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同性事実婚 「社会通念」は未形成か(2020年6月10日配信『東京新聞』-「社説」)

 同性パートナーを殺害された40代男性が、犯罪被害者給付金を不支給とした愛知県公安委員会に裁定取り消しを求めたが、名古屋地裁は退けた。社会での理解の広がりに水をさす判決ではないか。

 原告は2014年、それまで約20年間同居し、生計も一緒で、原告の母親の介護もしていたパートナーを知人の男に殺害された。

 遺族らに国が支払う同給付金は支給対象に「事実婚と同様の関係(内縁)にあった者を含む」と規定。これが同性のカップルにも適用されるかが争点だった。

 判決は「不支給決定が出された17年当時、同性カップルの共同生活を婚姻関係とする社会通念は形成されていたとは言えない」として、請求棄却の理由とした。

 しかし、当時の性的少数者(LGBT)を巡る「社会通念」は、世論調査などでは「形成されつつある」状態だったともみられる。

 例えば、15年の毎日新聞調査では同性婚に「賛成」44%、「反対」39%。17年のNHK調査では「同性同士の結婚を認めるべきか」の質問に「そう思う」51%、「思わない」41%。同年の朝日新聞調査では「同性婚を法律で認めるべきだ」49%、「認めるべきではない」39%。いずれも、同性婚の肯定派が否定派を上回った。

 法律上、同性婚は認められていないが、東京都渋谷区などが15年、同性カップルを公的に承認する「パートナーシップ証明制度」を開始。三重県伊賀市や愛知県西尾市、浜松市など50以上の自治体に拡大し、さらに広がりつつある。

 独自の施策も。17年度、岐阜県関市は同性パートナーがいる市職員にも結婚等祝金と弔慰金を支給。大阪市は、男性同士のカップルを「養育里親」に認定した。

 名古屋地裁はこうした国民意識や自治体の取り組みを判決で検討しつつ「同性間の共同生活関係への理解はまだ途上で、社会通念は未形成」と結論づけた。あまりに慎重すぎはしないか。

 宇都宮地裁真岡支部は昨年9月の判決で「同性パートナーは内縁に準ずる」と述べ、2審の東京高裁も支持した。名古屋とは正反対の判断だ。在日米国商工会議所などが、日本政府に同性カップルに婚姻の権利を認めるよう提言し、“外圧”も強まる。

 司法は、時代の動きに敏感であるべきだろう。今回の原告は、パートナーを殺害されたショックで言葉を発せられない状態が続いているという。司法は、弱者に寄り添う支えでもあってほしい。




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