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新聞の政治漫画や芸能人の似顔絵で一時代を築いた針すなおさん…(2020年6月13日配信『西日本新聞』-「春秋」)

 新聞の政治漫画や芸能人の似顔絵で一時代を築いた針すなおさん。かつて故郷の佐賀市で創作の極意をこう語った。「笑いと風刺が原点です」

▼好例が2013年の森喜朗元首相とロシアのプーチン大統領の会談を題材にした針さんの政治漫画。柔道着姿の2人が左手で相手をつかみ合い、右手でこっそり握手していた。表向きの友好を演出しつつ北方四島返還が進まぬ現状への皮肉であろう。漫画が載った新聞を見て、当のプーチン氏も思わず笑ったとか

▼風刺画にはこうしたユーモアが欠かせない。権力者の偽善や社会制度の不備を笑いというオブラートに包み、時にやんわり時に鋭く突く。そこが醍醐味(だいごみ)だ

▼それとは正反対の絵が「風刺画」として世に広まったのは悲しい。元民放記者からの性暴力被害を告発した伊藤詩織さんが女性漫画家を相手に訴訟を起こした。ツイッターで拡散された風刺画に名誉を傷つけられたという

▼この絵、伊藤さんらしき女性の脇に読むに堪えない文字が躍る。表現の自由を通り越し、中傷だろう。勇気を出してレイプを告発した伊藤さんがこの絵に「セカンドレイプ」と悲鳴を上げたのもうなずける

▼風刺とはもともと「諷刺」と書く。「諷」はほのめかすの意。ほのめかしてチクッと刺し、人々をにやりとさせるのが風刺である。その微小な「針」の尖端(せんたん)は、常に大きな相手に向かわねばならない。小欄も肝に銘じたい。




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