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はんこ生産県の山梨 「押印デバイス」開発へ 知事、不要論に対抗(2020年7月14日配信『産経新聞』)

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山梨県市川三郷町の旧六郷町地区にある「ハンコの里」のモニュメント。山梨県は全国有数のはんこ生産地だ(渡辺浩撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大で「はんこ離れ」が進むことが予想されるため、全国有数のはんこ生産地の山梨県が、電子印鑑ではなく実物のはんこの押印情報を電子文書に取り込むデバイスの開発に着手することが分かった。長崎幸太郎知事が産経新聞の取材に文書で明らかにした。知事はまた、テレワークに押印は必要ないとし、新型コロナを理由にはんこ文化を否定する風潮を強く批判した。(渡辺浩)

経済界に反論

 山梨県は水晶の産地だったため江戸時代に水晶印の生産が始まり、ツゲや水牛のはんこも作られてきた。業界関係者によると、市川三郷町の旧六郷町地区を中心に手彫りのはんこの製造は全国の約6割を占めるという。

 はんこをめぐって、経団連の中西宏明会長は4月27日の記者会見で、テレワークを促進しても押印のために出社しなければならない例があるとして「はんこはナンセンス」「美術品として残せばいい」と発言。

 長崎知事は6月26日の県議会で「押印にかかわるビジネス慣行は(経済界)自らが変えられる」「不見識」と強く反論し、押印の必要性の有無とはんこの存在自体を混同した議論を危惧していた。

 内閣府と法務省、経済産業省は6月19日、「テレワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略することが有意義」との見解を公表している。

 知事は取材に対し「テレワークのように対面を必要とせず、簡易、迅速さを当事者が求める場合は押印を不要とすればいいし、厳格に本人意思の確認を行うのが望ましいと当事者が判断すれば押印を行えばいい」と線引きを示した。

はんこの実物残す


 しかし、押印の省略が進めばはんこの売り上げが減るというジレンマがある。知事は「パソコンがどんなに普及しても鉛筆やボールペンが消滅しないのと同じ」と、はんこの存続を強調した。

 「押印デバイス」は、重要な契約だが対面で行えない場合を想定。電子的な印影ではなく、あくまで実物のはんこを使うのが、生産県としての意地だ。

ICカードリーダーのような形のスキャナーで、印面を読み取ったり押印の圧力を検知したりする方法が考えられるという。県産業技術センターが開発を担当し、文書改竄(かいざん)防止などの技術を確立する。

 マウスをクリックするのではなくパソコンの前ではんこを押す仕組みには批判も予想されるが、知事は「電子文書が普及するからこそ、厳格で重要な意思を証明する方法として押印の重みが増す」と、はんこ文化を守る決意を示した。

巻き返し期す

 はんこへの逆風について、山梨県内のはんこ業者でつくる県印判用品卸商工業協同組合の鈴木高明理事長は「テレワーク推進とはんこ不要を結びつけるマスコミ報道が問題」と憤慨。

 市川三郷町などが地盤で自民党の「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(はんこ議連)事務局長の中谷真一衆院議員(比例南関東)も「テレワークに押印は不要だが、個人や企業を特定するためにはんこは重要」と強調する。

 議連会長を務めていた竹本直一IT・科学技術担当相(衆院大阪15区)が「脱はんこと矛盾する」との批判を受けて5月に会長を辞任。後任は決まっていない。

 会長を決めないのかと尋ねると中谷氏は、巻き返しを期すかのようにこう語った。「竹本先生がIT相を終えたら、会長に復帰していただくつもりです」




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Author:gogotamu2019
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