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2次補正予算案 目詰まりなくし支援急げ(2020年5月29日配信『西日本新聞』-「社説」)

 いま重視すべきは事業規模ではなく、まずはスピードだ。これを政府は肝に銘じてほしい。

 新型コロナウイルス対策の本年度第2次補正予算案が閣議決定された。事業規模は117兆円と過去最大だ。

 戦後最悪の経済危機で、働く場を失い、日々の暮らしに困る人、倒産や廃業の瀬戸際にある企業が増えている。

 4月の緊急対策と合わせて事業規模は234兆円に達し、国内総生産(GDP)の4割超に相当する。安倍晋三首相は記者会見で「世界最大の対策で100年に1度の危機から日本経済を守り抜く」と力を込めた。

 だが、どんな対策も全国の隅々にまで素早く届かなければ効果は薄れてしまう。

 実際、これまでの政府の新型コロナ対策を振り返ると、合格点には程遠い。1人当たり10万円の現金給付は、マイナンバーカードを利用したオンライン申請が混乱を招いている。

 最大で企業に200万円、個人事業主に100万円を支給する持続化給付金や雇用調整助成金も、煩雑な手続きや事務処理の遅れに苦情が後を絶たない。

 政府は、ウイルス感染を調べるPCR検査態勢の不備については、ようやく「目詰まりがある」と認めた。経済対策でも同様の目詰まりや不具合が散見されている。これらをなくす努力がまだまだ足りない、と指摘しておきたい。

 2次補正には、中小企業や個人事業主への家賃補助や休業手当をもらえない人への給付制度の新設、雇用調整助成金の拡充などが盛り込まれた。野党や専門家、現場の声にも耳を傾けた姿勢は評価できる。家賃補助の申請に必要な書類を極力減らすなど、実効性を高める工夫を重ねてほしい。

 それでも足らざる点は今後出てくるはずだ。感染拡大への警戒は緩められず、経済の低迷は当面続くことが避けられない。経営体力の乏しい企業への手厚い支援の継続が求められる。

 一方、財源は国債の大量発行に頼る他なく、借金が膨らむのもやむを得ない。それだけに、非常事態とはいえ本当に必要かつ有効な施策なのか、適切に吟味することは欠かせない。

 その意味で見逃せないのは、予備費に歳出の3割強の10兆円もが計上されている点だ。不測の事態に備え、政府の判断で支出できる予備費を増やしておきたいとの考えもあるだろうが、ものには限度がある。

 国の予算は国民の代表たる国会の議決を経るという財政民主主義の大原則は大切だ。スピード重視で政府案通りに認めるとしても、国会には細かな執行状況の点検を求めたい。



2次補正予算案 困窮者全てに支援届けて(2020年5月28日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う追加の経済対策を盛り込んだ2020年度第2次補正予算案を閣議決定した。中小企業への家賃支援やひとり親家庭の生活支援など、4月末成立の1次補正予算で抜け落ちたり、足りなかったりした分野を補強した。6月12日までの予算成立を目指す。

 緊急事態宣言は全面解除されたものの「第2波」への警戒は続いており、経済活動の停滞は当面続くとみられる。1次補正の支援もいまだに行き渡っておらず、その間にもコロナ関連の企業倒産や失業者は増えている。

 政府はコロナ禍の打撃を被った全ての困窮者に必要な支援を行き渡らせることに集中すべきだ。国内全体の景気回復に気を取られ、取り残される人が出ては困る。国会では、迅速な給付につながる手続きの簡略化なども十分審議してもらいたい。

 2次補正の歳出総額は、1次補正(約25兆7千億円)を上回る31兆9114億円。財政投融資や民間投資などを含めた事業規模は1次補正と同水準の117兆1千億円程度に上る。

 財源は1次補正と同様、全額を新規国債の発行に頼る。20年度の国債発行額は当初予算と合わせて90兆円に膨らむ見通しだ。やむを得ない対応ではあるが、財政運営は厳しさを増すことになる。

 2次補正の柱は、売り上げが急減している中小企業や個人事業主の家賃負担を軽減するための給付金創設や、企業が休ませた従業員に支払う休業手当の一部を補助する雇用調整助成金の拡充などだ。資金繰り支援は1次補正分も合わせて140兆円規模となり、業績が悪化した企業への資本支援も盛り込んだ。

 ひとり親支援は、所得水準の低い児童扶養手当を受給している世帯に、最低5万円の一時金を支給する。

 新型コロナの患者受け入れは医療機関の経営も圧迫しており、重症者の入院治療に対する診療報酬を現行の3倍に引き上げる。医療従事者らへの慰労金も1人最大20万円を給付する。

 安倍晋三首相は緊急事態宣言を全面解除した際の会見で、1次補正に盛り込んだ事業者向け「持続化給付金」の支給実績を強調した。支援がまだ届かない事業者は、成果を上げていると言わんばかりの発言に憤りすら覚えたのではないか。支援のスピードをさらに上げる必要がある。

 今後不況が長期化すれば、追加支援の必要性も出てこよう。国会の閉会中も政府の裁量で支出できる予備費は、1次補正で計上した1兆5千億円に10兆円を上乗せする。必要性を明確にした上で、迅速な活用を求めたい。

 全国知事会などが増額を求めていた地方創生臨時交付金は、1次補正で確保した1兆円に2兆円を積み増す。県内では既に多くの自治体が交付金を使った独自支援を打ち出している。きめ細やかな施策がさらに実施できるよう、交付金の柔軟な運用を認めるべきだ。





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