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梅雨と避難所 「3密」回避に万全尽くせ(2020年5月31日配信『西日本新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスとの闘いが続く中、九州南部が梅雨入りしたとみられる。北部も来月5日ごろに続く見通しだ。

 ここ数年を振り返るまでもなく全国どこでも想定外、記録的な豪雨への警戒は怠れない。コロナ禍と災害の二重苦という、過去に例のない事態に直面する可能性を覚悟しておくべきだ。

 特に懸念されるのは、住民が避難を強いられた場合の避難所での「3密」(密閉、密集、密接)である。固定観念にとらわれずに知恵を絞り、回避するため万全の対策を講じたい。

 私たちは近年、梅雨時の大雨を何度も経験し、甚大な被害と犠牲の上に多くの教訓を学んできた。そうした中で、新たに提唱され始めた考え方の一つに「分散避難」がある。

 これまで避難といえば、自宅を離れ、学校の体育館や公民館に身を寄せることと考えられがちだった。だが実際の避難先は公的な場所に限らない。危険が小さいと評価できるのなら、自宅やマイカー内のほか親戚、知人宅に逃げるという発想だ。

 住民の避難がむやみに1カ所に集中すれば、それがどれほどの3密を生むか。今なら多くの人が理解できるだろう。

 かえって、避難所に向かう途中が危険な場合もあると指摘されて久しい。

 市町村が風水害で「全域(全世帯)避難」の指示を出したとしても、それは主に浸水と土砂災害の危険がある地区の全員という意味だ。自宅家屋やマンション、ビル内の2階以上に逃げる「垂直避難」は水害の場合は特に有効とされる。

 慌てずに冷静に判断することが命を守ることにつながる。

 コロナ対策で自治体は今、新しいタイプの避難所の準備を急ピッチで進めている。生活スペースで世帯ごとに一定間隔を置いたり、シートで間仕切りをしたりといった具合だ。換気も欠かせない。以前から避難所ではインフルエンザなどの感染症対策が大きな課題の一つだった。さらに工夫を重ねたい。

 他にも、観光客の減少で休業を強いられているホテルや旅館の部屋や、テレワークで生じた企業ビルの空室を臨時の避難所にすることも検討に値する。

 風水害の対策で重要なのは気象情報に基づいた早めの警戒である。地震などに比べて一定の予測が可能だ。

 自治体のハザードマップで自宅や職場の周辺にある危険箇所を再確認しよう。その上で数日分の食料や水に加え、コロナ対策のマスク、体温計、消毒液をリュックに入れておきたい。

 避難とは文字通り「難を避ける」ことだ。事前の備えが結果を大きく左右する。



【コロナと避難】「複合災害」想定し備えを(2020年5月31日配信『高知新聞』-「社説」)

 梅雨が近づき、水害の起こりやすいシーズンを迎える。

 新型コロナウイルスへの警戒が続く中、豪雨などの自然災害が重なってしまわないか。今年はそうした「複合災害」の恐れが指摘されている。感染予防に取り組みながら、身の安全を確保せねばならない。

 人々が身を寄せる避難所の感染リスクが問題になっている。体育館や公民館などに集まり、密閉、密集、密接という3密が起こりやすい。

 コロナの感染拡大を受けて、政府は防災基本計画を改定した。「感染症の観点を取り入れた対策が必要」と明記。自治体がつくる地域防災計画の見直しを求めている。

 避難所の増設が過密を抑えるために有効とした。適した公共施設などが不足している場合は、ホテルや旅館の活用も視野に入れる。

 備蓄するのが望ましい物資としてマスクと消毒液が追加された。

 避難所を運営する市町村も危機感を強めている。県内でも、コロナ対策の取り入れが始まっている。

 高知市は先月末までに、豪雨災害時の対応マニュアルを見直した。

 避難所の受付で検温し、37・5度以上の発熱がある人は一般のスペースとは分けた個室に誘導する。1人当たりのスペースはこれまでの2平方メートルから4平方メートルに広げ、人と人との間隔を空けるなどの内容だ。

 自治体は、感染防止策を徹底した避難所運営に変えなければならない。現状のままではコロナを恐れ、災害時に避難行動を取らない住民が増えることも考えられる。

 高齢者や妊婦、障害や病気のある人ら「コロナ弱者」は、そのまま「災害弱者」と重なる。そういった人たちが避難に尻込みしないような対策を早急に講じねばならない。

 また私たちの選択肢として、市町村指定の避難所以外への「分散避難」も考えてよい。

 内閣府は、コロナ下における避難の注意事項について公表した。原則は「危険な場所にいる人は避難」。

 そして避難先として、安全な場所にある親戚や知人の家に身を寄せることも挙げた。既に安全が確保されていれば移動は不要だ。
 やむを得ず車中泊をする場合は、「浸水しないよう周囲の状況などを十分確認して」と呼び掛けた。

 命を守るための行動をどう取るか。私たちも「複合災害」の発生に備えて考えなければならない。

 まずは自分の住んでいる地域の避難場所や行き方について確認し、家族や知人、近所の人らと話し合い、どこに避難するかを決めよう。

 持ち出し袋の用意も済ませたい。避難所の物資不足も考えられるため、マスクと消毒液の持参が呼び掛けられている。人との共用を避けて感染を予防するため、自分用の体温計やせっけん、ティッシュペーパーなども入れておくとよい。

 自分や周りの人の命を守るために行動する。コロナ禍によって、その大切さが身に染みる今こそ、自然災害への備えも万全にしたい。





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Author:gogotamu2019
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