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忘れられた「ゴーン」事態が再び動きそうな理由(2020年6月7日配信『東洋経済オンライン』)

ゴーンの国外逃亡ほう助した親子が捕まった

レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

今もベイルートにいるゴーンは最近、引っ越したようだ(写真:REUTERS/Mohamed Azakir)
コロナ禍で日本ではその存在が忘れられかけていた日産元会長のカルロス・ゴーンが再び日本を賑わせる可能性が出てきた。5月20日に、ゴーンの国外逃亡を助けたとされる3人のうち2人、元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)のマイケル・テイラーとその息子、ピーター・テイラーがアメリカ・ボストン近郊で逮捕されたのである。2人はゴーンが現在住む、レバノンの首都ベイルートに向かう途中だったという。

2人は12月29日、フランス系レバノン人のジョージ・アントワーヌ・ザイエックの協力を得て、ゴーンを楽器用の箱に入れて関西空港の税関を通過し、日本国外に脱出させた疑いが持たれている。アメリカ司法省は2人を日本への送還を視野に入れて逮捕した。

最終的には日本に送還される可能性

元検事でホワイトカラー犯罪を扱うアメリカ人弁護士は、「アメリカが2人を日本に送還する可能性は非常に高い。アメリカ政府が彼らの身柄引き渡しをしないのに逮捕するということは想像できない。テイラー親子は自分たちの身を守ろうとするだろうが、政府は争う準備ができている。長い法廷闘争になるだろうが、最終的には日本へ送還されるのではないか」と見る。

日本に送還された場合、テイラー親子は到着後、ゴーンが保釈されるまで108日間を過ごした小菅にある東京拘置所に送られる可能性が高い。彼らの日本人弁護士は、ひとたび保釈申請が可能になれば、ゴーンの弁護士と同じように、依頼人を保釈するよう裁判官に求めるだろう。だが、彼らは明らかに逃亡の危険性があるため、保釈は認められないと考えられる。

そうなれば、テイラー親子は拘留されたまま、裁判のために数カ月は待つことになる。ある弁護士によると、有罪判決を受けた場合、彼らは刑務所で4年以上を過ごす可能性がある。ゴーンとの違いは、今回は誰も彼らを日本から脱出させに来ないという点だ。

ゴーンは今何をしているのか

テイラー親子の逮捕は、トルコの司法当局が、ゴーンをイスタンブールからベイルートに不法に脱出させた罪に問われた7人(パイロット4人、客室乗務員2人、幹部1人)の起訴を発表した数日後に行われた。

トルコで7月3日から始まる裁判では、ゴーンの逃亡の詳細が明らかになるはずだ。トルコの検察官は、4人のパイロットに最大8年の懲役、客室乗務員に1年の懲役を求めている。

2月にはレバノン大使夫妻と「鉢合わせ」

一方、ゴーンと妻のキャロルはベイルートで生活を続けている。レバノンが新型コロナウイルスによって封鎖される前、彼らはしばしばレストランで目撃されていた。

2人は2月18日には、ベイルート近郊のベイトメリ村で開催されたクラシック音楽の祭典「アル・ブスタン・フェスティバル」のプレミアコンサートで目撃されている。同コンサートには、日本の中レバノン大使、大久保武夫妻も出席していたという。会場にいた関係者によると、2組の夫婦の雰囲気は刺激的なものだったようだ。

ゴーン夫妻は依然、日産が家賃を負担している家に住んでいるが、先ごろこの近所にもう1つアパートを借りた。日産関係者の監視を避け、プライベートを確保する狙いがあるとされる。

ゴーンをめぐっては多くのうわさが流れている。ブラジルに引っ越す準備をしているというものや、経済的苦境に経つレバノンが、日本からの財政支援と引き換えに彼を引き渡すことができるというものまである。ブラジルに逃亡する準備をしているという人もいる。

一緒に逮捕されたグレッグ・ケリーの今

しかし、親しい友人たちはこうしたすべてのうわさを一蹴する。レバノン政府はまだゴーンを支持しているほか、政府がレバノン市民の身柄を引き渡すことはできない。ゴーン自身も日本での裁判を消滅させるため、レバノンでの裁判を希望している。

妻のキャロルにとって、テイラー親子逮捕のニュースは衝撃だったに違いない。彼女は日本でも偽証罪で逮捕状が出ている。もし彼女がアメリカに行くことになれば、今度は彼女が逮捕され、身柄が引き渡されるリスクを負うことになるだろう。

キャロルは自身の母国であるレバノンにいるが、夫が逮捕された時の主な居住地はニューヨークだった。彼女は以前、ニューヨークの実業家と結婚しており、そこでの家族や友だちとの絆も維持している。

いまだに裁判開始日は決まっていない

2018年11月にゴーンとともに逮捕された元右腕で日産元代表取締役のグレッグ・ケリーは、今も日本で裁判が始まるのを待っている。1年半前に逮捕されたにもかかわらず、いまだに裁判開始日は決まっていない。

64歳で健康不安を抱えているとされるケリーは、ゴーン被告に約束された退任後の報酬数千万ドル(数十億円)について開示せず、隠ぺい工作を共謀した容疑を持たれているが、無罪になる可能性が高いとみられている。現在、妻のドナと東京で暮らしているが、彼女は日本を出ることを許されない夫と暮らすために学生ビザを取得しなければならなかった。

ゴーンによる奇想天外な逃亡劇から6カ月。いよいよその逃亡の全貌が明らかになり、彼に「巻き込まれた」人たちの運命も大きく動き出すのだろうか。




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