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「非正規」助成金の不正受給横行 申請急増で審査甘く(2020年5月31日配信『日本経済新聞』)

非正規労働者の待遇改善を支援する「キャリアアップ助成金」の不正受給が全国で横行している。大阪府警は4月までに指南役ら30人を詐欺容疑で摘発した。急増する申請に対して、十分な審査を行う体制が整っていないことが不正受給の背景にある。

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キャリアアップ助成金のパンフレット。審査の甘さをついた不正受給が横行する。

「労せずしてもうかる国の支援制度がある」。コンサルタント会社顧問だった30代の男らは接骨院の事業主らを集めたセミナーで、こんな誘いの言葉をかけていた。

関心を示した事業主に男らが指南したのはキャリアアップ助成金の不正受給の手口だった。受給の要件を満たすために、実際には行っていない従業員の研修を実施したと申請書類に記入するよう指示。受け取る助成金の額を水増しするため、架空の人物や知人を従業員として申請させていた。

コンサルタント会社顧問だった男らは報酬として助成金の2~3割を受け取っていたという。2019年に大阪労働局の調査で不正が発覚し、府警は同年10月、詐欺容疑で男を逮捕=詐欺罪で起訴=した。事業主側の捜査も進め、4月までに計30人を摘発した。だまし取られた助成金は13~16年で計1億2千万円に上るという。

キャリアアップ助成金は厚生労働省が13年度に創設した。研修や賃金増など、雇用する非正規労働者の処遇を改善した事業主に支給する。処遇改善の対象は7種類あり、事業主が各地の労働局に申請する。最大1千万円超の助成が受けられる。

厚労省によると、キャリアアップ助成金の不正受給が発覚した件数は14年度は2件。16年度は26件、18年度は70件と、急増傾向にある。

刑事事件に発展するケースも相次ぐ。奈良県警は19年2月までに約1700万円をだまし取ったとして、指南役とされる50代の男ら31人を詐欺容疑などで摘発した。複数の申請書で、同じマンションの一室が事業所の住所として記載されていることに奈良労働局の職員が気付き、発覚した。

キャリアアップ助成金の申請件数は、18年度は約9万3千件で15年度(約4万7千件)からほぼ倍増した。審査を担う現場である労働局の体制が追いついておらず、不正受給が横行する要因になっている。

会計検査院の調査報告書は15~18年度に大阪や神奈川など8労働局で計約5400万円の支給が不当だったと認定。「申請書の記載内容が事実と違っていたにもかかわらず、労働局の確認が不十分だった」と指摘した。大阪労働局の担当者は「人手不足で不正の発見が遅れたことは否定できない。再発防止の体制を整えたい」と話す。

厚労省は19年4月、不正受給した事業主が助成金を申請できない期間を3年から5年に延長するなどペナルティーを強化した。指南役が不正を主導するケースがあることなどから、同省の担当者は「『100%助成金を受け取れる』『無料で受給額を査定する』といった勧誘には注意してほしい」と呼びかける。

助成金制度に詳しい社会保険労務士の藤原郁子さんは「不正を一目で見抜くのは難しく、審査は性善説に頼っているところが大きい」と説明。「本当に必要としている人への迅速な支給と、支給後の抜き打ち検査など不正抑止策を両立させていくことが必要だ」と話している。

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