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[成年後見制度] 自治体は積極的関与を(2020年6月4日配信『南日本新聞』-「社説」)

 判断能力が低下したお年寄りらを支える成年後見制度がスタートして20年が過ぎた。

 介護保険と同時に導入され、高齢社会を支える「車の両輪」といわれながら、利用は22万人程度に低迷する。高齢者のほぼ4人に1人が認知症か、その予備軍といわれ、厚生労働省の推計によると認知症の人は600万人を超す。つまり、3%余りしか利用していない計算だ。


 一層の高齢化進展を考えれば、利用促進を図るのは急務といえる。利用者本人がメリットを実感できるよう運用を工夫し、本人や親族に身近な自治体には積極的な関与を求めたい。

 成年後見制度は、親族や司法書士、弁護士、社会福祉士らの中から家庭裁判所に選任された後見人が、預貯金などの財産管理や介護サービスの利用契約を本人に代わって行う。認知症が進んでも、重度の障害があっても、自分らしく安心して暮らせるようにするのが目指す姿である。

 だが、制度運用を巡っては財産保全ばかりが重視され、利用者本人の意思尊重や生活支援といった福祉的な観点が不十分との指摘がある。後見人の8割近くを親族以外が務め、「仕事の割に報酬が高すぎる」との不満も聞かれる。利用をためらわせているこうした課題を解決することが欠かせない。

 厚労省の有識者会議は3月、利用者本人の意思を尊重するよう、運用の改善を求める報告書をまとめた。普及のための指針策定、後見人の研修、不正防止の取り組みの徹底などに加え、中核機関の早期整備が盛り込まれた。

 中核機関は市区町村が整備し、利用者や親族の相談に乗ったり、後見人の候補者を家裁に推薦したりする。利用促進の鍵を握る存在と位置付けられる。中核機関の支援があれば、本人の様子をよく知る親族らが後見人に選任されやすくなり、利用者本位の運用へ前進することが期待される。

 政府は2021年度末までに全1741市区町村で整備を目指すが、取り組みは遅れている。昨年10月時点で設置済みは160、中核機関に準じる権利擁護センターは429。鹿児島県内もそれぞれ6市町村、3市にとどまり、21年度末までに設置予定と回答したのは13自治体だった。

 背景に成年後見制度に関する知識や経験の不足のほか、必要性は認識していても予算やマンパワーの面での難しさがあるようだ。とはいえ、中核機関は社会福祉協議会など既存組織に委託でき、複数の市区町村が連携して整備することも可能だ。

 団塊の世代が75歳以上になる25年には、認知症の人が最大730万人に上ると厚労省は推計している。スピード感ある対応で、万全の備えを固めておきたい。




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