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フクロウは見ている(2020年7月1日配信『琉球新報』-「金口木舌」)

 フクロウという鳥は昔から縁起物に結び付けられる。ギリシャやローマの神話でも知恵をつかさどる神の供として描かれ、栃木県の鷲子山上神社では「不苦労」と語呂に掛けてフクロウが飾られている

▼アイヌのユーカラ(神謡)にもフクロウの神が登場し、貧乏な人を助け人間界を守るさまが描かれる。アイヌのユーカラにはフクロウだけでなく身近な動植物が神として登場し、人間との豊かな関わり合いを教えてくれる

▼アイヌ文化の復興拠点として北海道の国立施設「ウポポイ」が開業した。展示の解説や案内には、ユネスコが消滅の危機にある言語・方言として「極めて深刻」と認定したアイヌ語が多く使われている

▼ウポポイの役割は昨年策定した政府のアイヌ施策にも盛り込まれている。そこではアイヌが置かれてきた環境について「法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、我々は厳粛に受け止めなければならない」と記した

▼萩生田光一文部科学相は、開業を前に「差別という言葉でひとくくりにすることが、後世にアイヌ文化を伝承するためにいいかどうか、ちょっと考えるところがある」と述べた。アイヌの人はどう聞いただろう

▼「文化」という耳触りのいい言葉で飾って、魂に寄り添わないなら、歴史には向き合えていない。フクロウは天上から見ている。



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