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旧優生保護法訴訟 原告側の賠償請求棄却 東京地裁判決 仙台に続き(2020年6月30日配信『毎日新聞』)

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雨の中、横断幕を手に東京地裁に入る原告の北三郎さん(前列左から2人目)ら=東京都千代田区で2020年6月30日午後1時3分

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、東京都の北三郎さん(77)=活動名=が国に3000万円の国家賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、請求を棄却した。

 原告は57年に強制的に不妊手術を受けさせられた。原告側は、手術は憲法13条が保障するリプロダクティブ権(性と生殖に関する権利)の侵害に当たり、国は賠償義務を負うと主張。さらに、国と国会は、被害回復のための立法が必要だったのに怠る立法不作為があったとも訴えていた。



強制不妊、賠償認めず 旧優生保護法、東京地裁(2020年6月30日配信『共同通信』)

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東京地裁が原告の請求を棄却し、掲げられた「不当判決」の垂れ幕=30日午後、東京地裁前

 旧優生保護法下で不妊手術を強制されたとして、東京都の男性(77)が国に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(伊藤正晴裁判長)は30日、請求を棄却した。手術を受けた男女24人が札幌、仙台、東京、静岡、大阪、神戸、福岡、熊本の各地裁に起こした一連の裁判で、判決は2件目。

 昨年5月の仙台地裁判決は「不妊手術を強制し、個人の尊厳を踏みにじった」として、旧法は幸福追求権を保障する憲法13条に違反し、無効だと判断した。

 今回の東京地裁判決も、旧優生保護法下の強制不妊手術について「憲法で保護された自由を侵害する」と述べた。

 しかし、法的議論の蓄積が少なく、司法判断もなかったことから、救済措置を取ってこなかった国の責任は認めず、原告の請求を棄却した。



優生手術は憲法で保護された自由を侵害 強制不妊、東京訴訟で地裁(2020年6月30日配信『産経新聞』

 旧優生保護法(昭和23~平成8年)下で不妊手術を施されたとする東京都の男性(77)が、憲法が保障する自己決定権などを侵害されたとして、3千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であり、伊藤正晴裁判長は、「優生手術は憲法で保護された意思決定の自由を侵害する」と認めた。

 東京訴訟で原告側は、旧法の定めた強制不妊手術が個人の尊厳を否定するほか、子を産み育てるかの自己決定権(リプロダクティブ権)などを侵害し、憲法に違反すると主張していた。国側は、旧法や手術の違憲性について、積極的に反論しなかった。

 1例目となった昨年5月の仙台地裁判決は、旧法を憲法違反だと判断。一方で、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅するという民法上の「除斥期間」を厳格に適用し、国の賠償責任を認めなかった。

 東京訴訟の原告男性は、中学2年生で仙台市の児童養護関連施設にいた昭和32年、職員に連れられた病院で説明のないまま手術を受けた。後に先輩から「子供ができないような手術だ」と教わったが「白い目で見られる」と誰にも言えず、平成25年、白血病で死期が迫る妻に打ち明けるまで一人で抱えた。30年の新聞報道を見て、手術が国の政策だったと初めて知ったことから提訴した。

 問題をめぐっては、被害者の救済法が昨年4月に成立。一時金320万円の申請を受け付けているほか、今年6月には被害実態の調査が衆参両院で始まった。

 これに対し国は、手術から60年余が経過しており、不法行為から20年で損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」が経過していると反論。立法不作為についても、原告は国家賠償法に基づいて被害回復を求めることができたため、別の補償制度の立法が必要不可欠だったとはいえないと主張していた。

 同種訴訟の判決は2019年5月の仙台地裁に続いて2例目。同地裁は旧法を違憲と判断したが、賠償請求は棄却していた。



「除斥期間」の壁超えず 裁判長、差別解消の努力求める 旧優生保護法訴訟判決(2020年6月30日配信『産経新聞』)

