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在日米軍基地で新型コロナウイルスに関する論説(2020年7月16日

在日米軍のコロナ感染 信頼関係を損ねる事態だ(2020年7月16日配信『茨城新聞』-「論説」)

 在日米軍基地で新型コロナウイルスの感染者が急増している。特に米軍専用施設が集中する沖縄では確認された感染者が130人を超えた。

 日本政府は、世界で最も感染者数が多い米国を入国拒否の対象国としているが、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定に基づいて、基地に直接入る米軍人は入国拒否の対象となっていない。

 感染者の急増によって、基地で働く日本人従業員や一般市民への感染拡大が懸念される。

 これは沖縄だけの問題ではない。三沢基地(青森県)や岩国基地(山口県)、佐世保基地(長崎県)などでも米軍関係者らの感染が確認されている。

 さらに、岩国基地で感染が確認された3人の米軍関係者は羽田空港に入国後、「レンタカーで移動する」と申告しながら、実際には検査で陽性が判明する前に民間機を使って岩国まで移動していた。日米間の信頼関係を損ねる「虚偽申告」だ。

 河野太郎防衛相が「極めて由々しき事態だ」として、米側に厳格な処分と再発防止の徹底を申し入れたのは当然だろう。

 問題なのは、感染者の行動履歴などに関する十分な情報が地元自治体には提供されていないということだ。行動履歴が分からなければ濃厚接触者の追跡調査も行えず、市中感染に対処できない。玉城デニー沖縄県知事は15日、河野防衛相と会談し、日本政府から米軍人らの検査徹底や行動履歴の情報提供を米側に申し入れることや、地位協定の見直しを要請した。

 在日米軍基地の運用には、地元自治体との信頼関係が不可欠だ。米軍は詳細な情報を自治体に提供し、感染拡大の防止に努めるべきだ。日本政府も米側にさらに厳しい対処を求める必要がある。

 日米地位協定は在日米軍の法的な特権的地位を認めており、基地に直接入る米軍人には日本の国内法が原則として適用されない。日本側での検疫も行えず、入国後に基地の外に出るのも自由だ。感染者の入国を防ぐ水際対策の「抜け穴」になっていると言えるだろう。

 沖縄では、米国の独立記念日である今月4日前後に、基地外にある飲食店などでパーティーが開かれ、多くの米軍関係者らが参加していたという。玉城知事が「米軍の感染防止対策に強い疑念を抱かざるを得ない」と指摘する通り、危機意識が欠落している。

 米軍はクラスター(感染者集団)が発生したとみられる普天間飛行場などを「ロックダウン」(基地封鎖)したと説明したが、それで十分なのか。また、基地外にある民間のリゾートホテルを借り上げて、海外から赴任してきた米軍人らの隔離施設に利用していた。なぜ基地内で対処しないのか。

 日米間では2013年の日米合同委員会の合意で、米軍基地内で感染症が発生した場合、地域を管轄する保健所と情報を共有することとしている。しかし、米軍は3月末に、安全保障上の理由から世界各地に展開する米軍基地や部隊ごとの感染者数について公表しない方針を明らかにした。

 沖縄でも米軍側は当初、県に感染者数は公表しないよう要求。交渉の結果、県が数字を公表することは妨げないと方針を一部転換した。自治体任せでは、対応には限界がある。政府が前面に立って米側ときちんと交渉すべきだ。



≪新型コロナ≫在日米軍 実効ある情報共有迫れ(2020年7月16日配信『中国新聞』)

 日本の法令が及ばない在日米軍基地で、新型コロナウイルス感染が拡大している。

 沖縄県内では、宜野湾市の普天間飛行場などでクラスター(感染者集団)が発生し、米軍はロックダウン(封鎖)に踏み切った。確認された米兵らの感染は計130人を超えた。

 米国は新型コロナウイルスの感染者、死者数ともに世界最多である。7月に入って1日の新規感染者数が6万人を超える日もある。日本政府は入国拒否の対象国にしている。

 ところが米軍関係者に限っては入国拒否できず、日本側での検疫もできない。在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定に基づいて特権的地位を認めているためだ。それが水際対策の抜け穴になっているといえよう。

