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コロナと外国人 苦境を見据え支援の輪を(2020年6月8日配信『西日本新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大による雇用情勢の悪化は、日本で暮らす外国人の就労にも深刻な影を落としている。

 日本政府は「多文化共生」を掲げ、海外からの労働力受け入れを進めてきた。その看板に偽りがないように救済や支援に全力で取り組むべきだ。

 企業の倒産や休業による外国人の解雇や雇い止めは今年2月以降、全国各地で急増した。彼らの困窮を伝える報道が続いている。異国の地で感染症の恐怖に直面し、収入を断たれた上、出入国の制限で母国にも帰れない-。コロナ禍は二重三重の苦しみをもたらしている。

 外国人労働者は最近5年間で倍増し、昨年10月末時点で約166万人に達した。今とりわけ支援が必要なのは、働く業種が限定された技能実習生(38万4千人)と、アルバイトで学費や生活費を賄っている留学生(31万8千人)たちだ。

 政府は全国に緊急事態宣言を出した4月中旬に、働き先を失った実習生の異業種への「転職」を認める特例措置を打ち出した。5月には、留学生を含む困窮学生への緊急給付金(最大20万円)制度を設け、一律10万円の特別給付金についても日本に住民票がある外国人を対象に含め、給付手続きを進めている。

 残念ながら、いずれも後手に回った印象は否めない。困窮学生への給付金には、留学生の場合「成績優秀者」との条件が設けられた。支援団体が不当として市民5万人の署名を集め、政府に見直しを求めている。

 言葉の壁が横たわる中、これらの支援措置が外国人に十分に周知され、給付も漏れなく届くのか、懸念する声もある。

 日本の労働法規は外国人差別を禁じている。事業者は賃金のほか休業手当なども日本人と同等に支払う義務があり、不当な解雇は許されない。外国人の泣き寝入りを防ぐには、行政による監視の強化も必要だろう。

 政府の毎月の労働統計は外国人の雇用状況を詳しく把握していない。このため、コロナ禍に便乗した不当な解雇は実際相当数に上るだろうが、実態は見えにくい。政府は早急に調査し、追加支援策も検討すべきだ。

 コロナ禍により国内の人手不足が解消されたわけではない。感染を抑止し、経済の再生を図っていく中、外国人の働き手の確保は欠かせない。彼らを「安価な労働力」「雇用の調整弁」として扱うような風潮は排し、今後も日本での就労希望者を増やしていくことが肝要だ。

 私たち市民が、身近で働く彼らの苦境に目を向け、隣人として可能な限り支援の輪を広げていく。それが「共生」の原点であることも再認識したい。




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Author:gogotamu2019
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