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[国民投票法10年] 新たな課題の議論必要(2020年6月13日配信『南日本新聞』-「社説」)

 与党は、憲法改正に必要な手続きを定める国民投票法について、2年前に提出した改正案の成立を今国会も断念した。

 会期中に1回だけ開かれた衆院憲法審査会の自由討議では、立憲民主党などがインターネットの投票に与える影響の議論を要求し、折り合うことができなかった。

 投票法が2010年に施行されて10年がたつ。確かに、ネットが国民生活に欠かせない社会は、当時想定しなかった新たな課題に違いない。ここは改めて問題点を整理し、対処策を練り上げるために仕切り直しが必要だ。

 与野党の対立の背景には、自民党がまとめた9条への自衛隊明記など4項目の改憲条文案がある。野党は投票法改正案を採決すれば、さまざまな議論を置き去りにして4項目の審議を強行されるとの警戒感を抱く。

 改憲の議論には、与野党間の一定の信頼関係が欠かせない。自民党は4項目にこだわることなく、今、取り組むべき課題は何なのかを野党と真摯(しんし)に討議してほしい。

 自民党などの改正案は投票の利便性を公選法にそろえる内容で、野党も異論はない。駅や商業施設への共通投票所設置、期日前投票時間の弾力化などが盛り込まれ、必要な改正だろう。

 ただ、自由討議で特に取り上げられたのは、近年浮上してきたネットによる投票運動への影響の問題である。

 現行の投票法は、投票日の14日前以降に限って改憲案への賛否を呼び掛けるテレビCMを禁じている。しかし、規制の対象になっていなかったネット上の広告の比重が大きくなり、昨年はテレビの広告費を初めて上回った。

 公明党はネット広告規制の難しさを指摘、CMを発注する政党側の自主規制を提唱した。立民党は「資金量の多寡が影響を与える」として公正なルールの確保を訴えた。国民民主党は政党CMを全面禁止する同党案を並行審議するよう求めた。

 さらに、米大統領選や英国のEU離脱国民投票で外国勢力がネットを通じて介入した事例への懸念の声も上がった。国家の根幹である憲法改正に外国勢力の干渉があってはならない、との指摘は説得力を持つ。

 新型コロナウイルスへの対応を巡る憲法上の課題もやりとりされた。自民党や日本維新の会が、政府の権限を強める「緊急事態条項」を憲法に盛り込む論議を主張したのに対し、立民党は法律で対応できると反論した。

 改憲の発議は現実的な日程には上がっていない。こうした時だからこそ、本当に改憲が必要な条項は何か、国民投票はどうあるべきなのかを幅広い議論から絞り込んでいく必要があろう。

 与野党ともに、腰を落ち着けた丁寧な取り組みを求めたい。




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Author:gogotamu2019
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