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活字の学び 紙と電子ともに持ち味生かせ(2020年6月14日配信『読売新聞』-「社説」)

 本格的なデジタル時代を迎え、学校教育の情報化が加速している。読み書きの能力を培ってきた活字文化の蓄積を踏まえつつ、デジタル偏重に陥らない教育を目指したい。

 有識者や新聞・出版団体の代表らが参加し、「活字の学びを考える懇談会」が発足した。電子と印刷の両メディアの持ち味をバランスよく生かした学校教育を求めている。シンポジウムなどを通じ、政策提言を続ける。

 会長に選ばれた作家の阿刀田高さんは、「デジタルに熟達するのは大切だが、活字文化の地盤がしっかりしないと次の人材は育たない」とあいさつした。時宜を得た取り組みと言えよう。

 デジタル機器を使いこなせる人材育成は重要だ。政府は全国の小中学校で、1人1台ずつパソコンなどの学習用端末を配備する。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2023年度までの完了予定を今年度中に前倒しした。

 新型コロナの再流行に備え、遠隔授業ができるオンライン環境の整備も急がれる。

 文部科学省はICT(情報通信技術)により、子供の習熟度に対応できると強調するが、教員の技量や経験は十分とは言えまい。

 経済協力開発機構(OECD)が18年に行った指導環境調査によると、頻繁にICTを活用する小中学校の教員は2割前後と、国際的にも低い。学校現場を混乱させない進め方が求められる。

 そもそも、デジタル機器が子供たちにもたらす効果は、多角的な検証が必要だ。視覚的にも多様な情報に触れられる一方、気が散った状態が習慣化し、理解度が下がると指摘する研究者もいる。

 最近、深刻化しているのは、読解力の低下である。OECDが15歳を対象に実施した国際学習到達度調査(PISA)で、日本の順位は15年の8位から、18年には15位に落ち込んだ。

 コンピューターを使った調査方式に、日本の子供が不慣れなことが一因とも言われる。本質的には本離れ、短文中心のツイッターなどの普及が、読解力そのものを劣化させたのではないか。

 深い思考力、豊かな情緒を育むには、じっくりと活字に向き合う体験が欠かせない。学校図書館を充実させ、地域や家庭と連携しながら読書機会を増やしたい。

 デジタル化にあたっては、むしろ活字の学びを基盤に据えることが大事だ。文科省は活字文化の長所を生かし、情報化時代の教育を具体化してほしい。



「活字の学びを考える懇談会」発足、有識者らが学校教育での重要性訴える➡ここをクリック





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Author:gogotamu2019
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