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種苗法改正案 農家の理解を深めたい(2020年6月16日配信『北国新聞』-「社説」)

 政府・与党は種苗法改正案の今国会成立を断念し、秋に想定される臨時国会に先送りすることになった。優良品種の海外流出防止を主目的にした重要法案であるが、新型コロナウイルス対策で審議時間を確保できない上、農家の負担増を懸念する声がインターネット上に広がったことに配慮したためという。

 種苗法改正案は農産物の知的財産権保護と輸出戦略に関わる法案であり、政府は説得の時間を与えられたと受け止めて国民の、とりわけ農業従事者の理解促進に努めなければなるまい。

 日本産のイチゴやブドウなどの種苗が韓国や中国に流れ、輸出をめざす日本の生産者に損失を与える結果になっていることは、既に明らかである。現行種苗法では、品種登録をしても海外への持ち出しを防ぐことができないため、品種開発者が栽培地域を指定し、それに違反した場合は差し止めを請求できるように改める。

 問題視されたのは、農家が収穫物から種や苗木を採取し、翌年に使う自家増殖に許諾制を取り入れることで、許諾料の支払いと相まって農家の経営を圧迫するとの批判が出た。が、開発者の許諾が必要なのは登録品種だけで、北陸の例ではブドウの「ルビーロマン」(石川)や新品種米の「富富富」(富山)などである。

 これら登録品種以外の多くの一般品種は従来通り、自由に自家増殖できる。農林水産省によると、現在栽培されているコメの84%、ミカンの98%、リンゴの96%、ブドウの91%は一般品種という。家庭菜園は制度の対象外で、普及を目的に品種開発に取り組む国や自治体の機関が、高い許諾料を求めることも考えられない。

 種苗法改正に慎重な意見の背景には、農業の自由化や企業参入への抵抗感もあるとみられる。国内の種苗事業は公的機関と民間種苗会社が担っているが、開発者の権限強化が種苗事業の民営化や外資の影響拡大につながりかねないといった見方もなされている。法案審議では、種苗の保護と育種事業の在り方に関する根本的な議論も行ってもらいたい。




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