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パワハラなくす確かな一歩に(2020年5月30日配信『日本経済新聞』-「社説」)

6月から大企業にパワーハラスメント(パワハラ)の防止措置をとることが、法的に義務付けられる。中小企業については、2022年4月からの適用だ。

パワハラは働く人の心身に大きな影響を与える。休職や退職、自殺にまで至ることもある。全国の労働相談のうち、パワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」は18年度、過去最多の約8万3千件もあった。これまでは企業の自主的な取り組みに委ねられていた。

具体的に何をすべきかは、指針で明確にした。社内規定の整備と周知・啓発、相談窓口の設置、相談者のプライバシー保護などだ。パワハラの背後に職場の風通しの悪さや長時間労働があることも多い。それらの見直しも、パワハラを減らすのに有効だろう。

法制化で大きな課題となったのが、パワハラと適切な指導の線引きだ。「精神的な攻撃」「過大な要求」など6つの類型ごとに、指針は具体例を示した。とはいえ、すべての事例を機械的に類型に当てはめられるものではない。

大事なのは、安心して力を発揮できる環境づくりだ。パワハラを許さない姿勢を徹底し、相談には丁寧に対応してほしい。

今回の指針では、就職活動中の学生など直接雇用関係がない人への対策も「望ましい取り組み」としてあげられた。顧客らのひどい暴言などからどう守るかについても同様だ。新型コロナウイルスによるストレスがたまるなか、最前線に立つ人を孤立させることがないよう、工夫してほしい。

対策の徹底は、生産性向上や人材確保、社会的な信用にもかかわる。株式市場は企業がステークホルダー(利害関係者)重視の経営をしているかを厳しく見始めており、企業価値向上のためにもパワハラの撲滅が求められる。

国際労働機関(ILO)は19年、ハラスメントを禁止する条約を採択した。日本にはまだ禁止規定はない。国際基準にどう近づくのか。今回の法施行を、そのための確かな一歩としたい。




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