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連載・伊藤詩織「アルビニズムの少年少女の人身売買が行われるアフリカの闇市」(2020年6月27日配信『プレジデントオンライン』)

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アフリカ・シエラレオネに住む、アルビニズムのサロミ(右)と母のアリス(2018年6月、著者撮影)。

■アフリカで襲われる、アルビニズムの少年少女

 彼女に出会った日はよく晴れた日だった。赤道にほど近いシエラレオネの日差しが肌に突き刺すように降り注ぐ。その紫外線はアフリカに住むアルビニズムの人々の命に関わる大敵でもある。メラニン色素合成の減少や欠損で起きる遺伝性疾患のアルビニズムは世界で2万人に1人の確率で起こると言われているが、サハラ以南のアフリカでは発症の確率は高く、特にタンザニアでは1400人に1人の割合で生まれるとされる。

 アルビニズムを患う、13歳のサロミに出会ったのは彼女の学校の全校集会に私が参加したときだった。集会が終わると話しかけてくれ、私が日本から来たこと、シエラレオネの人と見かけが違うことに興味を持ってくれた。

 「お家に遊びに来て! 」

 私を家族に会わせたいと、その日の午後、自宅に招待してくれた。サロミは5人きょうだい。家に着くときょうだい一人一人や母を紹介してくれた。サロミの母・アリスは愛情深い人なのだろう。ずっと優しくサロミを見つめながら取材に応じてくれた。

■アルビノの人身売買が行われる闇市

 アルビニズムへの偏見はいまだに根深く、サロミの父親は彼女のアルビニズムを受け入れられず家を出たそう。「なんで私だけ違うの」とこれまでサロミは何度も母に尋ねたという。そのたびに母は「愛のためよ」と答えてきた。

 アフリカではアルビノの体が富、幸運、選挙の勝利などをもたらす力があると信じられ、高値で体の一部が闇市場で売買される事件が起きている。そういった呪術などの目的で、手足を狙った襲撃や殺害事件もこれまで多く報告されてきた。そのような事件を耳にするたびにアリスは恐怖を感じる。

 一方でサロミの一番の悩みは学校の校則だった。指定された半袖の制服は彼女にとって命取りになる。紫外線から身を守るような長袖や帽子の着用が許されていない。自毛が明るい生徒に染髪を強いる日本のブラック校則を思い出す。

 6月13日は国際アルビニズム啓発デーだ。これからサロミたちが安心して眠れるよう、アルビニズムの人々の人権から暴力や差別の根絶、そして見た目を勝手に決められた校則やルールに当てはめるのではなく、柔軟に個人を尊重できる世界を祈る。
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伊藤 詩織(いとう・しおり)
ジャーナリスト
1989年生まれ。フリーランスとして、エコノミスト、アルジャジーラ、ロイターなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信し、国際的な賞を複数受賞。著者『BlackBox』(文藝春秋)が第7回自由報道協会賞大賞を受賞した。






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