FC2ブログ

記事一覧

女性の生きづらさ 国境越え共感 韓国小説、異例ヒット(2019年6月22日配信『東京新聞』)

キャプチャ
読者のメッセージが張られた特設コーナー=東京都豊島区のジュンク堂書店池袋本店で

 ごく普通の女性が体験する差別や苦悩を描いた小説「82年生まれ、キム・ジヨン」が、昨年12月の発売以来、翻訳文学としては異例の13万部を売り上げている。就職試験で男子学生に差をつけられる、仕事を育児で辞めざるをえなくなる-。女性であるだけで当たり前のように我慢し、傷ついてきたことを言語化した小説へ、国境を越えて共感が広がっている。

 「私の話だと思って読みました」「自分の記憶と重なりすぎる」。ジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区)が設置した特設パネルに、感想を書いた紙が何枚も張られていた。「1カ月に100冊のペースで売れている。日本では無名の著者なのに」。店員の小海裕美さんは驚く。発売から半年たつが売り上げは伸びているという。

 主人公は33歳の女性、キム・ジヨン。1982年生まれの女性に最も多い名前だ。2月に来日した著者のチョ・ナムジュさんは「女性なら誰もが経験するエピソードを集めた。ジヨンの半生を通してありふれた不平等を淡々と描いた」と話した。

 性暴力を告発する「#MeToo」運動が盛んな韓国で3年前に出版され、100万部超の大ベストセラーになった。かたや日本は、医大受験の女性差別問題が発覚しても抗議がうねりにならない国。それでも口コミで評判となり、完売の店が続出した。発売元の筑摩書房の尾竹伸さんは「驚きだった」と話す。

 2人の子どもの母親(43)は、読みながら出産当時を思い出して泣いた。「夫は残業や休日出勤ばかりで育児は人ごと。つらくてケンカばかりだった」。小説では、夫より収入が低いからとジヨンが仕事を辞める。「責任を持つよ」という夫に、ジヨンは問う。「私は社会とのつながりを失って、将来の計画もあきらめる。あなたは何を失うの?」

 会社員の女性(30)は高校の進路指導を思い出した。「将来マスコミで働きたいと話したら、女の子だからきつい仕事はやめた方がいいと否定され、嫌だった。読んで、嫌だと感じた自分はおかしくないと思えた」

 書評家の倉本さおりさんは「背景には女性が一方的に我慢を強いられる社会へのモヤモヤがある。それが限界に達しつつある女性たちの気持ちに合ったのだと思う」と分析。「この本は、不平等や差別には怒ったり悲しんだりしていいんだ、と気付かせてくれる。韓国も日本も家父長制意識が根強いので、より共感しやすいのでは」と話している。

71kEC2d1XBL.jpg

61oH1za0dGL.jpg

日本でも圧倒的共感の声! 「これはわたしの物語だ」
異例の大ヒットで、たちまち13万部突破!!

「女性たちの絶望が詰まったこの本は、未来に向かうための希望の書」――松田青子

ひとつの小説が韓国を揺るがす事態に
 K-POPアイドルユニットのRed Velvet・アイリーンが「読んだ」と発言しただけで大炎上し、少女時代・スヨンは「読んだ後、何でもないと思っていたことが思い浮かんだ。女性という理由で受けてきた不平等なことが思い出され、急襲を受けた気分だった」(『90年生まれチェ・スヨン』 より)と、BTS・RMは「示唆するところが格別で、印象深かった」(NAVER Vライブ生放送 より)と言及。さらに国会議員が文在寅大統領の就任記念に「女性が平等な夢を見ることができる世界を作ってほしい」とプレゼント。韓国で社会現象にまで発展した一冊は台湾でもベストセラーとなり、ベトナム、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、フランス、スペインなど17カ国・地域で翻訳決定。

本書はもはや一つの<事件>だ。

 ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子のキム・ジヨン。
誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児……キム・ジヨン(韓国における82年生まれに最も多い名前)の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。

 「キム・ジヨン氏に初めて異常な症状が見られたのは九月八日のことである。(……)チョン・デヒョン氏がトーストと牛乳の朝食をとっていると、キム・ジヨン氏が突然ベランダの方に行って窓を開けた。日差しは十分に明るく、まぶしいほどだったったが、窓を開けると冷気が食卓のあたりまで入り込んできた。キム・ジヨン氏は肩を震わせて食卓に戻ってくると、こう言った」(本書p.7 より)

 「『82年生まれ、キム・ジヨン』は変わった小説だ。一人の患者のカルテという形で展開された、一冊まるごと問題提起の書である。カルテではあるが、処方箋はない。そのことがかえって、読者に強く思考を促す。
小説らしくない小説だともいえる。文芸とジャーナリズムの両方に足をつけている点が特徴だ。きわめてリーダブルな文体、等身大のヒロイン、ごく身近なエピソード。統計数値や歴史的背景の説明が挿入されて副読本のようでもある。」(訳者あとがきより)

解説:伊東順子

アマゾン➡ここをクリック(タップ)




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