 旧優生保護法をめぐる30日の東京地裁判決は、男性に対する強制不妊手術の違憲性を認める一方、1例目の仙台地裁判決に続き国に賠償を命じなかった。民法の規定を厳格に適用した判断で、被害回復を目指す当事者にとっては、司法による救済の難しさが改めて突き付けられた。

 当初から原告側には高いハードルがあった。不法行為があっても20年で自動的に損害賠償請求権が消滅する民法の規定「除斥(じょせき)期間」があるためだ。しかし、強制不妊手術は平成8年の旧法改正までは合法で、法改正時点で被害者の98%が手術から20年以上が経過していたとされる。原告側は「除斥期間を形式的に適用するのは正義の理念に反する」と主張。地裁が、除斥期間の適用を例外的に除外するかが注目されていた。

 これに対し、伊藤正晴裁判長は除斥期間を適用した上で「請求権は消滅した」と認定。障害者の権利に関する国内外の議論に触れながら、除斥期間の起算点を遅らせるとしても、旧法の不当性が与党や厚生労働省で共有された昭和60年代か、旧法が改正された平成8年までとした。

 また判決は、障害や疾患のない男性に対する不妊手術は「誤った審査に基づいた違法な行為」とし、「憲法で保護された私生活上の自由を侵害する」と認定した。一方で、仙台地裁判決のように旧法自体の違憲性に言及せず、被害弁護団は「仙台地裁判決からも後退した」と厳しく評価した。


 「国は事実と真摯に向き合い、全国民が障害の有無で分け隔てられることのない社会の実現に向けて、国民と不断の努力を続けることが期待される」。伊藤裁判長は最後にこう指摘した。被害者に一時金を支給する救済法は昨年4月にできたが、なお残る優生思想にどう対峙(たいじ)するかを国も国民も考え続けなければならない。



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弁護団声明

2020年 6月30日
全国優生保護法被害弁護団
共同代表 新 里 宏 二
同 西 村 武 彦


優生保護法訴訟東京地裁判決に対する声明

 本日、東京地方裁判所第14民事部は、原告の請求を棄却するとの判決を言い渡した。
原告ら優生保護法被害者は、司法による被害回復がなされるものと信じて本日を迎えたが、その期待が大きく裏切られる結果となった。

 判決は、原告に対する審査手続きの違法を理由に損害賠償請求権を認めたものの、除斥期間の起算点を遅くても法改正のあった平成8年とし、20年を経過したことをもって国家賠償請求権が消滅したと断じた。さらに、特別立法の必要不可欠性は認められないとして、立法不作為についても国賠法上の違法は認められないと判断した。

 さらに、判決は、優生保護法の違憲性について何らの判断をしなかった。昨年5月28日の仙台地裁判決では、結論において原告らの請求を棄却したものの、憲法13条により個人の人格権(自己決定権)の一内容としてリプロダクティブライツが保障されることを明らかにし、優生保護法が憲法13条に違反することを認めており、東京地裁判決は、仙台地裁判決からも後退したものと評価せざるを得ない。

 昨年成立した優生保護法一時金支給法が被害回復には不十分であることを考えても、人権救済の最後の砦である司法府が被害回復を認めなければ、原告ら被害者の今後の被害回復は困難と言わざるを得ない。裁判所は、人権救済の最後の砦である司法の役割を放棄したに等しいものであり、誠に遺憾である。

 判決は、優生手術を受けた原告ら被害者の苦痛が人生にわたるものであり今なお続いていること、原告らに対する人権侵害行為を国が施策として行ってきたこと、国が優生保護法によって「不良な子孫」と認定したことが被害者とその家族を苦しめただけでなく、優生思想を生み出す原因となり、現在に至るまで障害者に対する差別を生み続けてきたことに真摯に向き合わないものであり、言語道断である。

 弁護団は、引き続き、優生保護法被害者の被害回復のために、そして優生思想を克服し、誰もが等しく個人として尊重される社会を目指し、全力で活動を継続すること
を決意し、ここに表明する。



