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コロナ対策の財源はどこから? 過去には“気づきにくい”方法で国民の負担増も(2020年5月27日配信『AERA.com』)

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1世帯2枚配布の「アベノマスク」には233億円の予算を計上。汚れなどの不具合が相次いで発見されたが、検品に8億円かけて配布を続けている

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【新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の財政支出】

 何かと後手に回っている印象の政府の新型コロナ対策だが、専門家によると評価すべき点は意外に多いらしい。しかし今後注目すべきは、その財源をどこから確保するのかという点だ。東日本大震災後には復興のために増税し、その後も国民が“気づきにくい”方法で増税し続けた過去がある。AERA 2020年6月1日号では、政府の新型コロナ対策とその財源について、専門家らに取材した。
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 受益の裏側には、必ず負担がある──。

 政府は国民一律10万円の定額給付など五つの柱から成る新型コロナウイルス感染症対策の第1次補正予算を成立させた。現在は5月27日をめどに第2次補正予算の編成を急ぐ。

 何かと批判の多い政府のコロナ対策予算だが、ニッセイ基礎研究所主任研究員の三原岳さんは「評価すべき部分は意外に多い」という。たとえばコロナにかかった人を受け入れる病院への経営的支援。人工呼吸器が必要な患者が集中治療室(ICU)に入院している場合などに適用される診療報酬額を4月18日から2倍に引き上げた。

「国民健康保険の傷病手当金も、日本の公的医療保険制度の歴史上、画期的な前進です」

 勤労者が病気で働けなくなると、大企業の会社員や公務員は自前の公的医療保険を通じ、傷病手当金として月給の約3分の2が支給される。一方、非正規労働者の加入が多い国民健康保険では“保険制度を運営する自治体による任意給付”とされていたが、これまで支給実績がなかった。ところが早々と3月10日に決定した緊急対応策第2弾で、傷病手当金を支給する市町村等への“国による全額支援”が打ち出された。

「かかった方が安心して療養できることは感染防止策にもなります。さらに、働き方の多様化にまったく追い付いていなかった医療保険制度の給付格差を解消する方向へ国が即座に動いた点は、よかった」

 緊急事態宣言に伴って、全国で多くの商業施設や飲食店が営業休止や短縮に踏み切った。政府は休業補償をしないという方針を貫く一方、自治体レベルでは「協力金」などの名目で金銭補償の実施が増えている。

 コロナ対策に関して動きの鈍い国と迅速な都道府県・市区町村が対比して語られることは多い。東京を除いた大半の自治体は財政に余裕がないのに、独自施策を打てた裏付けは、4月に国が1兆円を追加計上した「地方創生臨時交付金」にある。

「交付金の使い道に関する制約が緩やかだったので、各自治体が地域の実情に応じた施策を展開できました」

第1次補正予算の総事業規模は117兆円。財政投融資や地方の支出を含めた財政支出は48.4兆円になる。今後の第2次補正予算でも安倍首相は「この状況に十分な規模で」と表現している。

 ここまでは、よい。ただしカネは湯水のように湧いてくるものではない。政府が巨額支出を実施すれば当然、財政の穴埋めが必要になる。

「コロナ対策に限らず、政府が財政穴埋めのために取れる手段は増税、保険料アップ、自己負担増加の三つしかありません。増税するにしても、数ある税の中からどの税金をどのタイミングで引き上げるか、難しい政治判断になります」

「政治」は過去にどんな判断を下してきたか。2011年3月11日に発生した東日本大震災を振り返ろう。当初は使途を復興に限定した復興債を毎年発行することで資金を調達。金額は直近までの累積で62兆円になった。さらに個人から増税。震災2年後の13年、個人所得税の2.1%相当の復興特別所得税を25年間の時限措置として新設し、翌14年には住民税を一律1千円引き上げた。

 住民税の臨時増額は10年目の23年度で終了すると思ったら、24年度からは「森林環境税」が創設される。税額は住民税1千円増額だ。

 税理士の西原憲一さんは「耳ざわりのいい“環境”というネーミングを付していますが、中身は復興税と同じ。1千円という金額がこれまでと変わらないこともあり、国民は気づきにくい」とし、何かと理由を付けて増税を続けたがる姿勢を批判する。

 政府は今のところ予備費や国債の発行で新型コロナ関連の財源を確保している。日銀は4月27日の金融政策決定会合で国債購入のめどとしていた「年間80兆円」の天井を撤廃し、無制限に国債を買う手はずをすでに整えている。

 財務省によると、19年末の国債発行残高(速報ベース)は1037兆円を超えた。景気や税収、財政需要、金利水準を天秤にかけ、国債を再び発行して借り換えるタイミングを計ることになるが、このうち約半分を日銀が保有しており、野放図な国債発行がどこまで続けられるのか疑問が残る。

 定期的に出ては消える「企業の内部留保への課税」論も現実的ではない。

「内部留保のもとをたどると、企業が利益に対してかかる税金を支払い、株主に配当を出し、役員賞与も払った残りを積み上げたもの。そこへ課税するとなると二重課税です。そもそも企業の税負担を重くしたところで、しわ寄せは人員削減や賃金カットの形でわれわれの家計に及ぶだけでしょう」(西原さん)

(ジャーナリスト・大場宏明、編集部・中島晶子)

※AERA 2020年6月1日号より抜粋




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