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犬の表情は実に豊かで雄弁である(2019年6月19日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 『泥の河』などの作家、宮本輝さんがある時、仕事に行き詰まりを感じ、過去に出版した単行本や文庫本をずたずたに破ってしまったことがあるそうだ。お酒も入っていた。「こんな作品ばかり書いて、よくも作家でございなんて顔をしてきたものだ」。ベテラン作家にもそんな夜があったか

▼本を破る。花瓶を割る。テレビに向かいバットを振り上げたとき、愛犬と目があった。「かつてそれほど哀(かな)しげな、怯(おび)えた目をしたことはなかった。マックの、そんな目をしばらく見つめていた」。宮本さんはわれに返った。犬を飼ったことのある方ならば、マックの目が浮かぶだろう。犬の表情は実に豊かで雄弁である

▼どうやら、その表情は、進化の過程で身に付けた「芸」かもしれない。最近の米国での研究である。犬は人の気を引くため、進化の過程で目のまわりの筋肉を発達させてきた可能性があるという

▼犬とオオカミの顔の筋肉を比較したところ、一つ大きな違いがあった。眉を動かす部分の筋肉。オオカミに比べて、犬の方がずっと立派な筋肉が備わっていた

▼眉を上げると目はより大きく見え、人の赤ちゃんの顔に似てくるため、人の関心を引き、大切にされやすくなる。その筋肉が発達した理由と考えられるそうだ

▼豊かな表情のおかげで犬は人と生きてこられたか。人の方はおかげで、笑わせられ、慰められている。




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