 岩国市の岩国基地でも関係者4人の感染が確認された。そのうち12日に来日した3人は羽田空港に入国後、PCR検査の結果が判明する前に、民間機を利用して岩国錦帯橋空港へ移動していた。空港では「レンタカーを使う」と虚偽の申告をしていた。日米間の信頼を揺るがす事態である。

 米軍は公共交通機関の利用自粛など、日本到着後14日間の行動を制限する対策をとっているという。しかし今回のケースでは、それも守られていなかったことになる。

 岩国基地はことし4月、感染拡大防止のためとし、基地に出入りする日本人従業員らに子どもの通学の自粛を要請し、多数の児童生徒が学校を休んだ。地元住民には教育機会まで奪う対応を強いておきながら基地内の感染対策はどうなっていたのか。疑念を抱かざるを得ない。

 河野太郎防衛相は14日になって「きわめてゆゆしき事態だ」として米側に厳格な処分と再発防止の徹底を申し入れた。当然のことだ。だが米軍基地内での感染は想定できた事態だろう。もっと早く手を打ち、強い姿勢で米軍に対策徹底を求めておくべきだった。

 米軍などではこの時期、大規模な人事異動があり、世界規模で米兵やその家族が移動する。沖縄や岩国だけでなく、神奈川県の厚木基地や青森県の三沢基地でも感染者が出ている。だがその詳細は明らかにされていない。岩国の感染者についても、基地側は人数や所属、詳細な行動履歴などを公表していない。

 日米間では、感染症の発生を確認した場合には情報を共有する合意を取り交わしている。米軍からの情報提供が不十分では、濃厚接触者の追跡調査も行えない。基地で働く地元住民は多く、市中への感染拡大も懸念される。市民が不安を抱くのは当然のことである。

 基地内の感染状況が公にされないことで、新たな偏見や差別につながる懸念も拭えない。沖縄では、基地で働く日本人の子どもに対し、学校が登校自粛を求めるケースも出ている。

 政府は米軍基地から基地外への感染拡大を防ぐための対応を十分に講じるよう外交ルートを通じて米側に求めた。ただ、米側任せでは感染は防げまい。

 国民の命と健康に関わる問題である。日本政府の責任で、実効ある情報共有と感染防止策を米側に強く迫るべきではないか。不平等な日米地位協定の見直しも含め、きちんと意思疎通をはからねばならない。 



米基地感染拡大 情報提供する責任がある(2020年7月16日配信『西日本新聞』-「社説」)

 在日米軍基地で新型コロナウイルスの感染が拡大している。実態が分からなければ周辺住民は不安を募らせるばかりだ。米軍は防疫の徹底はもちろん、地元自治体と速やかに情報を共有し、不安の解消に努めなければならない。

 沖縄県の米軍基地では感染者が100人を上回り、そのほとんどが7月に入り確認された。

 人事異動や部隊交代で海外との往来が増える時期だ。加えて独立記念日の4日前後に基地内外でパーティーが開かれ、参加した基地関係者が感染を拡大させたとの疑いもある。コロナ禍の現状を踏まえれば、危機感の欠如と言わざるを得ない。

 米国は感染者数、死者数ともに世界最多で、日本にとって今なお入国拒否の対象国である。それでも米軍兵士らは日米地位協定により日本の法律を適用されず、日本側の検疫を受けないまま入国できる。日本の水際対策が及ばない基地内での感染拡大にはかねて懸念が出ていた。

 見逃せない問題は、米軍が基地の地元自治体に対し、感染症対策に必要な情報を十分に提供していない点だ。沖縄県によると、基地別の感染者数は伝えられたが、直近の行動履歴や居住地などはごく一部しか知らされていないという。

 基地で働く日本人もいれば、基地外に居住する軍関係者も少なくない。このままでは自治体の対策の基礎となる濃厚接触者を特定する情報が不足し、有効な手だてを打てない。

 米国防総省は3月に基地や部隊ごとの感染者数を公表しない方針を示した。軍の運用に支障があるとの考えからだ。在沖米軍はこれに沿って当初、県に感染者数は示したものの非公開とするよう要請していた。

