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解釈(2020年6月13日配信『高知新聞』-「小社会」)

 谷崎潤一郎はかつて日本の文学の特徴をこう述べている。いろんな意味が含まれる言葉をわざと使い、読み手が「感覚的要素、即(すなわ)ち調子や字面やリズムを以(もっ)て補ひます」。
 
 曖昧さ、よく言えばゆとりが文章の味というわけだ。行間を読むのもその一つだろう。ところが、英文に翻訳されると、例えば「源氏物語」の場合、「原文にない言葉が沢山(たくさん)補つて」あり、「意味の不鮮明なところがない」という。
 
 これを引き合いに日本と西洋の法律の違いをひもといたのが、法学者の故川島武宜さんだ。法文の意味を厳格に捉える西洋は社会変化による調整が法改正でこなされるが、日本は「『解釈』と呼ばれる操作で行われる」。
 
 この日本式の欠点は、解釈が時の政権により恣意(しい)的に行われる恐れがあることだろう。安倍政権にその危うさがあるのは前東京高検検事長の定年延長を見ても明らかだ。きのう成立した第2次補正予算にも似たにおいがする。
 
 問題となった予備費は憲法でも認められている制度だが、政府が国会審議を経ずに支出でき、あくまで不測の事態に備えるものだ。10兆円もの巨費はさすがに法の想定を超えていよう。野党の追及で一部の使途が示されたが、国会はコロナ対策を理由に早々に成立させた。
 
 国会が政権の空気や議案の行間を読むようでは、その権限は形骸化しかねない。成立した10兆円予備費はせめて事後のチェックを妥協せずにやってほしい。




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