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憲法審査会 議論急ぐ必要性乏しい(2020年5月30日配信『北海道新聞』-「社説」)

 今国会初の憲法審査会が衆院で開催された。

 自民、公明両党は改憲手続きを定めた国民投票法について、共通投票所の設置など公選法の内容に沿う改正案の早期採決を求めた。

 野党側は国民投票時のCM規制も検討すべきだなどと主張し、採決については折り合わなかった。

 言うまでもなく、現在の差し迫った政治課題は新型コロナウイルスの感染拡大への対応である。改憲論議を急ぐ大義はない。

 国民投票法も、野党の反対を押し切ってまで改正に踏み切る必要性に乏しい。今国会での成立は見送るのが当然だ。

 改正案は提出から2年近く、ほとんど審議されずにきた。

 だが憲法審査会の停滞は、憲法を尊重すべき行政府の長でありながら改憲に前のめりな安倍晋三首相に対し、野党が警戒感を強めていることが大きな要因だろう。

 今年の憲法記念日に寄せたビデオメッセージでも首相は、コロナ禍に絡め緊急事態条項を新設する必要性を強調し、改憲の「決意に全く揺らぎはない」と述べた。

 自民党が改憲4項目で掲げている緊急事態条項は、大規模災害の際に政府が法律と同じ効力を持つ政令を制定できるとしている。

 立法府の機能を骨抜きにし政府の強権発動への歯止めをなくす危険な内容で、コロナ禍に便乗するかのような改憲論は言語道断だ。

 また、審査会で自民党は、今回の感染拡大のような非常時に際し国会の機能を確保するために、本会議の定足数や議員の任期についても議論が必要だと提起した。

 まずは現行法制で可能な措置について検討を急ぐのが筋だろう。

 今の国民投票法は、投票前の14日間を除きCM規制がなく、費用の制限もない。資金力の豊富な政党や団体がテレビCMを垂れ流し、公平で公正な投票が損なわれる懸念がかねて指摘されている。

 加えて見過ごせないのが、2007年の成立時よりはるかに増大したインターネットの影響力だ。

 大量のデータを分析した会員制交流サイト(SNS)を通じての広告や、フェイクニュースへの対処はこれまで議論されずにきた。

 CMやネットへの規制は憲法が保障する表現の自由との兼ね合いで難しい問題をはらむが、重要な課題には違いない。

 与党も議論の必要性は否定していない。ならば、与野党の合意形成を重視する憲法審査会本来の運営に立ち戻り、時間をかけて結論を得ることが求められよう。




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