 だが、これは日本国内の健康や生命に関わる問題である。日本の保健当局が基地に入れないのなら、米軍には適切な情報提供の責任があるはずだ。

 岩国基地(山口県)の軍関係者が自身の感染を知りながら虚偽の申告をして民間機で国内を移動していたことも判明した。信頼を裏切る行為である。

 米軍のコロナ対策は沖縄県に限らず基地を抱える他の自治体にも共通の問題だ。5月には関係知事会が対処を求めていたが、政府の反応は鈍い。

 日米両政府は2013年に基地内で感染症が発生した場合、保健当局間で「可能な限り早期に通報する」と合意した。米軍の恣意(しい)的な情報提供を改善するように、政府はもっと積極的に働き掛けねばならない。

 適切な情報の共有があってこそ基地の地元と信頼関係は築ける。米軍と日本政府はともに、それを肝に銘じるべきだ。



[米軍新たに36人感染]PCR検査 義務付けよ(2020年7月16日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 米軍キャンプ・ハンセンで15日、新たに36人の新型コロナウイルスの感染が確認された。在沖米軍関係者の感染者は5施設で計136人に達し、この5日間だけで116人に上る。基地内での感染拡大に歯止めがかからず、米軍を除く県内の累計感染者148人を上回るのは時間の問題のように見える。

 基地内での感染者急増の影響は、当然ながら、小さな島の中でフェンスを隔てて隣り合うように暮らす基地外の生活圏にも及ぶ。

 沖縄タイムスの調べでは、本島内の11市町村の小中学校で、基地従業員や軍関係者の子どもが少なくとも75人欠席した。米軍から要請されたり、保護者が自主的に自粛したりしたという。基地関係者の家族というだけで学習権が奪われ、偏見やいじめで不利益を受けないよう行政には十分な目配りを求めたい。

 PCR検査の問題も見過ごせない。米軍関係者が米国から直接、在日米軍基地に入国する際、無症状者のPCR検査が義務付けられていない。日米地位協定の規定で、日本の国内法が適用されず、検査対象は熱やせきなどの症状がある人にとどまる。

 一方、羽田空港など民間空港で入国する際は、日本の検疫に従って米軍関係者も含めて全員がPCR検査の対象となる。

 基地内での感染拡大という事態を鑑みれば、基地経由の入国者全員のPCR検査受診に向けて日米両政府は動くべきではないか。

■    ■

 東京を中心に感染者が増える中、新型コロナで打撃を受けた観光業界を支援する「Go To トラベル」の開始が22日に迫る。政府は予定通り実施する構えだ。

 感染予防策と経済社会活動の両立が要諦であることは、第1波で経験した休業要請や外出自粛を踏まえ、理解できる。ただ、基地内感染が広がる沖縄にとって、首都圏から大勢の観光客が訪れることに不安感は否めない。

 「Go To トラベル」には、全国の知事から異論が相次ぐ。東京都の小池百合子知事は15日、都外への不要不急の外出は控えるよう呼び掛け、支援事業の時期や方法の再考を求めた。大阪府の吉村洋文知事は「近隣県など小さい単位から始め、感染の様子を見ながら全国に広げていくべきだ」とくぎを刺す。

 今は慎重さが求められる。事業の予算を地方に委ね、時期をずらし、それぞれの地域の実情に合わせた手法を政府は検討してはどうか。

■    ■

 玉城デニー知事は、米軍の感染拡大を受けた11日の記者会見で「第2波が来たという緊張感を持ち、県民の健康や経済活動を守る」と語った。仮に基地内の感染状況を県の4段階の警戒指標に当てはめれば、「第3段階」に相当し、3日後には緊急事態宣言を出すことになる。そうなれば、県をまたぐ移動の自粛を要請する局面が訪れる。

 米軍は警戒指標の対象外だが、状況的にはそれほど危機的だと言える。県の専門家会議の知見を得つつ、客観的なデータに基づいた知事のメッセージを発信した方がいい。








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