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荒川洋治・評 『天使が見たもの 少年小景集』=阿部昭・著(2019年6月23日配信『毎日新聞』)

 (中公文庫・929円)

子どもと大人の垣根をこえる文章

 情感ゆたかな作品で、いまも読者を魅了する阿部昭(1834~1989年)の短編集。少年を主人公とする12編を収録する。そのなかの6編は、高校の教科書に掲載の作品。

 「子供部屋」(1962年)は初期の代表作。知的障害のある兄・一成の行ないは、母と中学生の弟・晴男を悩ます。

 兄は病院に入る。病室を訪ねると、レコードに合わせて同じ歌を何度もうたう兄。

 「一成が夢中になって歌っているあいだに、日はゆっくりと傾いて行った。陽ざしが遠のいて行くにつれて病室の消毒の匂いは、いつの間にか2人が持って行った花束の匂いに打ち消されて、ずいぶん長い時間そこにいたような気持を起こさせた」。空間の色合いまでを描いてゆく。



無題

内容紹介

 病死した母親の後を追う少年の姿を端正な文体で描いた表題作ほか、デビュー作「子供部屋」、教科書の定番作品「あこがれ」「自転車」など全十四編を収める。短篇小説の名手による〈少年〉を主題としたオリジナル・アンソロジー。【没後30年記念出版】

【目次】(*=高校国語教科書掲載作品)

子供部屋/幼年詩篇(I馬糞ひろい II父の考え IIIあこがれ*)/ 子供の墓*/自転車*/言葉*/天使が見たもの/海の子/家族の一員/ 三月の風*/みぞれふる空/水にうつる雲/あの夏あの海*
〈巻末エッセイ〉父の視線(沢木耕太郎)

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