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コロナ下で上京「ぼっち」大学1年生の“孤独と連帯”(2020年6月22日配信『毎日新聞』)

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ズームで同級生らと語り合う大学生たち

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藤田結子教授

 今の若者の「知られざるトレンド」は何でしょうか。明治大学商学部の藤田結子教授が、学生のフィールド調査に基づき、大人たちが知らない「若者の生態」を読み解きます。

 政府の緊急事態宣言が解除され、多くの大人は会社に戻り、小中高生は登校を再開、繁華街には活気が戻り始めました。しかし、今も「独りぼっち」で部屋にいる若者たちがいます。

 それは、コロナ禍の最中に地方から上京し、1人暮らしを始めた大学1年生たちです。キャンパスで友だちに出会えない環境で、彼らはどのように孤独を乗り越えているのでしょうか。

 ◇「人に会って話す機会ない」

 「最後に正門を通ったのは入試の日。早く大学に行きたい」「大学の近くに住んでいるから、スーパーに買い物に行く時にキャンパスを眺めている」

 地方から上京した新1年生たちの声です。東京の多くの大学で今年は入学式もなく、授業やサークルの新歓も大半はオンラインです。合格した大学のキャンパスに通う機会は、ほぼありません。東京以外の大学でも、1人暮らしの1年生は同じ状況でしょう。

 3月下旬に熊本から上京し、国立大に入学した大輔さん(仮名)は緊急事態宣言中、ずっと部屋で過ごしていました。買い物も3日に1回。対面して人と話す機会はありません。実家に戻る学生がいる一方で、東京にとどまるのには理由があります。

 「東京から帰省したことが広まると、実家の近所で白い目で見られるかもしれない。そう思うと簡単には帰れない。サークル活動して教室で授業受けてと、普通のキャンパスライフをイメージしていたので残念」

 ◇会ったことないが朝まで語り合う

 そんな大輔さんですが、あるときツイッターで同じ大学の1年生が「新入生同士で関わる機会がないから何人かで集まってZoom(ズーム)で話しませんか?」というツイートをしているのを見かけました。ツイッター上には「#春から明治」「#春から早稲田」などのハッシュタグでつながろうとする大学生のツイートがあふれています。

 大輔さんは、それをきっかけに、ほぼ毎晩ズームで新入生とおしゃべりするようになりました。多いときは20人ほどの男女が集まり、夜10時ごろから朝方4時や5時まで続きました。

 大輔さん「最近一人ですることないから、料理ばっかしてる」

 同級生「そうなんか。料理全然できんからいいなあ」

 今日あった出来事や恋愛の話など、会ったことのない同級生でも話がつきることはありません。「一人で過ごしていると誰とも話せないのがつらかったけど、やっと話せる場所ができてうれしい」と、このつながりが大輔さんの心の支えになりました。宣言が解除された後は、オンライン授業に取り組むほかに、自動車教習所通いなどで外出するようになったそうです。

 ◇国を超えたつながりも

 新入生を救っていたのは、オンラインによるつながりだけではないようです。東北から上京し、私大に入学した拓也さん(仮名)は留学生と生活する国際寮で暮らし始めました。

 「はじめは不安だったけど、食事の時、スウェーデン出身の大学院生が『今日は何を作ったの?』と話しかけてくれた。気さくに接してくれたので、互いのことを話すうちに仲良くなった」

 寮に暮らすヨーロッパやアジアの学生たちは日本語だけでなく英語も話せます。拓也さんはオンライン授業がないとき、留学生たちと共同スペースで一緒に映画を見たりして過ごしています。

 「留学生の能力の高さや向上心に刺激を受けている。寮でのつながりがコロナの不安から救ってくれた」

 コロナ禍で一部の国では人種や国籍による差別が浮き彫りになっていますが、家族から離れて暮らす若者たちが国を超えて支えあう姿がここにあります。

 今回の取材・執筆 田中雪菜・ポエルマンス奈津子・目黒大樹(明治大商学部3年)





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