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10万円給付、遺族にくすぶる不公平感 「生前・世帯申請」厳格すぎ?(2020年7月5日配信『西日本新聞』

単身世帯であっても、遺族による給付金申請を認めた長崎県大村市の申請書類。複数の自治体から「導入を検討したい」と問い合わせが相次いでいる

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単身世帯であっても、遺族による給付金申請を認めた長崎県大村市の申請書類。複数の自治体から「導入を検討したい」と問い合わせが相次いでいる
 新型コロナウイルスで影響を受けた家計を支援するため国民1人に10万円を支給する「特別定額給付金」。生前に申請書類が届かず、受給できなかった単身世帯があることを紹介した「あなたの特命取材班」に、全国から制度の不公平さなどを訴える声が寄せられている。総額12兆8803億円の緊急経済対策は、人々に寄り添えたか-。

 「あの戦争を生き抜いた母親の存在が、最後になって行政に否定されたような気分だ」

 東京都内の男性会社員(57)は唇をかむ。母親(93)は5月11日に神奈川県の病院で死去。入院中の面会は感染防止のため亡くなる直前の数分間に限られた。「3密」を避けるため通夜や葬儀は行わず、姉と2人で見送った。

 給付金は基準日(4月27日)に住民基本台帳に記載された全員が対象だが、申請するのは世帯主。1人暮らしだった母親宅に自治体から申請書が届いたのは、亡くなってから3週間後。男性が窓口に持参すると「既に世帯が消滅しているため、給付できない」と突き返された。

 九州7県では、長崎県が県内21市町に問い合わせたところ、申請書発送前に死亡した単身世帯主は397人だった。他の6県は調査をしていない。

 この給付金制度には、「生前申請」に加えてもう一つのハードルが存在する。世帯単位で申請するルールの「厳格な運用」だ。

 熊本県玉名市の男性(65)は5月15日に98歳で亡くなった母親の分の支給を拒まれた。

 基準日以降に亡くなった場合でも、単身世帯でなければ遺族などによる申請が可能だが、男性の場合、同居の母親が福祉施設に入所する7年前、世帯を分離したため母親は単身世帯の扱いになっていた。入所中の費用も払ってきた男性は「ずっと同じ家族として接してきたのに…」と肩を落とす。

 総務省によると、申請を世帯単位としているのは「迅速な家計支援を重視した」(特別定額給付金室)ため。個人単位だと申請書の送付や振込口座の把握に時間がかかり、コストも膨らむ。

 丸谷浩介・九州大法学研究院教授(社会保障法)は「家計支援という制度の趣旨を考えると、今回は世帯の概念を緩やかに解釈するなど、もっと柔軟に対応すべきではないか」と話している。 



申請書届く前に死亡、10万円給付の対象外に 「基準日」の意味は?(2020年6月19日配『西日本新聞』) 
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 新型コロナウイルス対策で国民1人に10万円を支給する特別定額給付金を巡り、西日本新聞「あなたの特命取材班」に福岡市の女性(56)から疑問の声が寄せられた。「単身世帯の義母が支給基準日(4月27日)後に亡くなったのに、申請書類が届いていなかったので『対象外』と言われた」。受給の可否が自治体によって異なる申請書類の発送日に左右されることに「不公平だ」と漏らす。

 女性によると、義母は鹿児島市の自宅に住民票を残したままグループホームで生活。5月20日に90歳で亡くなった。郵便物は福岡市の女性の自宅に転送していたが、鹿児島市から申請書類は届かず、6月10日に問い合わせたところ「給付されない」との返答だった。

 総務省によると、基準日以降に死亡した人も給付対象だが、申請前に亡くなった義母のような単身世帯は「世帯自体がなくなるので給付されない」という。市の申請書類発送は5月28日に始まり、義母は対象外とされた。

 ただ、発送日は人口などの関係で自治体によって異なる。女性の実母が暮らす宮崎県延岡市では5月8日から申請書類を発送。単身世帯でも申請後に亡くなれば遺族が相続できるため、女性は「義母が延岡で暮らしていれば受け取ることができたのに」と納得がいかない。

 総務省特別定額給付金室は「同様の相談は複数の自治体から寄せられている」と認めた上で「申請をしていない以上、権利は発生しない。制度について特段の変更予定はない」と話す。

 不公平をなくそうと取り組む自治体もある。長崎県大村市は11日、基準日に市内に居住していた単身世帯については、申請書類の発送前に死亡しても遺族に10万円を支給すると発表した。

 社会保障に詳しい北九州市立大大学院の工藤一成教授は「自治体の事務処理の都合によって支給の有無にばらつきがあるのは問題だ。例えば基準日に沿ったシンプルな給付にするなど、国は制度設計を見直すべきだ」と指摘する。




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