優生保護法違憲訴訟判決を受けて
2020 年 6 月 30 日
東京優生保護法被害弁護団


 本日、東京地裁民事第 14 部は、原告である北三郎さん(仮名・77 歳)の請求を棄却するとの判決を言い渡しました。

 判決は、「憲法 13 条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対して保護されるべきことを規定しているものであり、実子をもつかどうかについて意思決定をすることは、当然、同条により保護されるべき私生活上の自由に当たるものと解される。」「本件優生手術は、少なくともこのように憲法で保護された原告の自由を侵害するものといえる」として、強制不妊手術の違憲性、国による人権侵害自体は認めました。

 しかしながら、判決は、昭和 63 年頃までには、優生条項の問題点は社会的に理解され得る状況にあったといえ、その時点での提訴が社会通念上極めて困難であったとまでは認められず、どんなに遅くとも、平成8年改正時点において、提訴が困難な状況にあったとは認められないと判断しました。その上で、判決は、除斥期間の起算点を遅らせる余地があるとしても、その時期は、せいぜい昭和 60 年代、どんなに遅くとも優生保護法が母体保護法に改正された平成 8 年 6 月 18日の時点までとしました。

 北さんは、14 歳のとき、何の説明もないまま不妊手術を受けさせられました。北さんは、平成30(2018)年 1 月 30 日、仙台で佐藤由美さん(仮名)が裁判を起こしたという報道をみたとき、初めて、自分が受けさせられた不妊手術が国によって行われたものであることを知ったのです。

 この間、国は強制不妊手術は合法であったと弁解し続け、調査も行わず、被害の実態を隠蔽しようとしてきました。

 しかも、北さんが受けた被害は、国によって劣等・不良のレッテルを貼られ、生殖機能を奪われたというもので、妻にすら打ち明けられなかった「秘すべき事実」でした。

 このような被害事実について、北さんが、訴訟を提起し、公にすることは、北さんにとっては自ら進んで二次被害を受けるようなものであり、より早い時点で訴訟を提起することは、到底考えられないことでした。優生保護法の下で、2 万 5000 人もの人たちが強制不妊手術の被害を受けましたが、これまで、訴訟を提起したのは、北さんを含め、全国でわずか 24 名です。強制不妊手術を推し進めてきた国の政策がいかに卑劣であったかを物語っています。

 北さんの被害回復を受ける権利が除斥期間により消滅するという法理は、国が積極的に国民の人権を蹂躙した本件に適用されるべきではありません。本件は、前例のない国家の犯罪行為ともいうべき事案であって、司法は先例にとらわれることなく、本件の本質を見極め、最も適切な法理を導き出すべき責務を負っていましたが、その責務を放棄したのです。

 また、判決は、国による優生手術の被害者の被害回復のための措置をとらなかった不作為の違法性も認めませんでした。判決は、厚生労働大臣についても国会についても、平成 8 年の優生条項撤廃のほかに、被害回復措置をとるべき法的義務はなかったと判断しました。判決は、平成 8年に障害者差別を認め、優生保護法を改正した国の対応を評価していますが、これまで長年にわたり国家賠償請求をした者が一人もいなかった事実から容易に理解される通り、国家賠償とは別の特別立法なくして、被害者救済は到底図ることはできませんでした。判決は、被害者救済の視点を致命的に欠如しているというほかありません。

 北さんは、司法こそ、存在価値を否定された被害者の悲痛な叫びに応えてくれるものと信じ、意を決して提訴に踏み切りましたが、今回の判決により、またも国家機関に裏切られました。

 弁護団は、この不当判決に対して控訴し、全国の弁護団と共同して優生保護法被害者の完全なる被害回復に向けて全力を尽くす所存です。



2020年6月30日
優生保護法被害大阪訴訟弁護団


 本日、東京地方裁判所が、原告の請求を棄却したことは誠に遺憾であり、怒りを禁じえない。

 判決は、原告に対する優生手術は、誤った審査に基づくものであったから損害賠償を求め得る地位を得た。しかし、除斥期間経過により請求権は消滅したというものであり、原告がかつて甚大な人権侵害を受けたことを前提としつつも、それに対する救済の途を断つ判断を下した。

