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恐怖の存在(2020年6月26日配信『北海道新聞』-卓上四季」)

 米国の作家マイケル・クライトンの小説「恐怖の存在」(ハヤカワ文庫)は、気候変動問題をめぐって、科学と政治が結びついた時の危険性に警鐘を鳴らした意欲作だった

▼その一例として挙げられたのが、19世紀末に登場した優生学だった。障害者を「安楽死」と称して殺害したナチス・ドイツの政策の根拠となったことで広く知られている

▼留意したいのは当時、多くの社会主義者や自然科学者も優生思想に期待を寄せていたことだ。著名な経済学者や作家も含まれる。断種法の制定もドイツより米国などの方が早く、多くの国で立法化されたことを忘れてはなるまい

▼日本医学会連合の検討会がきのう、旧優生保護法に基づく強制不妊手術について、医学者や学会が立法や運用に関与したと認める検証報告書を公表した。長年問題を放置した責任に触れ謝罪すべきだとした意義は大きい

▼重要なのは今後への生かし方だろう。「障害者は不要」と発言した相模原殺傷事件の植松聖(さとし)死刑囚の考えに対し、賛同の声がネット上に広まった。人間が作り出す「恐怖」が過去のものとは言い切れぬ

▼胎児の染色体を調べる新型出生前診断やヒト受精卵の遺伝子を改変するゲノム編集なども、優生思想につながるリスクを懸念する声が根強い。日本医学会連合の検証結果は今後の指針作りに生かされるという。過ちを繰り返さないための道しるべとしたい。



強制不妊「医学界はおわびを」 横断的検討組織求める 報告書公表・日本医学会連合(2020年6月25日配信『時事通信』)

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旧優生保護法に関する報告書を受け取った門田守人・日本医学会連合会長(右)と、報告書をまとめた検討会委員長の市川家国・信州大特任教授=25日午前、東京都中央区

 旧優生保護法下で障害者らが不妊手術を強制された問題で、医学界の関わりなどを検証する日本医学会連合(会長・門田守人堺市立病院機構理事長)の検討会は25日、報告書をまとめた。

 医療関係者らが法の制定や運用に関わり、問題を放置した点を「誠に遺憾で、被害者らに心からのおわびの表明が求められる」と指摘した。

 今後について、「優生思想」と結び付けられやすい医療では慎重な判断を要求。出生前診断やゲノム編集などを念頭に、倫理的な問題が起きないよう「学会横断的な検討組織が必要」と提言した。

 報告書を受け取った門田会長は「再発させない、類似のことが起きないようにきちんとやるのがわれわれの責務」と強調し、今後対応を検討すると話した。

 報告書では、医療者は法の存在などから、公益上必要との誤った使命感で不妊手術に関わったと指摘。医学界の一部には問題視する意見があったが、「社会全体に対する発信力は不十分だった」ため、被害者の救済が遅れる一因となったとした。 





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Author:gogotamu2019
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