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御真影(2020年6月22日配信『神戸新聞』-「正平調」)

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 ずっと心に引っ掛かっている悲劇がある。1945年7月3日深夜の姫路空襲による大西要校長の死だ。城陽国民学校から天皇皇后陛下の写真「御真影(ごしんえい)」を避難させる途中に、焼夷(しょうい)弾の直撃を受けた

◆兵庫県教育史は部下の手記を引用する形で状況を伝える。「ふるえる手に御真影をかき抱き、ひしと握られる。この手は死すともはなさじと思えるなり。恐れ多くも御真影を包みし白布はために真紅(しんく)にそまる」

◆戦争中、校長が空襲から第一に守るべきものは御真影や教育勅語とされた。児童や生徒より上位で、防空要員が宿直して敵機の襲来に備えた。県教育史が大西校長の死を殉職とする背景にはそういう事情がある

◆だが悲劇はそれだけではない。校長が命に代えたものの価値が終戦によって揺らぐ。46年、御真影はひそかに回収される。兵庫では県地方事務所に集められ焼却された

◆連合国軍は国家神道の排除を求めたが、御真影の扱いは国民を刺激しない方法を検討していた。焼却は占領軍への過剰な配慮だろう。そもそも1枚の写真が神格化された過程にも国を挙げての忖度(そんたく)が見てとれる

◆日本が焦土となった年から75年がたつが、社会の体質は変わっていないとも思える。大西校長は現状をどう受け止めるだろうか。






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