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コロナ後(2020年5月30日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)


 貧しい娘が村長の妻の訃報を知るも持参する供物もない。すると萩が言う。妻が死んだのは行者ニンニクを根こそぎ採って行者ニンニクの神を殺したから。家の行者ニンニクを持って村長の家の南斜面へ行き、魂を返すと言ってまき散らしなさい。娘がその通りにすると妻は生き返った…

▼アイヌ民族のウエペケレ(昔話)には教訓が入る。この話だと「山菜を採る時に根こそぎ採ってはいけません」

▼アイヌ文化の伝承に尽力した萱野茂さんが自伝に記す。少年時代、祖母と山菜採りで野山を歩き、こんな昔話を何度も聞かされた。山を歩く時の心得から、魚を捕る時どうすれば神様に叱られないかまで自然観を育んだ

▼謙虚さを忘れず、自然を神とあがめ乱獲を慎み「神=自然とアイヌ」の間には相互信頼が確立していたという。ウエペケレは、話を聞くことでお互いが清らかになるという意味だそう

▼今回のコロナ禍の原因は人間が生態系を破壊し、森にすむ動物たちと近接した結果だとされる。つまり人間がウイルスを引っ張り出してしまったのだ

▼胆振管内白老町の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」はきのうの全面開業予定が再延期され、6月以降の部分開業を目指す。アイヌ民族がどうやって連綿と自然との関係性を築いてきたのか学びたい。コロナ後の新しい価値観を再構築するヒントは、私たちの最も身近なところにあるのだから。

◆ウエペケレのレは小さい字。



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Author:gogotamu2019
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