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コロナと熱中症 同時に防ぐための柔軟な対策を(2020年6月14日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 梅雨時季を迎え、列島は暑さが本格化している。今年は熱中症への警戒に加え、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ対策を両立しなければならない。

 厚生労働省は、気温と湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症の恐れが高まると指摘している。その上で、屋外で人との距離を確保できる場合には、マスクを外すよう促している。

 マスクの着用は、感染防止対策の基本として世界で認知が広がり、日本では外出時のマナーのようになりつつある。だが、命に関わる熱中症を同時に防ぐには、それぞれの年齢や体調、状況に応じて柔軟に対応していくことが重要だ。

 消防庁などによると、昨年5~9月に熱中症で救急搬送された人は7万人を超えた。今年も6月1~7日の1週間で既に千人以上に上っている。今後も増加が予想される中、医療現場は熱中症だけでなく、感染症疑いへの対応も迫られる。医療逼迫(ひっぱく)にもつながる負担の増加は、大きな懸念材料といえる。

 特に注意が必要なのは高齢者だ。日本救急医学会などは、熱中症の多くは高齢者が屋内で発症していると指摘している。外出自粛が続いて家で過ごす時間が長くなり、運動不足などでリスクはさらに高まっている。

 マスクの着用は、心拍数や呼吸数が上がって体に負担がかかるほか、口内の湿度上昇で渇きを感じにくくなり、脱水を起こしやすいとされる。冷房を適切に使用するといった従来の呼び掛けに加え、マスクを着けたままにしない、喉が渇いていなくても水分を摂取するなどの行動を促すことが欠かせない。自治体や支援組織は、独居の高齢者をはじめ、見守りを一層強化する必要があろう。

 学校現場では、スポーツ庁が体育の授業に関してマスクの着用は必要ないと示した。中国ではマスクを着けた中学生が突然死する事故が相次いだ。常時着用の弊害を認識し、授業内容や子どもの体調に応じて着用の可否を判断すべきだ。引き続き密集の防止や手洗いの徹底などにも努め、安全な教育環境を維持しなければならない。

 屋外で働く人たちへの配慮も欠かせない。物流業界では、人との距離に十分注意した上で、マスクを外す動きが広がっている。建設会社の中には、マスクより息苦しさを感じない「マウスシールド」を建設現場へ配備するところもある。労働者の安全や健康を守ることが第一であり、企業側は今後も必要な資機材の充実や働き方の見直しを進めてもらいたい。

 マスクの着用を巡っては、着けていないことを責めたり、着用を強要したりする「マスク警察」が問題化している。社会インフラや生活の維持に欠かせない分野で働く人たちを、無理解に傷つけることは許されない。新型コロナと長く向き合うことが避けられない中、新たな差別や偏見を生まぬよう、意識を変えていかねばならない。




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Author:gogotamu2019
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