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【マイナンバー】危うい全口座ひも付け(2020年6月9日配信『高知新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの緊急経済対策をきっかけにして、にわかにマイナンバー制度の「拡大」が進められようとしている。

 マイナンバーは、住民票がある全ての人に割り当てられている12桁の番号だ。2016年から運用が始まった。このマイナンバーと個人の預貯金口座番号をひも付けようというのだ。

 きっかけは、全国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」のオンライン申請を巡る混乱だ。

 マイナンバーカードは、ICチップに本人確認できる情報が埋め込まれている。このため、時間がかかる振り込み口座の名義確認などの事務作業を省略でき、迅速な支給ができるという触れ込みだった。

 ところが申請が殺到した結果、システムが負荷に耐えられず遅延。申請者の入力誤りも多く、自治体の事務負担が増えた。高知市など全国の43市区町で、申請受け付けが休止される事態を招いた。

 そこで政府は、個人が任意で振り込み用として口座情報をマイナンバーと一緒に登録できるようにする。今回のような緊急時のほか、福祉・景気対策の給付などでメリットがあるとする。

 自民、公明、日本維新の会の3党による議員立法として、今国会に法案を共同提出する構えだ。

 実現すれば確かに申請手続きのトラブル防止や、支給の迅速化が見込めるかもしれない。

 現在でも本人同意があればマイナンバーと口座のひも付けはできる。ただマイナンバーカード自体、国民の16%にしか普及していない。給付の迅速化を呼び水に、普及を促進させる狙いもあるのだろう。

 問題は政府が「その先」を見据えていることだ。

 マイナンバーと個人の預貯金口座の全てをひも付けすることの義務化である。そうなると国が個人の資産状況を一元的に把握できるのではないか。

 もともとマイナンバー制度には、国による個人情報の管理という側面がある。国民監視につながりかねず個人情報流出の恐れもある。国民が懸念するのは当然だろう。

 自民党は全口座とのひも付けを義務化する法案を、2021年度中に国会提出するよう政府に求めている。

 しかし国民の不信感は根強いままだ。そもそも緊急時の給付などは、一つの口座で事足りるのではないか。全口座とのひも付けが必要な理由を、政府が十分に説明しているとは言いがたい。

 行政事務のデジタル化が避けられないのも確かだろう。だからといってコロナ危機を突破口にするような形で、制度の安易な拡大を進めてはならない。まずは国民にメリットとデメリットを十分に示した上で、慎重に検討する必要がある。

 「利便性」を追求するか。「プライバシー保護」を重視するか。私たち国民も国会審議を注視しながら、冷静に見極めたい。






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Author:gogotamu2019
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