の5%にすぎず、農家への影響は限定的だと農水省は言う。だが、そんなことはない。

 すでに種子法廃止などにより、公共種子の開発が後退し、民間種子の台頭が進んでいる。その上、自家増殖が禁止になれば、農家は許諾料を支払うか、ゲノム編集品種を含む民間の高価な種を毎年、購入せざるを得なくなる。死活問題だ。小農の離農は進み、田畑は荒れる。自給率のさらなる低下に拍車をかけることになるだろう。

 在来種だと思って育てていたものが実は登録品種だったというのも、よくあることだ。在来種を育てる農家は絶えて、農産物の多様性は失われ、消費者は選択肢を奪われる。そもそも、優良品種の流出防止なら、海外でも品種登録をした方が有効なのではないか。何のための「改正」なのか。

 種子法は、衆参合わせてわずか12時間の審議で廃止になった。種苗法改正も国民の命をつなぐ食料供給の根幹にかかわる問題だ。

 今度こそ、十二分に議論を尽くしてもらいたい。







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