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離婚と養育費 逃げ得許さない制度を(2020年7月18日配信『茨城新聞』-「論説」)

 政府は離婚後の養育費不払い問題を解消するため、法改正などの検討を始めた。離婚という親の事情で子どもが経済的な不利益を被り、将来の夢を諦めるようなことがあってはならない。そのための養育費だが、両親が離婚時にきちんと支払いの取り決めをしていなかったり、取り決めをしても守られなかったりする例が数多くある。

 厚生労働省の2019年調査によると、平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示す「子どもの貧困率」は13.5%、だいたい7人に1人だが、ひとり親家庭では48.1%と極めて高くなる。中でも、シングルマザーの多くはパートやアルバイトで働き、貯蓄もない。

 そんな中、母子家庭の7割以上は養育費を受け取っておらず、貧困の一因になっている。政府は今月、女性活躍推進の「重点方針2020」を決定。柱の一つに「困難を抱える女性への支援」を掲げ、養育費確保を盛り込んだ。具体的には、行政による強制的な徴収や立て替え払い、債権回収を専門とする民間機関の活用などを検討する。

 ドメスティックバイオレンス(DV)が絡む離婚で話し合いができないケースもあるなど、当事者が自力で不払いを解消しようとすると、負担は大きい。国が関与を強めることで逃げ得を許さない制度を整えるため、議論を急ぐ必要がある。

 年間20万組が離婚するが、子どもが自立するまでに要する費用は親が分担する義務がある。4月に改正民事執行法が施行され、親権を持つ親は債権者として裁判所を通じ、養育費を支払う義務のある債務者の親について不動産や預貯金、給与に関する情報を取得できるようになった。これまでは自力で金融機関や勤務先を探さなければならず、一歩前進といえる。

 だが、その後は差し押さえなどの手続きが必要になり、日々の生活に追われるシングルマザーには時間的にも金銭的にも、そんな余裕はないという声も上がっていた。一方、最高裁の司法研修所は昨年12月に「低すぎる」という批判が絶えなかった養育費を巡って、離婚裁判などで使われる算定表を16年ぶりに改定した。全体として月1万〜2万円の増額となり、ひとり親家庭の支援につながるとみられているが、実際に養育費が支払われなければ、それも絵に描いた餅に終わる。欧米では、行政が養育費を払わない親の給与から天引きしたり、銀行口座を差し押さえたりする制度がある。日本にはそこまでの制度はないものの、兵庫県明石市が今月から養育費を立て替え払いする事業を始め、仙台市も民間の保証会社に督促や回収を代行してもらう際の保証料を補助するなど、自治体が独自の取り組みを進めている。

 こうした内外の事例も踏まえ、実効性のある制度にすることが求められる。法務省内の勉強会では「強制徴収は諸外国でも広く用いられ、公的機関による給与天引きなどの制度導入を検討すべきだ」「悪質な不払いには制裁を科すのが効果的」といった意見が出た。

 ただ強制徴収の制度を導入するとしても、その前提条件になる離婚時の養育費に関する取り決めをしている母子家庭は4割、父子家庭は2割にとどまっている。取り決めを協議離婚成立の要件として定めることを検討する必要もあるだろう。




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