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接触確認アプリ 運用の透明性確保が欠かせない(2020年6月27日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 政府は新型コロナウイルス感染者との濃厚接触が疑われる場合、スマートフォンに通知が届く「接触確認アプリ」の運用を始めた。利用は任意で、感染が疑われる人には医療機関の受診やPCR検査を促し、感染拡大を防ぐ狙いがある。

 広く普及しないと効果は限られるが、利用をためらう人も少なくない。背景には、国による個人の監視やプライバシー侵害への懸念がある。アプリの不具合もはや発生している。いかに情報を厳格に管理し、運用の透明性を確保するのか。国民が納得できる説明が不可欠だ。

 アプリを取得した人同士が1メートル以内に15分以上いると、互いのスマホに接触記録が残る。後日、陽性になった人がアプリに申告すると、接触記録がある人に「陽性者との接触確認」と通知される仕組みだ。政府は利用者の名前や住所、位置情報といった個人情報は収集しない。スマホに残る記録は接触相手の符号に限られる上、2週間後には消去されるという。

 一方、アプリは人口の6割程度が使わないと効果を十分に発揮できないとも指摘される。国内の個人のスマホ保有率は7割弱だ。ほとんどの人がアプリを利用しなければならない計算となり、ハードルは高い。

 気になるのはプライバシーの扱いだ。政府は「データは匿名化され、個人は特定できない」と強調する。だが、接触通知を受けた人が自治体の発表などさまざまな情報と突き合わせ、感染者の見当をつける可能性はある。個人情報保護への不安は残り、感染者に対する差別や偏見も根強い中ではアプリ利用に抵抗があっても無理はない。

 政府は保健所の負担軽減も図るとする。クラスター(感染者集団)対策では、保健所が感染者から行動歴を聞き取り、濃厚接触者を捜し出して、自宅待機や医療機関への受診を促している。記憶が曖昧だったり、協力を得られなかったりすると、感染経路を追うのは厳しい。こうした作業の効率化にアプリが役立つと期待されるという。

 しかし、接触通知を受けても受診につながらないケースがある。通知を受けた人はアプリで症状を入力するが、症状がなく身近に感染を疑われる人もいないと入力すると、経過観察になるだけで、受診やPCR検査の対象外となる。結果、利用者が不安を募らせ相談してきたり、濃厚接触者かどうか確認する業務が増えたりして、保健所の負担が増す恐れもあろう。

 先行してアプリ導入が進む海外でも、国民への浸透に苦慮している。フランスでは導入前の世論調査で55%が使用しないと回答した。公権力への強い警戒心がうかがえる。

 普及にはプライバシーへの不安の解消が大前提となる。政府は、アプリの運用状況や感染防止への効果を積極的に公表する必要がある。データの取り扱いも、第三者機関がチェックする仕組みを検討すべきだ。




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