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苦境の文化芸術 実態に即した支援息長く(2020年6月27日配信『毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた文化芸術分野に、国の支援が拡充される。第2次補正予算で、年間の文化予算額の半分にあたる約560億円が計上された。

 政府のイベント自粛要請で、コンサートや演劇公演は軒並み延期や中止となった。

 経済産業省の持続化給付金はあるが、業界を支える俳優や演奏家、スタッフなどのフリーランスには支援が届きにくく、使い勝手の悪さが指摘されていた。口頭の契約であるなど、収入半減の証明が困難な場合が多いからだ。

 このため今回は、活動自粛を余儀なくされていたプロのフリーランスや20人以下の小規模団体への支援を手厚くした。

 文化庁が示した骨子案では、音楽や演劇、演芸のほか、美術や書道、碁・将棋、大道芸なども対象となる可能性がある。手続きや審査も簡素化したと説明する。

 だが、課題は残る。

 支援は、稽古(けいこ)や演目に関する資料購入など、公演に向けた活動を後押しするものだ。動画収録や配信などの取り組みを積極的に行えば、最大150万円の支援が受けられる。

 ただし、かかった経費への支援にとどまり、それも全額がカバーされるわけではない。

 数カ月にわたって収入源が途絶えたままで、活動するための経済的な体力がほとんどないケースも多い。要望していた給付金にはほど遠い。

 申請が2月末にさかのぼってできるのは評価できる。しかし、支援の仕組みが実態に即しているかは疑問だ。

 劇場や映画館は再開へ動き出したが、感染症対策のガイドラインに従って「3密」を避けるため、客席を大幅に減らしている。同時に映像をオンライン配信する試みも広がるが、採算面は厳しい。

 外出自粛は解除されたが、観客の警戒心は解けていない。安心して劇場や映画館に足を運ぶことができる環境整備も必要だ。

 文化芸術は生活を潤し、豊かな感性を養う。社会に不可欠だ。

 今後、感染の第2波が来る可能性もある。次代を担う若手が道をあきらめることのないよう、息の長い支援を検討すべきだ。



コロナと文化 未来見据え担い手支援を(2020年6月27日配信『山陽新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大により活動自粛を余儀なくされ、大きな打撃を受けた関係者にとっての救いの一手としたい。

 文化庁はウイルス禍の影響を受けた芸術・文化支援の詳細を発表した。2020年度第2次補正予算に盛り込まれた「緊急総合支援パッケージ」で、総額560億円と通常の同庁の年間予算の約半分に及ぶ大規模なものだ。イベントの人数上限が緩和されるなど社会活動を日常に戻していく段階に入ったのに合わせて活動再開を後押しする。

 骨子では、このうち509億円が文化芸術(一部スポーツ)の活動費としてフリーランスや20人以下の小規模団体に配分される。公演や個展ができず減収となったプロの実演家や技術スタッフが対象で、分野は美術、音楽、演劇、映画、漫才、華道、将棋、サーカスなど幅広い。来月には申請が始まる予定だが、必要なところへ資金が迅速・確実に届くよう努めてほしい。

 これまでも持続化給付金、雇用調整助成金などを利用できることにはなっていたが、雇用や報酬に関して契約書を交わさないといった業界の慣例のために給付を受けられない人が少なくないなど、文化関係に特化した救済策が求められていた。

 日本政策投資銀行の調査によると、3~5月に全国で中止・延期された音楽・文化イベントは1万2705件、経済損失額は推計9048億円に上る。「コロナ後」も芸術・文化が社会経済を支える重要産業であるとの判断から、早い段階で芸術家への助成金など手厚い施策を打ち出していた欧米各国と比べ、支援がもたついた印象は拭えまい。

 今回の支援策では中・大規模団体向けに、無観客で行ったコンサートの動画配信など入場料収入に頼らず収益を得る仕組み作りや、海外需要の拡大につながる取り組みを援助する制度も創設された。

 例えば映画なら映画館での興行、DVD販売、インターネット配信など複数メディアで展開するマルチユースが世界の潮流だが、日本では活用しきれていないとの指摘がかねてある。活動が再開しても「新たな生活様式」の下で稽古や集客がままならない中、新しい表現や鑑賞のありようを探る契機としたい。

 文化支援を巡っては自治体や企業メセナが先行し、クラウドファンディングを用いた市民の協力も広がっている。岡山県もアマチュアを含め自粛したイベントを再実施する団体などに約9千万円を充てて支える方針という。

 文化の裾野は広く、担い手育成には時間がかかる。資金難などから廃業する事業者や人材の流出が相次げば、特に地方では受け継いできた伝統の存続すら危うくなろう。ライブエンターテインメント業界だけでも市場回復は来年1月時点で約2割止まりと見込まれている。未来を見据えた継続的な支援が不可欠だ。





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Author:gogotamu2019
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