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コロナ労災認定 社会支える働き手の安全網に(2020年6月29日配信『読売新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染拡大への警戒はなお怠れない。経済活動との両立を図るため、安心して働ける環境を整えなければならない。

 厚生労働省は、コロナ感染に関する労災認定の状況をまとめた。請求は約400件、認められたのは40件未満にとどまっている。審査を急ぐとともに、コロナ感染が労災の対象になることを幅広く周知してもらいたい。

 雇用者がコロナに感染し、原因が仕事にあると認められれば、労災保険から、給与の8割程度の休業補償を受けられる。企業の健康保険組合などから支給される傷病手当金より手厚い。亡くなった場合は遺族への給付がある。

 厚労省は、医療・介護従事者について、業務外の感染であることが明確な場合を除き、原則として労災と認める方針を決め、各都道府県労働局に通知した。

 複数の感染者が出た職場や、小売り、運送、保育など人と接する職場についても、業務による感染の可能性が高いとみて、労働局に適切な判断を求めている。

 問題は、感染経路の特定が難しいことだ。そのため、医療・介護従事者以外の請求が少ない。

 感染の原因が仕事かどうかわからず、申請をためらう労働者が多いのではないか。労災と認めた実例を示すなど、具体的で分かりやすい目安が必要だろう。

 企業はまず、感染防止の徹底が最優先である。労働組合などには依然として、「会議の3密状態が解消されない」「時差出勤が認められない」といった労働者の声が寄せられている。

 医療はもちろん、運送、小売りなどのサービスは、経済活動や日常生活に不可欠だ。感染を恐れて離職する人が増えれば、社会的な損失となる。企業には労災認定手続きへの協力が求められる。

 労災保険に加入できるフリーランスの範囲を拡大することも重要だ。個人タクシーや家事サービスの従事者らには、特別加入制度を設けている。それ以外でも会社に雇用されずに働く人は多く、実情を踏まえて検討すべきである。

 長引くコロナ禍のもとで、テレワークなど職場以外で働く人が増えている。仕事とプライベートの線引きがあいまいになり、会社が労働実態を把握しにくくなりがちだ。労災の認定が難しいケースの増加が予想される。

 労災保険は生活を守る安全網である。多様な働き方に対応し、制度や運用のあり方を不断に見直していくことが欠かせない。




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