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同性事実婚判決 社会の変化踏まえねば(2020年6月8日配信『北海道新聞』-「社説」)

 同性カップルは犯罪被害給付制度が対象とする事実婚(内縁)にあたるかどうかが争われた裁判で、名古屋地裁は遺族給付金を不支給とした愛知県公安委員会の裁定を認め、請求を棄却した。

 税金を財源とする以上、支給には同性間の内縁を認める社会通念の形成が必要で、裁定時は社会的議論の途上だったとし、内縁にあたるか否かの判断は避けた。

 同性間の内縁を巡っては今年3月、東京高裁が不貞行為に対する慰謝料訴訟でこれを認めている。

 性の多様性への理解は広がりつつある。法改正が進まない一方、社会生活上の不利益に配慮して、独自に同性間の内縁関係を認証する自治体も増えており、判決はこうした流れに逆行するものだ。

 パートナーを犯罪で失う苦しみは同性間も異性間も変わらない。判決を、制度設計の見直しに向けた議論の出発点としたい。

 犯罪被害者等給付金支給法は、遺族給付金の対象者に「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」、つまり内縁を含めている。

 原告の男性は2014年、約20年間同居して生計を共にした同性パートナーを同僚に殺害され、遺族給付金の支給を申請したが、17年に不支給の裁定を受けた。

 刑事裁判の判決では、名古屋地裁も夫婦同然の関係にあったと認めており、同性でなければ支給対象となったのは明らかだ。

 パートナーを失い、差別的取り扱いで公的支援から閉め出された男性の苦痛は察するに余りある。

 議論の途上だからといって制度の穴を放置していては、被害者遺族の救済という趣旨を外れよう。

 同性間の内縁を巡っては、ほかにも、民法や戸籍法などの規定に残る同性婚差別を違憲として国に損害賠償を求める訴訟が札幌など各地で起こされている。

 遺族給付金に限らず、遺族年金や労災保険など、生活実態によって内縁を認定し、法律婚に準じて保護する公的制度は少なくない。

 今回の判決が、こうした制度の運用に影響しないよう、注視していく必要もあるだろう。

 海外では同性婚を認める国が増えつつある。国内でも、札幌市など自治体が同性パートナーシップ認証制度を設けたり、企業が異性カップルと同等の福利厚生を社員に提供したりしている。

 国は、国民意識の変化と向き合い、各種制度の見直しを進め、同性間の内縁関係を法的に位置づけるとともに、事実婚の保護の内容も拡充していく必要がある。




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