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保育士の賃金カット横行 運営費は休園中も支給されるのに(2020年6月15日配信『東京新聞』)

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保育士らからの相談を受ける「介護・保育ユニオン」の三浦かおりさん。多くの相談が寄せられている=東京都世田谷区で

 新型コロナウイルスのまん延により臨時休園や登園自粛を行った保育園で、保育士らが賃金を減らされたり、有給休暇の取得を指示されたりした、との相談が行政や労働組合に相次いでいる。運営委託費は通常通り支給されるにもかかわらず、コロナ禍に乗じた賃金カットが横行。この現状に、国は5月末、適切に人件費を支払うよう注意喚起した。 

◆「給料支払われず」労組に相談200件以上

 「給料が支払われなかった」「有休を取るよう言われた」。労働組合「介護・保育ユニオン」(東京都世田谷区)には5月、200件を超す相談が寄せられた。園児がいないのに出勤を求められ、休むと収入を減らされた例もあった。

 株式会社や社会福祉法人などが運営する私立の認可保育園は、園児数に応じた国からの委託費で運営されている。財源は公費と保護者が支払う保育料だ。

 内閣府は、コロナによる休園や登園自粛で保育料が減った場合も、公費を増やして対応するとした。園側の収入は保証されるはずだが、委託費の使い道は事業者の裁量に委ねられており、この「弾力運用」できる仕組みが賃金カットの要因になっている。

◆在宅勤務認められず、早退は有休扱いに

 東京都内の私立認可園で働く男性保育士(35)は、登園する子どもが減った4月、在宅勤務が認められず、早退すれば有休扱いにすると言われた。

 男性は園を運営する株式会社に、同ユニオンを通じて賃金を支払うよう求めた。結果的に在宅勤務と賃金が認められたが、「声を上げなければ、本社に言われるがままだった」と話す。

 都の独自制度として運営される認証保育所も、コロナによる減収分が公費で補われる仕組みがある。

 しかし都内の認証保育所で働く50代の女性園長は、運営会社から「保育士の資格のない職員はシフトに入れるな」と言われ、該当する職員は勤務できず、給料は支払われなかった。女性は「保育より利益を追求している姿勢はおかしい。子どもの育ちや安全が守られない」と訴える。

◆行政の取り締まり求める声も…国も注意喚起

 事業者側はどうみるのか。全国で約50カ所の認可園を運営する株式会社の男性社長は、自身の園の保育士らには100%賃金保障した。

 しかし「仮に保育士らに給料を満額支払わなくても、すぐには問題にならない。利益になると思う事業者はいるだろう」とも話す。「事業者の品格とモラルの問題。通常通り委託費が出るのに賃金保障していない事業者には、行政の取り締まりが必要ではないか」と指摘する。

 国もこうした相談を受け、厚生労働省と内閣府は5月29日、都道府県などに「休ませた職員についても通常の賃金を支給する」「(有休は)使用者が一方的に取得させることはできない」などと周知・指導するよう文書で求めた。

 介護・保育ユニオン共同代表の三浦かおりさんは「もともと委託費の弾力運用で保育士の賃金は事業者による差が大きかった。コロナで露呈した問題を放置せず、委託費が確実に賃金に使われる仕組みが必要だ」と強調する。



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