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10兆円の予備費 白紙委任を求める独善(2020年6月3日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 国会のチェックなしに政府に白紙委任はできない。あまりに巨額である。

 政府が閣議決定した第2次補正予算案に組み込まれた予備費だ。今回だけで10兆円に上る。

 予備費は予算編成時に予測の難しい緊急事態に備え、使い道を決めずに計上する経費である。内閣の判断で支出でき、国会の事後承諾を得る。

 使途を縛られず、国会のチェックが不十分になるため、これまで多額の計上は控えられてきた。菅義偉官房長官は記者会見で「(新型コロナウイルスの)第2波が来ても即座に対応できるように計上した」と述べている。

 一定程度の予備費が必要なことは理解できる。それでも、これまでの最高額は第1次補正予算の1兆5千億円だ。今回はその6倍以上になる。第2次補正予算案の歳出総額は31兆9千億円だ。その3分の1近くを予備費が占める。

 成立すると、本年度防衛費の2倍近くに相当する予算の使途を、内閣の一存でほぼ自由に決めることになる。極めて異例である。

 憲法83条は国の財政に関する権限は国会の議決に基づくと定める。事後承諾では予算審議の意味がなくなる。国会軽視がはなはだしく、看過できない。財政民主主義に反する。

 コロナ禍への対応で政府は失態や変節を繰り返してきた。

 全世帯へのマスク配布は効果が不透明な上、膨大な配布経費への批判が根強い。

 国民一律10万円の給付金は、収入減世帯を対象にした30万円の給付金に対し、国民や野党などから批判が集まり、政府が変更を迫られた結果だ。

 中小企業などを支援する「持続化給付金」も不透明だ。事務事業を受注した一般社団法人を巡り、活動実態や再委託の経緯などが問題視されている。

 安倍晋三政権の予算執行には、国会の監視が欠かせない。

 今国会の会期末は17日である。都内の新規感染者は再び増加傾向になっている。拡大防止のために新たな対応が必要になるのなら、国会の会期を大幅に延長して備えるのが筋である。

 それなのに政府、与党は今国会を延長しない方針だ。黒川弘務・前東京高検検事長を巡る問題などを野党に追及されることを避ける思惑が透ける。

 巨額予備費の計上は、安倍首相が主導したとされる。国会の閉幕をコロナ対策より優先するのは本末転倒であり、首相の独善だ。




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Author:gogotamu2019
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