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脱はんこ文化?(2020年6月13日配信『京都新聞』-「凡語」)

 井原西鶴の「日本永代蔵」に出てくる質屋の善蔵は、ささいな質草であっても変わりなく、保証人が押すはんこを厳重に調べることにしている。<印判吟味かはる事なく掟(おきて)の通り>

▼中国由来のはんこは、江戸期には庶民に広がっていたそうだ。離縁状の「三くだり半」に押印がみられる。町人や農民は印影を名主・年寄に届けねばならず、これが明治期に印鑑登録として法制化されたという(門田誠一「はんこと日本人」)

▼宅配便や婚姻届、契約書、会社の稟議(りんぎ)書など、はんこは私たちの生活について回る。三文判、スタンプ印、認め印、銀行印、実印には役割の軽重があり、場面ごとに使い分けている

▼長い年月の間に根付いた「はんこ文化」だが、ここにきて波乱含みである。新型コロナウイルスで在宅勤務になったのに「はんこを押すために会社に行くなんて」との声が相次いだ

▼脱はんこの号令を発した企業もある。紙の契約書とはんこに代わり、インターネットを使った電子契約書、電子署名、合意日時を記録する「タイムスタンプ」などを取り入れる動きが急だ。政府の規制改革推進会議もはんこ見直しの議論を本格化させるようだ

▼はんこは分身、大切にと教えられたが、実際は無用の押印が多いように思える。そこから考え直してはいかがか。



キャプチャ

日本人はなぜ、いつごろから、「はんこ」を押し続けてきたのか。個人の認識や識別、さらには目にみえる「信用」までを負わせた、日本独特のはんこ社会、はんこ文化の形成と特質を探る。

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