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「学費を返して」という声に自ら返事 明治大学長が学生に直接言いたいこととは?(2020年7月19日配信『AERA.com』)

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治大・大六野耕作学長 

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国の大学が学びの機会をどう確保するかとともに、新しい教育のあり方を模索している。明治大学の大六野耕作学長がコロナ禍で苦しむ学生に伝えたいことを語った。

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 学生たちに直接会えたら言いたいことは、このピンチを機に、自分の将来やりたいことを考えてほしい、ということです。

 対面授業もできない、サークルもバイトもできない。留学もできなくなった。新入生は一度もキャンパスに来ていない。「なんでこんな目に」と思う学生も多いでしょう。

「学費を返してほしい」という声も大学に届いています。大学HPなどを通じて発信する情報を補う意味で、私は自ら一つひとつ丁寧に返事を出しています。

 自分が何をやりたいのか突き詰めて考える機会はこれまで少なかったと思います。将来、いや応なく自分でコントロールできない状況に置かれることが出てくるはず。そのとき、自分でやることを考え、行動した経験が役に立つはずです。

 社会全体が今までどおりには動かず、社会を頼ることができないときに頼れるのは自分だけです。自分が何をしたいかわかれば、耐えられる。教育の根本にあるのは、この意欲なんです。この本質はコロナ禍でも変わりません。

 大学はこの意欲を持つ学生に学びの選択肢を与える場です。本学では新型コロナで家計が急変した学生に10万円を支給し、パソコンなども無償で貸与しました。ファンドも作り、中長期的な支援体制も整えました。オンラインで海外大学と交換留学する制度も始める準備が進んでいます。学生たちの意識をできるだけ将来に向けようと取り組んでいます。

 私は大学に入学した年の10月から半年間、学生運動で授業が休講になりました。翌年は再開しましたが、休み癖がついて授業に行ったのは20日ぐらい。「これではいけない」と思って、アメリカのカリフォルニア大(UC)バークリー校エクステンションに留学しました。

 向こうの学生にはショックを受けました。ジャーナリストになりたいとか、みんな大学で学ぶ明確な目的を持っているんです。それで私はアメリカ史を学び始め、今の研究分野である政治学に入っていきました。

 留学中は言葉もわからず苦労しましたが、目的があったから乗り越えられました。本学ではUCバークリー校やハーバード大などの一流大学で夏学期の正規授業を受講することができますが、これらを開拓するときにアメリカでの自身の経験が役立ちました。
 
今の苦労は必ず、将来の糧になると信じています。

 今年度の入試は非常に対応が難しいです。いくつかのシナリオを考えておく必要があります。新型コロナの感染が広まって、1月、2月の入試が完全にできなくなった場合。これでは必然的に4月や5月まで実施を待たないといけないかもしれない。これだと事実上、9月入学になってしまいます。こうなると、本学だけではなく、大学全体の問題になります。

 大学入学共通テストは実施できたが、それ以降の各大学の試験ができなくなった場合などの対応も考えておかなければなりません。特例追試の合格発表日を新たに設けなければならなくなるので、今年度の入学定員管理は例年以上に困難が伴います。

 追試についてはかなり大変です。学部ごとに追試を実施するのは、日程的に無理でしょう。そうなると、学部共通の試験にするか。そうするとしても、感染防止対策を万全に行うことを考えなければなりません。

 本学は指定校推薦で例年800名弱を募集しておりますが,今年度は指定校推薦希望者が増えそうです。

 いろいろと難しい判断が求められる状況ですが、いかなる状況も前向きに捉えていきたいと思います。(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日  2020年7月24日号




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