 また、判決は、原告になされた優生手術が憲法13条で保護された実子をもつかどうかについての意思決定をする自由を侵害するものであったことは認めつつも、優生保護法4条、12条に規定する疾患が認められないのに手術を適当と判断したことが不法行為であるとしている。これは、優生保護法被害の本質を全く理解していないといえる。

 被告国の責任を考えるにあたっては、かつて国が、憲法13条、14条、31条等に違反する違憲な法律を作り、それに基づき、1万6500件もの強制不妊手術を行い、一応同意があるとされる遺伝性疾患等を理由としたものも含めれば少なくとも合計2万5000件もの優生手術を行ったという事実を抜きに判断することはできない。

 のみならず、旧優生保護法は優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するというそれ自体違憲な目的のため、特定の疾患や障害がある者をカテゴリー化し、その者が「不良」であるとのスティグマを社会に構築・醸成し、国自身が差別感情の維持・強化をしたことも忘れてはならない。

 これらの事実は、何十年の時が経過しようが決して消し去ることはできないし、消し去ってはいけない。にもかかわらず、本判決は除斥期間を適用して、原告の請求を棄却し、国の責任は単なる時間の経過によって消滅するのだと宣言した。

 さらに、判決は、どんなに遅くとも、平成8年改正時点において、提訴が困難であったと認められないとしているが、原告は、旧優生保護法により蔓延したスティグマに晒され、適切な権利行使の機会すらなかったものである。本判決は、平成8年当時において国が優生手術は適法であるとの見解を繰り返し公表していたことを前提として、被害者に損害賠償請求権行使の機会があるとした。当時の障害者の実情や優生保護法制定によってより一層蔓延していたスティグマを一切考慮しない、冷徹かつ形式的極まりない判断というほかない。訴訟提起までに長期間を要したことが原告に不利に評価されてはならないし、ましてや、そのことをもって救済の途が断たれるなど言語道断である。

 大阪訴訟の知的障害のある原告は、法廷において手術から50年以上経過してもなお、最大一番の望みは優生手術前の元の身体に戻してほしいことだと絞り出すように必死に述べた。聴覚障害がある原告夫妻は国に謝罪をしてほしいと涙ながらに訴えた。

 大阪弁護団は、原告らに対してなされた人権侵害の甚大さのみならず、原告らを含む障害者が旧優生保護法により蔓延したスティグマに晒され、知的障害や聴覚障害があることで司法アクセスを阻害されて、適切な権利行使の機会すらなかったことを強く訴えている。原告らの無念の思いが届くよう、そして裁判所において、適正な判断がなされることを求めて、引き続き全力で活動を継続する
ことを表明する。



2020年6月30日
優生保護法に基づく不妊手術に関する国家賠償請求訴訟熊本弁護団被害弁護団
団長 東 俊裕


優生保護法訴訟東京地裁判決に対する声明

 本日、東京地方裁判所第14民事部は、優生保護法被害者である原告の請求を棄却するとの判決を言い渡した。全国の被害者の期待を大きく裏切るものである。

 判決は、優生手術から20年を経過したことをもって国家賠償請求権が消滅したと判断して、国家を挙げて障害者の生殖機能を奪った国家犯罪に等しい行為を期間の経過を理由に免責した。しかし、この判断は、特段の事由がある場合には除斥期間の経過による免責を認めないとした最高裁の判旨にも悖るものである。

 また、この判決は、被害者への救済措置を取らなかったことや被害回復のための法律を作らなかったことについても違法性を認めなかった。しかし、昨年成立した優生保護法一時金支給法が被害回復には不十分であることを考えると、原告ら被害者の今後の被害回復は困難と言わざるを得ない。

 今回の判決は、優生手術の結果、子どもや家庭を作るといった誰にでも当たり前に保障されるはずの人権が国家から奪われ、人生そのものを否定された大勢の被害者の悲痛な声に背を向けるもので、断じて許しがたい判決である。

 熊本の弁護団としては、この判決にめげることなく、優生保護法被害者の被害回復のために、全力で活動を継続することを表明する。



判決要旨➡ここをクリック




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