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パワハラ規制法 根絶へ実効性を高めたい(2020年6月5日配信『山陽新聞』-「社説」)

 企業にパワーハラスメントの防止対策を初めて義務付ける「女性活躍・ハラスメント規制法」が今月施行された。当面は大企業が適用対象で、中小企業は努力義務として始め、2022年4月から義務化される。

 職場での「いじめ」や「嫌がらせ」の防止は、これまで企業の自主的な取り組みに委ねられていた。新たな法規制を根絶への力にしたい。ただ、内容には曖昧な点もあり、その実効性が問われよう。

 昨年5月に成立した規制法は、パワハラを「優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、労働者の就業環境が害されるもの」と定義。事業主に就業規則などによるパワハラ禁止の周知や、相談体制の整備など10項目の対策を義務付けた。違反企業には行政が勧告でき、従わない場合は企業名を公表するとしている。

 18年度に労働局などに寄せられたパワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」相談は過去最多の約8万2千件に上った。人格や尊厳を踏みにじる言動に心を病んで休職や退職、さらには自殺にまで追い込まれる事態も起きている。

 規制法成立後も、こうした状況は続く。昨年8月には三菱電機の新入社員の男性が、教育担当の上司による暴言などパワハラの存在をうかがわせるメモを残して自殺した。それ以前にも同じような状況で新入社員が自殺したケースがあったという。

 重い教訓をなぜ生かせなかったのか。関係者には「極限まで追い込んで成果を出させる。パワハラが当然で自浄作用はなかった」と社風を指摘する声もある。

 それは同社に限った問題ではない。企業自体が意識を高め、体質を大きく変えなければ改善は遠い。共同通信が主要110社を対象に行ったアンケートでも、8割が「管理職や社員の意識向上」を対策の課題に挙げている。

 悲劇をなくすため規制法をしっかり機能させたいが、課題も多い。その一つがパワハラか指導かの線引きの難しさだ。国は指針に「精神的な攻撃」や、無視など「人間関係からの切り離し」といった6類型を明示し、それぞれ該当するか否かの事例を示した。

 ただ、該当しない事例の中には「社会的ルールを欠いた言動がみられ、再三注意しても改善されない労働者に一定程度強く注意すること」などがある。「一定程度強く」といった表現は立場によって受け止め方が異なろう。

 被害者の孤立を防ぐ相談窓口の充実も大切だ。訪れる人の声に真摯(しんし)に耳を傾け、公正で迅速な対応が望まれる。

 企業は、コロナ禍で停滞した活動を再び軌道に乗せていく上で、極めて重要な時期にある。そのためにも、安心して働ける良好な職場環境づくりが欠かせない。労使が一体となって、互いの不信や溝を埋めながらパワハラ撲滅に取り組むよう求めたい。




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Author:gogotamu2019
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